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20.理くん
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私たちが、就職して6年。そろそろ付き合い出して10年になるが、しょーたは毎年、生徒と真正面から向き合うのに忙しくて、私は二の次三の次。
大学時代ベタ甘だっただけに釣った魚には餌をやらないタイプだったのか?と呆れている部分もある。
周りの友人が結婚したとか、子どもが生まれたとか聞くたびに、しょーた、私たちはどうするんですか?と聞きたくなる。
それとも同棲が長すぎて、結婚したと勘違いしている?
そんな4月1日。
新年度になったけれど、まだ新学期が始まっていないため、少し余裕がある私たちが定時で帰り、のんびり夕食を食べていた時、突然理くんが私たちのアパートを訪ねてきた。
いつものラフな格好ではなくスーツ姿なのは、珍しい。
でも、今日は普通に仕事だったはずだから、スーツ姿でおかしくはないか。
そんなことを考えて招き入れると理くんは、仕事の鬼ではなく大学時代の理くんにしか見えない子どもっぽい表情になるので、違和感ありありだ。
とりあえず麦茶を出すと一気に飲み、一息ついたと思ったら思いのこもった一言を溢した。
「見つけた…」
「何?」
「あず…見つけました。」
「ほんと?」
ぽつぽつと話し出した理くんを急かさないように話を聞く。
「人事異動で今日から俺、系列の食品会社の課長になったんですけど、そこのパートの契約社員にいました…」
「良かったな。」
「ただ…苗字が違うんです。」
「それってあずみちゃんが、結婚しちゃっているってこと?」
「とにかく部下でいる間にちゃんと話をして、できる事ならもう一度…」
慌ててしょーたが、口を挟む。
「あずみちゃんに旦那がいるなら、拗らせるなよ。」
「わかっていますが、自分があずの相手を前にして冷静でいられるか自信はないです。」
「とにかく何かあったら、俺たちを頼れ。」
「先輩…だめな後輩のためにすみません。」
そう言いながらもこの数年、仕事以外は抜け殻みたいだった理くんの目が生き生きとしていて、できる事なら幸せになってほしいと祈らずにはいられなかった。
大学時代ベタ甘だっただけに釣った魚には餌をやらないタイプだったのか?と呆れている部分もある。
周りの友人が結婚したとか、子どもが生まれたとか聞くたびに、しょーた、私たちはどうするんですか?と聞きたくなる。
それとも同棲が長すぎて、結婚したと勘違いしている?
そんな4月1日。
新年度になったけれど、まだ新学期が始まっていないため、少し余裕がある私たちが定時で帰り、のんびり夕食を食べていた時、突然理くんが私たちのアパートを訪ねてきた。
いつものラフな格好ではなくスーツ姿なのは、珍しい。
でも、今日は普通に仕事だったはずだから、スーツ姿でおかしくはないか。
そんなことを考えて招き入れると理くんは、仕事の鬼ではなく大学時代の理くんにしか見えない子どもっぽい表情になるので、違和感ありありだ。
とりあえず麦茶を出すと一気に飲み、一息ついたと思ったら思いのこもった一言を溢した。
「見つけた…」
「何?」
「あず…見つけました。」
「ほんと?」
ぽつぽつと話し出した理くんを急かさないように話を聞く。
「人事異動で今日から俺、系列の食品会社の課長になったんですけど、そこのパートの契約社員にいました…」
「良かったな。」
「ただ…苗字が違うんです。」
「それってあずみちゃんが、結婚しちゃっているってこと?」
「とにかく部下でいる間にちゃんと話をして、できる事ならもう一度…」
慌ててしょーたが、口を挟む。
「あずみちゃんに旦那がいるなら、拗らせるなよ。」
「わかっていますが、自分があずの相手を前にして冷静でいられるか自信はないです。」
「とにかく何かあったら、俺たちを頼れ。」
「先輩…だめな後輩のためにすみません。」
そう言いながらもこの数年、仕事以外は抜け殻みたいだった理くんの目が生き生きとしていて、できる事なら幸せになってほしいと祈らずにはいられなかった。
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