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「きれい…」
殿下からお披露目当日の朝届いたドレスは、黒のシルクドレスで黒のオーガンジーをふんだんに使っている落ち着いたものだった。
「黒とは…落ち着いた感じでセリーナに似合っているが、普通、お披露目は明るい色が多いから珍しいな。」
「いけないですか?」
「いや、そういうわけではないのだよ。殿下の独占欲の主張がな。」
そこまで言われて、殿下の髪と瞳の色だから黒のドレスなのだと気づいた。私は殿下のものですという主張たっぷりのドレスだと自覚すると恥ずかしくなる。
「ジョシュアあたりが入れ知恵したんだろうな。」
おとうさまの中でもジョシュア様の評価が固まってきているみたい。
念入りに支度をしてお披露目の公爵令嬢(年齢高め)が出来上がる。
髪飾りは真珠、ルージュは落ち着いた赤。イザベラ様に頂いたティーダ公爵家の紋、蝶のチャームの付いた扇子を持つ。これでクラビア公爵だけでなくティーダ公爵家も後見だと言っているようなものだ。そこまでしてもらって、何も出来ないなんて恥ずかしい、がんばらなくては。
招待客がある程度揃ったところで、おとうさまから紹介された。
「この度、養女に迎えたセリーナです。」
「セリーナでございます。皆様、よろしくお願いします。」
挨拶が終わると私とパートナーがファーストダンスを踊る。普通は、おとうさまや近親者になる男性と踊るのだが、私のパートナーは殿下がやることになっている。黒のドレスでパートナーが殿下となると周囲がざわめく。
2曲踊り、殿下が離れると早速どこかの令嬢たちが近寄ってきた。
「セリーナ様、殿下と踊られるなんて、どんな魔法を使ったのかしら?」
「キャノン伯爵令嬢、名前も名乗らずに紹介もされずに話しかけるなんて、失礼でしょ?」
2人に詰め寄られた途端、エルシィ様が来てくれた。
「ティーダ子爵夫人。」
「エルシィ様。」
ジョシュア様は、公爵令息のため既に子爵領をお持ちで、エルシィ様は子爵夫人と呼ばれるみたいだ。
「セリーナ様、こちらの方は、キャノン伯爵令嬢エミリアさんとマリンフィア公爵令嬢マーガレット様ですわ。」
最初に声をかけてきた赤毛がエミリアさんで、もうひとりの金髪がマーガレット様ね。
「はじめまして。セリーナです。」
「殿下とダンスを踊るのは、私のはずよ。あなたみたいな嫁き遅れ令嬢のしかも養女を殿下と踊らせるなんて失礼だわ。それにわざわざ殿下の色である黒のドレスを選ぶなんて、図々しいわね。」
「マーガレット様、あまり失礼な事をおっしゃるとご自分の品を疑われますわよ。」
エルシィ様がそう言うとツンと横を向く。
自分でも分かっているけれど、言わずにいられない若さと言うのか…
「セリーナ、こんなところにいたのか。」
タイミングがいいのか悪いのか殿下とジョシュア様がこちらへ来る。するとマーガレット様が殿下に近寄る
「殿下。最近、私と踊ってくださらないのは、どうしてですの?」
「マーガレット嬢、私はセリーナ以外とはもう踊るつもりはない。」
「そんな…こんな女のどこがいいのよ。」
マーガレット様が持っていたグラスを私に投げつけた。ドレスに飲み物がかかり、グラスが落ちて床で砕ける音がしたため、注目を浴びてしまった。
「マーガレット嬢、おいたが過ぎましたね。」
ジョシュア様の小さいけれど通る声がした瞬間、殿下がマーガレット様の手を掴み上げる。
「マリンフィア公爵、娘を連れて帰れ。もう二度と私の前に顔を出すな。」
「殿下、私は大丈夫ですから、そこまでしなくても。」
「殿下が贈ったドレスを汚したということを分かっていないみたいだしね。」
ジョシュア様が擁護なのか批判なのかどちらにでも取れそうだが、意味がわかると非常にまずいことだと気がつくことを言っている。
「セリーナ嬢のお披露目に招待されて来たのに、文句を言ってドレス汚すのだけでもかなり問題だけど殿下のプレゼントを故意にってどうだろうかな。」
批判ですね。完全に…
マリンフィア公爵は慌てて娘を連れて帰って行った。
「せっかくだから衣装を替えてきたら?クラビア公爵が用意してくれたドレスもあるのでしょう?」
エルシィ様の提案で私は着替えのために部屋へさがることにした。
殿下からお披露目当日の朝届いたドレスは、黒のシルクドレスで黒のオーガンジーをふんだんに使っている落ち着いたものだった。
「黒とは…落ち着いた感じでセリーナに似合っているが、普通、お披露目は明るい色が多いから珍しいな。」
「いけないですか?」
「いや、そういうわけではないのだよ。殿下の独占欲の主張がな。」
そこまで言われて、殿下の髪と瞳の色だから黒のドレスなのだと気づいた。私は殿下のものですという主張たっぷりのドレスだと自覚すると恥ずかしくなる。
「ジョシュアあたりが入れ知恵したんだろうな。」
おとうさまの中でもジョシュア様の評価が固まってきているみたい。
念入りに支度をしてお披露目の公爵令嬢(年齢高め)が出来上がる。
髪飾りは真珠、ルージュは落ち着いた赤。イザベラ様に頂いたティーダ公爵家の紋、蝶のチャームの付いた扇子を持つ。これでクラビア公爵だけでなくティーダ公爵家も後見だと言っているようなものだ。そこまでしてもらって、何も出来ないなんて恥ずかしい、がんばらなくては。
招待客がある程度揃ったところで、おとうさまから紹介された。
「この度、養女に迎えたセリーナです。」
「セリーナでございます。皆様、よろしくお願いします。」
挨拶が終わると私とパートナーがファーストダンスを踊る。普通は、おとうさまや近親者になる男性と踊るのだが、私のパートナーは殿下がやることになっている。黒のドレスでパートナーが殿下となると周囲がざわめく。
2曲踊り、殿下が離れると早速どこかの令嬢たちが近寄ってきた。
「セリーナ様、殿下と踊られるなんて、どんな魔法を使ったのかしら?」
「キャノン伯爵令嬢、名前も名乗らずに紹介もされずに話しかけるなんて、失礼でしょ?」
2人に詰め寄られた途端、エルシィ様が来てくれた。
「ティーダ子爵夫人。」
「エルシィ様。」
ジョシュア様は、公爵令息のため既に子爵領をお持ちで、エルシィ様は子爵夫人と呼ばれるみたいだ。
「セリーナ様、こちらの方は、キャノン伯爵令嬢エミリアさんとマリンフィア公爵令嬢マーガレット様ですわ。」
最初に声をかけてきた赤毛がエミリアさんで、もうひとりの金髪がマーガレット様ね。
「はじめまして。セリーナです。」
「殿下とダンスを踊るのは、私のはずよ。あなたみたいな嫁き遅れ令嬢のしかも養女を殿下と踊らせるなんて失礼だわ。それにわざわざ殿下の色である黒のドレスを選ぶなんて、図々しいわね。」
「マーガレット様、あまり失礼な事をおっしゃるとご自分の品を疑われますわよ。」
エルシィ様がそう言うとツンと横を向く。
自分でも分かっているけれど、言わずにいられない若さと言うのか…
「セリーナ、こんなところにいたのか。」
タイミングがいいのか悪いのか殿下とジョシュア様がこちらへ来る。するとマーガレット様が殿下に近寄る
「殿下。最近、私と踊ってくださらないのは、どうしてですの?」
「マーガレット嬢、私はセリーナ以外とはもう踊るつもりはない。」
「そんな…こんな女のどこがいいのよ。」
マーガレット様が持っていたグラスを私に投げつけた。ドレスに飲み物がかかり、グラスが落ちて床で砕ける音がしたため、注目を浴びてしまった。
「マーガレット嬢、おいたが過ぎましたね。」
ジョシュア様の小さいけれど通る声がした瞬間、殿下がマーガレット様の手を掴み上げる。
「マリンフィア公爵、娘を連れて帰れ。もう二度と私の前に顔を出すな。」
「殿下、私は大丈夫ですから、そこまでしなくても。」
「殿下が贈ったドレスを汚したということを分かっていないみたいだしね。」
ジョシュア様が擁護なのか批判なのかどちらにでも取れそうだが、意味がわかると非常にまずいことだと気がつくことを言っている。
「セリーナ嬢のお披露目に招待されて来たのに、文句を言ってドレス汚すのだけでもかなり問題だけど殿下のプレゼントを故意にってどうだろうかな。」
批判ですね。完全に…
マリンフィア公爵は慌てて娘を連れて帰って行った。
「せっかくだから衣装を替えてきたら?クラビア公爵が用意してくれたドレスもあるのでしょう?」
エルシィ様の提案で私は着替えのために部屋へさがることにした。
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