ホーリーウッド物語

里中一叶

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プロローグ

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私は夢を見ている。なぜ夢と分かるかというと昔から同じものを何度も見ているから。


今よりずっと幼い私。
まだ朝早い時間に起こされると簡素なワンピースに着替えさせられて、お仕着せのワンピースを着た侍女らしい女性に抱き上げられて部屋を出る。

いつもなら静かな建物は遠くで騒いでいるような声で妙に落ち着かない雰囲気だ。

移動した部屋は豪華なへやで何人かの侍女らしい女性やかわいい服の女の子ととてもきれいな服を着た女性がいた。侍女?がその女性に私を渡すとその女性は、私にペンダントをかけ、ぎゅーっと抱きしめてすぐに離される。

私はなんだか悲しくてさみしくて涙がでてきた。

「エリーを頼みます。時間がない。急いで。」

その女性がそう言うとなぜか部屋の隅にいた父さんが私を抱き上げ、部屋の壁にある本棚の真ん中にあいた隠し通路に入ろうとする。私はその女性が大好きなのだろう。

「いっしょにいこうよ。」

父さんの腕から降りようともがきながら、女性に手を伸ばすが彼女は毅然とした態度を変えない。

「エリー。あなたはここには必要ありません。行きなさい。」

そう行って隠し通路の入口を閉じられてしまった。
まだ通路を移動し始めてすぐにあの部屋の方から悲鳴や怒号が聞こえた。私と父さんが通路を抜けて後ろを見ると建物は火に包まれていた。
それを見て私は気を失った。
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