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初めてその夢を見た時、私は5歳だったと思う。
私はてくてく歩いている。目的地が、特にあったわけではない。ただ、ひとりで歩きながら新しい発見を探すような子だったから。
私は湖のほとりにたどりつき、湖のほとりにある大きな木によりかかっている男性を見つけた。
銀色の長い髪を1つに束ねた黒い服のその人は眠っているようだ。
「おじさん。こんなところで寝ていると風邪をひいちゃうよ。」
そっと揺り動かすと綺麗な空色の瞳が私を見た。
「おじさんじゃない。おにいさんだ。」
どう見ても父様と変わらないように見えるが、本人がそう言うなら、お兄さんなんだろう。
「何をしているの?」
「ある人を待っているんだ。ここで待ち合わせしている。しかしなかなか来なくて、つい寝てしまったようだ。」
その時、私はとても良いことを思いついたと思っていた。
「それなら、来るまで私が付き合ってあげる。何して遊ぶ?」
突然の申し出に若干引いているようだったが、私があまりに真剣な顔をしていたので、付き合ってくれた。
「わたしはねー、ルーって言うの。お兄さんは?」
「なんだったかな?最近名前で呼ばれないから忘れた。」
「えー。お兄さん、おかしいの。じゃあお兄さんでいいや。」
私は彼とおしゃべりしたり、石積みしたりして遊んだ。
気がつくと辺りが暗くなり始めている。
「そろそろおうちに帰らないと。お兄さんの待っている人来ないね。お兄さんも帰ろう。」
「もう少し待ってみるから、ルーはお帰り。」
「うん。じゃあまたね。」
私は家に帰る途中で目が覚め、夢だと初めて気づいたのだった。
それから、何回も夢で彼に会った。毎日見るときもあれば、半年以上間があくこともあった。夢の中の私はその時点の年齢通りなのにお兄さんは、最初に会った時と全く変わらない。
私は10歳になっていた。
「今日は、話を聞いてくれない?学校でね。隣の席の男の子に好きだって言われたの。」
「そうか。それで学校とは何だ?」
「えー⁈お兄さん、学校知らないの?学校って言うのはね。お勉強したり友達作ったりするところ。」
「好きだと言うのが男女間の恋愛を言うのなら、学校ですることに入っていないのではないのか?さっきルーは、恋愛すると言わなかったと思うが。」
「そうね。やっぱり断る!お兄さんみたくかっこよくないし。」
私はお兄さんに淡い恋心を抱き始めていた。
私はてくてく歩いている。目的地が、特にあったわけではない。ただ、ひとりで歩きながら新しい発見を探すような子だったから。
私は湖のほとりにたどりつき、湖のほとりにある大きな木によりかかっている男性を見つけた。
銀色の長い髪を1つに束ねた黒い服のその人は眠っているようだ。
「おじさん。こんなところで寝ていると風邪をひいちゃうよ。」
そっと揺り動かすと綺麗な空色の瞳が私を見た。
「おじさんじゃない。おにいさんだ。」
どう見ても父様と変わらないように見えるが、本人がそう言うなら、お兄さんなんだろう。
「何をしているの?」
「ある人を待っているんだ。ここで待ち合わせしている。しかしなかなか来なくて、つい寝てしまったようだ。」
その時、私はとても良いことを思いついたと思っていた。
「それなら、来るまで私が付き合ってあげる。何して遊ぶ?」
突然の申し出に若干引いているようだったが、私があまりに真剣な顔をしていたので、付き合ってくれた。
「わたしはねー、ルーって言うの。お兄さんは?」
「なんだったかな?最近名前で呼ばれないから忘れた。」
「えー。お兄さん、おかしいの。じゃあお兄さんでいいや。」
私は彼とおしゃべりしたり、石積みしたりして遊んだ。
気がつくと辺りが暗くなり始めている。
「そろそろおうちに帰らないと。お兄さんの待っている人来ないね。お兄さんも帰ろう。」
「もう少し待ってみるから、ルーはお帰り。」
「うん。じゃあまたね。」
私は家に帰る途中で目が覚め、夢だと初めて気づいたのだった。
それから、何回も夢で彼に会った。毎日見るときもあれば、半年以上間があくこともあった。夢の中の私はその時点の年齢通りなのにお兄さんは、最初に会った時と全く変わらない。
私は10歳になっていた。
「今日は、話を聞いてくれない?学校でね。隣の席の男の子に好きだって言われたの。」
「そうか。それで学校とは何だ?」
「えー⁈お兄さん、学校知らないの?学校って言うのはね。お勉強したり友達作ったりするところ。」
「好きだと言うのが男女間の恋愛を言うのなら、学校ですることに入っていないのではないのか?さっきルーは、恋愛すると言わなかったと思うが。」
「そうね。やっぱり断る!お兄さんみたくかっこよくないし。」
私はお兄さんに淡い恋心を抱き始めていた。
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