ホーリーウッド物語

里中一叶

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クリスからの問いに私は時間を少し欲しいと答えて、その間にホーリーウッド王宮内の人事的調整や書類の作成をすることにした。残るにしてもフェルティに行くにしてもこの状況は国として良くない。
簡単に王位継承式を行い、私の権限をはっきりとさせた。
宰相は辞任し新しい宰相にはザーレット公爵になってもらう。他の役職については、ザーレット公爵に任せて、就任の記念という理由でゼルドのせいで上がった税率を元に戻したり、やることは次から次へと出てくる。
クリスは一度フェルティ王国へ戻り、国王と伯父さまに報告をしたらしいのだが、伯父さまや影の留守番部隊の皆さんに色々怒られて絞られていて、なかなかホーリーウッドに来れないと手紙をくれる。会いたいけれど次に会う時までにしなければいけない事が本当に山積みで忙しかった。
ゼルドは、国際裁判所で裁かれ前王殺害と他国の王太子毒殺未遂は許されるものではなく死刑に。王妃は、実家に戻り慈善事業を積極的に行う、側妃たちとその子は修道院に入ってクリスの言った通りになった。
私にはニーナが警護兼侍女として付いて残ってくれている。もちろん伯父様が影を何人か別に付けてくれたようだが、私の前には出てこないので、何人いるかは全くわからないのだが。

クリスと再会できたのは、2ヶ月ほど経ったあとだった。
会った途端、みんなの前で抱きしめられた。
「クー、恥ずかしいんだけど。」
「やっとリアに会えたんだから。」
「クリストファー様、エルフェリア様が恥ずかしがってますし、話が進まないので自重しましょうね。あまりバカだと帰ってからまたしごかれますよ。」
ニーナに言われ、渋々少し力を緩めてくれたが離れはしなかった。
「クー、私決めたわ。あなたと一緒に生きる。でね。ホーリーウッドは、一旦フェルティ王国の属国扱いにして私たち2人で共同統治して、将来子どもが2人生まれたら上の子にフェルティ、下の子にホーリーウッドを継いでもらったらどうかしら?」
「いいね。じゃあ、その手続きはするとして、一緒に行きたいところがあるって手紙に書いてあったけど。」
「お墓参りとか、エイナに行って知り合いに会って来たいの。」
「わかった。馬車にする?馬にする?」
「あまり目立ちたくないから、着替えて乗り合い馬車にしない?」
「いいね。」
「お2人は、もう乗り合い馬車では警備上無理があります。なので、乗り合い馬車風にしますが、客は全員影がつとめます。そのまま街中で警護させていただく予定です。」
「ニーナに任せるわ。エイナと隣町の友人を訪ねて帰ってくる予定だから1週間ほどで組んでね。」
「かしこまりました。」
準備ができるまでの2日は、クリスと2人会っていなかった間の話をしたり、今後について宰相を交えて打ち合わせをして過ごした。
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