復讐は甘く苦くじわじわと。

アラセイトウ

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今にはもう絶望しかなくて。

イトスギ

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どこだ!どこにいるんだ!
ラピスラズリ!

私を、私を置いて逝かないでくれ!

ああ、なぜ、なぜどうして奪われる。

もう、私には大切できるものが無い。

みんな、死んだ。

愛していた慈しんでいた彼女も。

嫌いだった、憎んでいた父も。

彼女の将来の義父も、義母も。

こんな国守る価値があるのか?
いや、無い。

父が変わったのも母が私を捨てざる得なかったのも彼女が儚く微笑むように成ったのも私の大切な人達が死んだのも全てあの愚王の所為だった。

父は脅されていた。
それでも出来るだけ私達を守ろうとした。
父が死んで書斎の隠し部屋の中にひっそりと大切に保管されていた私と母が植えたハツユキソウ、と日記それで全てを悟ってしまった。
自分でもそうしてしまうから。
大切だからこそ遠ざけたい。
父もそうだったのだろう。

母も出来る限り抗おうとした国を滅ぼす為に革命家として活動していた。
ソレイユもそうだった。
あの子も私と父と暮らす日々を待ち望んでいた。
あの子は、友を守ろうとして死んだ。
冤罪にかけられた友を救おうと。
最期は自分自身の炎(ほむら)に焼かれて最後の一滴まで自分の力を出し切った証拠。
その後その友人は生きていて私の味方だ。

彼女は私が隣国に行っている間に強制的に手篭めにされていた。
彼女は処女を散らしたあと、私以外に肌を許したことを書いて命の華を絶った。
泣き腫らした顔がその壮絶な覚悟を示していた。
私は、私は!
そんな事望んでいなかった!
彼女には、ラピスラズリには生きていて欲しかった!
悔しい。憎い。守れなかった自分が!
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