CLOVER

取捨選択

女はそのまま大きく見開いた目を近づけ訝しげに睨みつけてくる。
最近やけに発信相手に運がなくてドルオタに当たったり、オカルト
マニアに危うく実験されそうになったりと散々だけどそれにしても
今回は格別に運がない。

この目は人殺しの目だ。しかも確実に生きた人間じゃない。
まさか悪霊に掛けてしまうとは想定外だ。
おそらくあそこで寝ているのが兄でこっちが妹なのだろう。
それにしてもこんなおっかない妹を持って兄もさぞ大変だろう。

「逃がさないよ。このチンチクリン、人形とはいえ他の女が
オニイチャンに近づくことは許さない。オニイチャンは私だけ
のもの、私だけがいればいいの。そのために呪いを掛けてあい
つも殺して……エヘヘヘヘ」

あっ、本当に誰か殺してるんだ。まじでやべえ、このブラコン
ヤンデレ野郎。死を直観してかなんか逆に冷静になってきた。
何とかして逃げないとまじで殺されてしまう。

「あなたは一体何なの。私はメリー、怪異よ。あなたに
恐怖を与えるのが私の務めなのに。こんな状況じゃメンツ
丸つぶれじゃない。いっそのこと燃やしてよ」