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休日

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 仕事を始めて1ヶ月ほど経ち、はじめての連休がサリーと重なったので、一緒にサリーの実家へ遊びに行くことになった。

サリーはフェリアを職場の友人として家族に紹介し、身寄りがないので休暇の間、家族のように接して欲しいと言ってくれた。

おかげで母が亡くなって以来の家族団欒を味わえる夕食になった。

サリーには貿易商の両親とすでに結婚し跡を継ぐべく働いている長兄家族、25歳の独身で家の横にある商店を主に任されている次兄がいる。

長兄は幼い子がいるので、食事が終わると家族で住む離れに行ってしまい、両親も部屋に戻ったため、居間にはフェリア、サリーと次兄トムの3人が残った。

「フェリアさんは、サリーと違って大人しそうだけど、振り回されていませんか?」

「そんなことないです。サリーがいなかったら、仕事も見つけられなかったと思いますし、明るさに勇気づけられてます。」

フェリアがそう言うとトムは、にっこり笑って、それは良かったと言わんばかりにサリーの頭を撫でている。

「トム兄。わたしもう子どもじゃないんだから。妹構ってないで早く相手見つけてよ。それでフェルなんてどう?」

いきなり言われてトムは、顔を少し赤らめている。

「な、な、何を急に。こんなかわいい子が、オレなんかと...」

「いまフェル 相手いないからまずは、明日一緒に街を散策してくれば?」

そこまで言われて、トムはフェリアに向き合うと右手を出した。

「まずは、お互いを知るために明日一緒に出かけないか?」

「私で良ければ。退屈させてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。」

フェリアは、結婚していたとは言え、一度も夫とベッドを共にしたことがない白い結婚だったし、王城での宴以外で出かけることも許されなかったので、男性と2人で出かけて相手に残念な思いをさせないか気がかりだった。

その夜はサリーと2人、部屋でおしゃべりしたり明日の服を選んだりと楽しく過ごすことができた。


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