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郁男とねこ

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郁男の手記より


~~~~~~~~~~~~~~~

私が小学3年生のころ毎日
学校から帰ると、赤ん坊の甥をオンブして遊んでいました。
私の楽しみでもあったと思いました。
ねことも仲良くしていました。
頭の良いねこさんで名前はタローです。

私が学校から戻るころに
道を曲がって少々奥の自宅へと
私をみちびく様に先を歩いて
家の門のところへ。
玄関を上ると私の前をピョンピョン跳びながら
座敷をまわり、私は追いかけるように
なかに入りました。
この時は、まだ大東亜戦争も始まっておりませんでした。

ねこのタローは寿命を自分で悟って
ある日、忽然と家からいなくなってしまいました。
私がまだ小さい子供のころでした。


そのころ庭には大きな梅の木が有ったり
柿が良くなる木も有ったり。
ほおずきも沢山はえていて、
そのほおずきの中にもぐりこんで、
葉と太陽の光がキレイで、

自分はそのほおずきの葉の中で
いつまでもしゃがんで光を楽しんでいました。


タローは
家から少々はなれた神社の古い井戸に
自分から飛び込んで
あの世へタビダッタようです。

その井戸は使ってない、水のない深い井戸でした。

私の記憶ではタローと思われるねこが
井戸の大きな竹の筒のような中に
全身を隠すように入り込んでいました。

タロー、タロー

ねこは自分から飼い主をはなれて
どこかへ行って一生を終わるのだと。
その神社の大明神のもとへ行ったのでしょう。

大きな黄色い葉をいっぱいつけたイチョウの樹から、台風によって葉が散っておりました。
私は今でもタローの死を悲しんでくれたと思っています。


その後、太平洋戦争となり
大きなイチョウの樹もなくなりましたが、
神社の庭で
私は近所の友達と、手作りの球をつくり、
竹バット、布で作ったグローブで野球をしておりました。
また水雷ボッカンという戦争ごっこも毎日やりました。


タロー、タロー

私の忘れられない大きな赤毛のタロー。
今でも思い出して、涙が出てしまいます。
夢のような思い出です。
タローはきっと生まれ変わって
幸せな日々を送っています。
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