ラズとリドの大冒険

９

１５

「長老？」
　首をかしげながら、ラズが言った。
「ええ、そうよ」
　リチアが言った。
「その長老は、以前、ここで知り合った人間が、大事な結婚指輪を、この海であやうく失くしてしまった時に、第三の目を使って、見つけ出したのよ」
　リチアにとって、それが当然であるかのように、ラズたちに言った。
「その長老には、目がみっつもあるの？」
　ネルーピーが、けげんそうに言った。
「ちがうわ。実際にあるわけじゃないの。でも長老いわく、あるのよ」
　ネルーピーに向かって、リチアが言った。
「ほかにも、私の友達、ひれが黄色くて、さくらのようにピンク色の髪の、人魚のレアリルが、次に付き合うボーイフレンドが誰か、長老に聞いたことがあったわ。それでその長老は、三ヶ月後に、おなじく人魚の、フィブロと付き合うことになると、レアリルに、はっきりそう、予言したわ」
　続けて、リチアが話した。
「それで、二人はどうなったの？」
　なぜかスピロルが、興味津々になって、リチアにそう尋ねた。
「ええ。そしたら、その日からちょうど三ヶ月後、なんと、本当にレアリルは、フィブロと一緒になったの！　そんなこと、信じられないでしょう？」
　最初おしとやかな印象のリチアだったが、その長老のすごさを三人に伝えようとして、興奮しながら、前のめりになって話した。
「それだけじゃないわ。長老は、地球で起こるさまざまな、大雨や落雷、暴風、どんな天変地異でも、予言できるのよ」
「それ、本当なの？」
　ネルーピーが、疑って言った。
「オイラ、そういう占いみたいなの、信じないタイプのカヤネズミなんだよ」
　するとリチアが、
「あら、これは本当の話なのよ。ネルーピー」と、ネルーピーを信用させるように、真剣な声で言った。