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7.オープンキャンパス2
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模擬授業が、とても楽しく、ここで学びたいと改めて思って、待ち合わせ場所に着くとまだしょーたは来ていなかった。
噴水が見えるベンチに座って待つ事にする。
終了時間は同じはずだが、内容や先生によって多少の差はあるもの。とりあえず午後は何をしようかとタイムスケジュールを眺めていると声がかけられた。
「君、凰蘭?うちの大学に来るの?」
見上げてみると、茶髪でチャラそうな大学生が私の目の前に立っていた。
「はい…」
一応、先輩になるんだし失礼な態度はまずいかな?と思って返事をした。
「俺、ここの経済学部の3年なんだ。案内してあげるよ。」
「友達を待っているんで、大丈夫です。」
「友達も一緒でいいよ。来るまで一緒に待っちゃおかな。」
隣、しかもスペースを空けずに座ろうとしてきた時、
「歌音、お待たせ。」
しょーたが、ベンチの後ろから私をバックハグするように包み込んだ。
突然のことに私は頭が真っ白になった。
「し、しょーた⁈」
「ごめんな。うちの方、盛り上がってなかなか終わんなくてさ。
それで、そちらは?」
私にいつもの5倍増しの優しさで話して、そこで初めて横の男に気づいたように聞いてきた。
「経済学部の3年で、案内してくれるって言ってるの。」
私はいつもと違うしょーたに恥ずかしさを感じながらも何とか平静を装う。
しょーたの気配が、あきらかに不機嫌になった。
「俺たち希望が、経済学部じゃないので。」
「そ、そっかぁ、じゃ…」
不機嫌な熊に上から睨まれたその人は、本当に逃げ出すように立ち去った。
「歌音、気をつけるように言っだだろう。」
いつものしょーたにホッとするも、さっきのは何だったのか?不思議に思い、そして普段に戻った事を残念に思う。
「うん…でも先輩だし。ただ案内してくれるだけかもしれなかったし…」
「歌音は、もう少し警戒してくれ。ぜーったい、あれナンパだから。」
「えー?私なんか可愛くないよ。」
しょーたは、私の頭をぽすっと軽く叩いて、
「ばーかっ。」
それだけ言って歩き出してしまう。
私は慌てて、しょーたの横に並べるように走った。
「しょーたは、模擬授業どうだった?」
「すんげー、面白かった。やっぱり第一志望はここだな。歌音は?」
「ここならやりたい仕事に繋げる勉強できそうだから、私も受けるよ。」
「2人で合格目指してがんばろう。…それでさ、歌音は予備校の夏期講習とか申し込んだのか?」
「ううん。いままで内部進学のつもりだったから…」
「夏期講習、一緒に行かないか?ほとんど夏休み潰れるけど。」
「行く。今からでも間に合うかな?」
「俺が申し込んだところは、来週からだから、歌音の家がいいって言ったら、申し込みに行くか?」
「どうして?」
「夏期講習だって金がかかるだろうが。ほんと、呑気だよな。」
「そ、そーか。お母さんに電話してみるから、いいって言ったら帰りに連れてってくれる?」
早速、電話をして母に了承をもらい、帰りに学校のすぐ側にある予備校にそのまま行くことにした。
土曜日の夕方とあって、いつもは混む急行も座れる程度には空いていたので、2人並んで座れた。
「夏期講習の間も毎日送り迎えするよ。」
「大変じゃない?」
「別に…学校と変わらないし。」
夏休み中も毎日、一緒にいられると思うととても嬉しかった。
噴水が見えるベンチに座って待つ事にする。
終了時間は同じはずだが、内容や先生によって多少の差はあるもの。とりあえず午後は何をしようかとタイムスケジュールを眺めていると声がかけられた。
「君、凰蘭?うちの大学に来るの?」
見上げてみると、茶髪でチャラそうな大学生が私の目の前に立っていた。
「はい…」
一応、先輩になるんだし失礼な態度はまずいかな?と思って返事をした。
「俺、ここの経済学部の3年なんだ。案内してあげるよ。」
「友達を待っているんで、大丈夫です。」
「友達も一緒でいいよ。来るまで一緒に待っちゃおかな。」
隣、しかもスペースを空けずに座ろうとしてきた時、
「歌音、お待たせ。」
しょーたが、ベンチの後ろから私をバックハグするように包み込んだ。
突然のことに私は頭が真っ白になった。
「し、しょーた⁈」
「ごめんな。うちの方、盛り上がってなかなか終わんなくてさ。
それで、そちらは?」
私にいつもの5倍増しの優しさで話して、そこで初めて横の男に気づいたように聞いてきた。
「経済学部の3年で、案内してくれるって言ってるの。」
私はいつもと違うしょーたに恥ずかしさを感じながらも何とか平静を装う。
しょーたの気配が、あきらかに不機嫌になった。
「俺たち希望が、経済学部じゃないので。」
「そ、そっかぁ、じゃ…」
不機嫌な熊に上から睨まれたその人は、本当に逃げ出すように立ち去った。
「歌音、気をつけるように言っだだろう。」
いつものしょーたにホッとするも、さっきのは何だったのか?不思議に思い、そして普段に戻った事を残念に思う。
「うん…でも先輩だし。ただ案内してくれるだけかもしれなかったし…」
「歌音は、もう少し警戒してくれ。ぜーったい、あれナンパだから。」
「えー?私なんか可愛くないよ。」
しょーたは、私の頭をぽすっと軽く叩いて、
「ばーかっ。」
それだけ言って歩き出してしまう。
私は慌てて、しょーたの横に並べるように走った。
「しょーたは、模擬授業どうだった?」
「すんげー、面白かった。やっぱり第一志望はここだな。歌音は?」
「ここならやりたい仕事に繋げる勉強できそうだから、私も受けるよ。」
「2人で合格目指してがんばろう。…それでさ、歌音は予備校の夏期講習とか申し込んだのか?」
「ううん。いままで内部進学のつもりだったから…」
「夏期講習、一緒に行かないか?ほとんど夏休み潰れるけど。」
「行く。今からでも間に合うかな?」
「俺が申し込んだところは、来週からだから、歌音の家がいいって言ったら、申し込みに行くか?」
「どうして?」
「夏期講習だって金がかかるだろうが。ほんと、呑気だよな。」
「そ、そーか。お母さんに電話してみるから、いいって言ったら帰りに連れてってくれる?」
早速、電話をして母に了承をもらい、帰りに学校のすぐ側にある予備校にそのまま行くことにした。
土曜日の夕方とあって、いつもは混む急行も座れる程度には空いていたので、2人並んで座れた。
「夏期講習の間も毎日送り迎えするよ。」
「大変じゃない?」
「別に…学校と変わらないし。」
夏休み中も毎日、一緒にいられると思うととても嬉しかった。
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