世界の裏側へようこそ～グロリアスワールド～

プロローグ 僕は冒険者

 これは冒険者エキスパート資格を得たばかりの若い冒険者の物語。
運動神経・知識・運の全てにおいて完璧でなければ冒険者エキスパート資格を14歳という破格の若さで合格したのはまさに異例だった。
巷でルアスは、世界一の冒険者ルクスの息子として絶大に期待されている。
だが、彼は地位も名声も宝も興味すら無い。
 
 望むものはずっと帰ってこない親父ともう一度会いたい。
ただ、それだけだった。


   ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊


 僕の名はルアス。
3年間、必死に修行を重ねて冒険者エキスパート試験を取得出来た。
 僕の親父は世界一の冒険者ルクスだ。
 今思えば、エキスパート資格を取得出来たのもルクスの息子という理由で過剰評価されていたのかもしれない。
数々の未踏の地を発見し、恐れる事無く地図に書き記してきた。
ルクスは危険度最大の危険地帯を次々に制覇してきた冒険者達の憧れの存在だった。

 だが、ルクスが唯一制覇出来なかった危険地帯がある。
アビス鉱山は最高の危険度を誇る。
一般人は近づく事さえ許されず、冒険者エキスパート資格を持った者しか入ることが許されない。

  ルークフェルト王国の北東に禁じられたアビス鉱山はある。
親父はアビス鉱山に七色の宝石が埋まっていると推測していた。
 そして、親父はアビス鉱山に出掛けたっきり二度と帰える事は来なかった。


ーーー僕は信じてる。
まだ親父は生きていると。
親父が帰って来なくなった日からもう3年も経過しているけど僕は親父の生存を疑ったことは無かった。


 僕は今日、やっと親父が消えたアビス鉱山を冒険する事が出来る。
荷物を纏めて飛行機に乗り、ルークフェルト王国へと旅立った。