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旅立ち
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フェリアは、どちらかといえばかわいいと言われる顔立ちだが平凡な茶色の髪と緑の瞳なので、派手な顔立ちが好みらしいジェームズからしたら、借金のかわりに押し付けられた最初からいらない存在だったのだと改めて思うと心が折れそうだった。
居室に戻るとサリーが、待っていた。
「フェリア様、明日ご出発と旦那様から伺いましたが、お荷物の準備はどうされますか。」
もう屋敷の中ではフェリアは明日には出て行く前提らしい。傷んでいた心もここまでされると逆に強くなれるらしい。開き直って先のことを考える気持ちになれる。
しかし、急すぎる。
明日からどこへ行けばいいと言うのか?
実家の子爵家は、父と元愛人の後妻と異母兄弟達がおり、戻っても居場所はない。幼い頃に亡くなった母の実家はすでに遠縁のものとなり、頼れる場所なんかなかった。
「サリー。出ていくのはいいとしても行き先がないから、荷物は最低限にするわ。置いていくものは手間を取らせて悪いけど処分をお願いね。」
どうしようかと考えながら、そう伝えるとサリーはびっくりしていた。
「フェリアさま、ご実家に帰られるのではないのですか?」
「実家に居場所ないから困っているの。とりあえずどこかの宿屋に行くしかないかしら。」
この2年のほとんどを過ごして来て、同じ年と言うこともありだいぶ打ち解けてきていたサリーは、思案げな顔をあげるとにっこりとした。
「フェリア様さえよろしければ、私の故郷にいらっしゃいませんか?そろそろこちらを辞めて帰ろうと思っておりますので。」
「ありがたいけれど、サリーはいいの?」
「侯爵家は、仕事を覚えるにはいいのですが、お給金が少ないので、そろそろ別の仕事をしようかと考えておりまして、来月には故郷のご領主さまのところに行くつもりなんです。
ただ2週間後に立つ予定だったので、出発までお待ち頂ければですが。」
「とりあえず手持ちのお金で泊まれそうな宿屋にいるわね。刺繍や繕いものや皿洗いぐらいの仕事ならできるしね。」
サリーがびっくりしていた。
「フェリア様はお嬢様だったんじゃないんですか?」
「義母は、私を使用人と同じように扱っていたから、結婚式まで自分が令嬢だなんて思っていなかったのよ。ここに来てからは、外に出れないから、刺繍や小物作るくらいだったけれど...」
「では、私がそのクローゼットにしまってある小物や刺繍してあるハンカチを伝手を使って売って来ます。それで宿代になると思いますよ。だから宿屋の皿洗いとかしないで、私が行くのを待っていてください。」
どうやらサリーには、暇にあかせて作りすぎた小物をクローゼットにしまっていたことはバレていたようだった。
居室に戻るとサリーが、待っていた。
「フェリア様、明日ご出発と旦那様から伺いましたが、お荷物の準備はどうされますか。」
もう屋敷の中ではフェリアは明日には出て行く前提らしい。傷んでいた心もここまでされると逆に強くなれるらしい。開き直って先のことを考える気持ちになれる。
しかし、急すぎる。
明日からどこへ行けばいいと言うのか?
実家の子爵家は、父と元愛人の後妻と異母兄弟達がおり、戻っても居場所はない。幼い頃に亡くなった母の実家はすでに遠縁のものとなり、頼れる場所なんかなかった。
「サリー。出ていくのはいいとしても行き先がないから、荷物は最低限にするわ。置いていくものは手間を取らせて悪いけど処分をお願いね。」
どうしようかと考えながら、そう伝えるとサリーはびっくりしていた。
「フェリアさま、ご実家に帰られるのではないのですか?」
「実家に居場所ないから困っているの。とりあえずどこかの宿屋に行くしかないかしら。」
この2年のほとんどを過ごして来て、同じ年と言うこともありだいぶ打ち解けてきていたサリーは、思案げな顔をあげるとにっこりとした。
「フェリア様さえよろしければ、私の故郷にいらっしゃいませんか?そろそろこちらを辞めて帰ろうと思っておりますので。」
「ありがたいけれど、サリーはいいの?」
「侯爵家は、仕事を覚えるにはいいのですが、お給金が少ないので、そろそろ別の仕事をしようかと考えておりまして、来月には故郷のご領主さまのところに行くつもりなんです。
ただ2週間後に立つ予定だったので、出発までお待ち頂ければですが。」
「とりあえず手持ちのお金で泊まれそうな宿屋にいるわね。刺繍や繕いものや皿洗いぐらいの仕事ならできるしね。」
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「義母は、私を使用人と同じように扱っていたから、結婚式まで自分が令嬢だなんて思っていなかったのよ。ここに来てからは、外に出れないから、刺繍や小物作るくらいだったけれど...」
「では、私がそのクローゼットにしまってある小物や刺繍してあるハンカチを伝手を使って売って来ます。それで宿代になると思いますよ。だから宿屋の皿洗いとかしないで、私が行くのを待っていてください。」
どうやらサリーには、暇にあかせて作りすぎた小物をクローゼットにしまっていたことはバレていたようだった。
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