炎の王子と氷の姫シリーズ短編集

アラセイトウ

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宰相補佐から宰相へ

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「ふざけるな!馬鹿殿下!」

その日宮廷中に宰相補佐の叫び声が響いた。
その声を聞いたものはあるものは頷き、あるものは同情したという。


ーーーーーー

その報せが届いたのは草木が芽吹く春であった。

王太子である炎の王子の婚約者氷の姫の祖国が帝国に宣戦布告され攻められたという報せが届き炎の王子がキレてそれを悪魔の宰相いや、まだ宰相補佐が必死に止めて何とか理性的に話せるようにしたその直後氷の姫の祖国の全てが凍りついたという報せが届いたのは。
案の定、またキレて炎の王子は国を飛び出して行った。
さすがにこれに関しては悪魔の宰相(宰相補佐)は

「もう、知るか!」

と言い放り投げたという。
王太子殿下の行いにより宰相と何人かいた宰相補佐は皆倒れ唯一倒れなかった宰相補佐が後の悪魔の宰相が一人で文官たちを纏め上げ時折届く炎の王子の命令に応え王太子殿下がいない事での祝典や公務の調整をし普段の仕事までそれに追加された。
それにプラスして王太子殿下がキレたことによる補填なども行った。

それにより、宰相補佐は半年で宰相代理に成りその間に宰相補佐も宰相も辞任したため更に混乱した文官たちを纏め上げ能力があれば上へ無ければ俗にいう窓際部署へと配置。
文句を言う貴族たちは皆正論と

「でしたら、貴方が宰相となって国を動かして頂けますか?」

と言い机の上のだいたい2メートルくらいの書類の山の半分くらいを貴族たちに渡す。

「嗚呼!私にはこの様な労働など出来ません!貴族は雅で無ければ!」
 
と10分くらい経つと必ず言う。
なので悪魔の宰相は額に青筋を浮かべながら何とか笑顔を作り

「でしたらお引取りを」

と言う。
これが国中の貴族ひいては隣国の貴族まで広まり彼は悪魔の宰相と言われる様になったのであった……。

それから、気づいたら炎の王子が何かをするたびに振り回されるは嫌だ!とばかりと積極的に要求をこなしていたり、要求を先回りして出しておいたりしていつの間にか2年の月日が流れていた。
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