18 / 27
第二章 ダストロッド
1.上陸
しおりを挟む
サラちゃんの顔が怖い。先ほどまで聞く耳も持たず、ゲームに勤しんでいた彼女がまるで鬼のような形相でトリー室長を睨んでいた。そして、ぼそっと『あたしが救う……』と注意深く聞いていないと聞き取れないほどのか細い声でつぶやき部屋から出て行ってしまった。
「あ、待って!!」
私は急いで追いかけようとしたがトリー室長に静止を受けた。
「ごめんね。私が軽率だった。彼女の気持ちも考えずにベラベラと話してしまって。今はそっとしておいてあげなさい」
「何か訳ありなんですか?」
私は胸がざわつくのを感じた。今回の素材回収、一筋縄ではいかないと直感が告げていた。
「長官も酷なことをなさる。今回、サラ君をメンバーに加えたのはメリットとデメリットがあるんだ。前者は彼女がダストロッド出身の捨て子であるという事とあそこへの出入りが自由に許されている唯一の人間だから入るのが容易である点が挙げられる。彼女なら最深部まで行くのは容易いだろう。だが、問題は先ほど言ったゼノマテリアルの所有者なんだ……」
トリー室長は俯きながら語った。所有者……まさかサラちゃんの……嫌な予感は的中することになる。
「それってもしかして……」
「彼女には2つ上の妹思いの兄がいたんだが、あの植物が地上に現れた際に自我を保つために機械に彼の魂を宿らせた。妹を1人残さないようにと必死の思いでね。だが、その自我は長くは続かなく、見境なく人を襲うようになった。それが原因で彼は捉えられダストロッドで廃棄処分になったんだが……サラはどこかで信じてるんだろうね。兄は生きていると。たとえ、人じゃなくなったとしても心はどこかに残っているとね」
「あ、待って!!」
私は急いで追いかけようとしたがトリー室長に静止を受けた。
「ごめんね。私が軽率だった。彼女の気持ちも考えずにベラベラと話してしまって。今はそっとしておいてあげなさい」
「何か訳ありなんですか?」
私は胸がざわつくのを感じた。今回の素材回収、一筋縄ではいかないと直感が告げていた。
「長官も酷なことをなさる。今回、サラ君をメンバーに加えたのはメリットとデメリットがあるんだ。前者は彼女がダストロッド出身の捨て子であるという事とあそこへの出入りが自由に許されている唯一の人間だから入るのが容易である点が挙げられる。彼女なら最深部まで行くのは容易いだろう。だが、問題は先ほど言ったゼノマテリアルの所有者なんだ……」
トリー室長は俯きながら語った。所有者……まさかサラちゃんの……嫌な予感は的中することになる。
「それってもしかして……」
「彼女には2つ上の妹思いの兄がいたんだが、あの植物が地上に現れた際に自我を保つために機械に彼の魂を宿らせた。妹を1人残さないようにと必死の思いでね。だが、その自我は長くは続かなく、見境なく人を襲うようになった。それが原因で彼は捉えられダストロッドで廃棄処分になったんだが……サラはどこかで信じてるんだろうね。兄は生きていると。たとえ、人じゃなくなったとしても心はどこかに残っているとね」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる