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1 絶対絶命ゴーカート

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「乙葉……」
 ルーカスは、おどろきと安心の、入り混じったような顔をした。
「ありがとね、ルーカス」
 そう言うと、乙葉はルーカスの頭を、よしよしというようになでた。
 京一はその光景を見て、一人で大きな、ため息をついていた。
「まあ京一くん、見つかったんだからいいじゃないですか」
 まだ具合が悪いのか、すこし苦しそうな顔をしながらも、久遠が明るく言った。
「うんうん、終わりよければ、すべてよしよ」
 柚子も頷きながら、久遠に同感していた。
 すると京一は、やれやれとでもいうように腕を組み、
「お前たち、本当に甘いな」と言った。
 そして、すぐに気持ちを切り替えるように、真剣な顔になった。
「まあいい。早速いまから、門までいって、ためしてみよう」
 京一がそう言うと、乙葉は久遠を見て、
「じゃあ久遠くん。私たちは一緒に、小屋までもどりましょう」と言った。
 久遠はすぐに頷いた。
 そして京一、柚子、ルーカスの三人は、早々に門に向かい、のこる乙葉と久遠は、ゆっくりと、小屋に向かって移動した。
 歩いている最中、ふと空を見ると、なんだかいまにも雨が降りそうなくらい、空一面が、灰色に染まっていた。
 そのあと、乙葉と久遠は、小屋に到着してすぐに、体のあちこちにできた、傷の手当てをした。
「いっ」
 ちょうど膝の手当てをしている時に、椅子に腰かけている久遠が、短くうめいた。
「ごめん、いまの、痛かったわよね?」
 床に両膝をつきながら、乙葉が気遣うように言った。
「い、いや、大丈夫です」
 そうは言うものの、久遠は顔をしかめている。無理に大丈夫と言っているのではないかと、察した乙葉は、なるべく優しく、傷ができた膝に、医療用のテープを貼った。
 それから乙葉と久遠、どちらも傷の手当てが終わったあとは、体を休めるように椅子に座り、三人の帰りを待った。
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