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七月の夢
しおりを挟む一年に一度だけ
宙に浮かぶ川を超えて
愛し合う二人が出会う日。
地上の人々は、
二人の再会と願いを笹と共に揺らす。
「また雨かよ。」
教室の窓から見えるのは灰色の空。
どんよりと湿った空気が気分を下げる。
自分1人残る教室の入口には色鮮やかになった笹がある。
雨の日が続く七月。
山田が七夕だ!と騒ぎ、教室に笹を持ってきた。
最初こそクラスメイトはバカにしていたが
その日が近づくにつれ山田が持ってきた笹はあっという間に願い事でいっぱいになった。
席から立ち上がりその笹に近づく。
色とりどりの願い事はそれこそ十人十色。
勉強のこと、スポーツのこと、恋愛のこと、家族のこと、
これからのこと。
「願いというより、夢に近いよな」
そんなことを呟きながら眺める。
一際大きく書かれた
[美味しいもんをたくさん食べたい]
という綺麗とは言えない文字は名前を見なくても誰だとわかる。
「ホントに食の事しか頭にねぇんだな」
少し笑ってしまう山田らしい願い事。
その少し下にはこれまた大きく
[運動がもっと出来るようになりたい!]
と癖のある文字が。
「…運動出来るだろ」
高みを目指す。というよりもいつもいるメンバーと同等になりたいという河本の願い事。
少し控えめな場所に書かれた
[購買の限定パンが食べたい]
という文字は。
「お前もかよ」
山田にいつも先を越されてしまう切ない八神の願い事。
黄色い短冊に書かれた
[みんなの願いが叶うように]
という綺麗な文字のキレイゴト。
「……願い事無さそうだしな」
胡散臭いけど、ウソツキではない立花の願い事。
七夕ってなんで願い事するのか知らねぇ。
「あ!辻ちゃんみっけー!」
オリヒメと、ヒコボシだっけ?
その二人の年に一度だけの再会の日
「辻くん帰るよー。」
そんな大切な日に他人の願い事なんざ構ってられないと思うし、
「あれ?つーじーくーん!」
星に願ったところで叶うとも思わねぇ。
「遼太郎、帰るよ。」
叶わないと知ってるけど、だけど、
「おう、わりぃ」
想うくらい、書くくらいいいよな?
揺れる笹と沢山の願い事の中。
大事そうに飾られた青い短冊に書かれたのは。
大切な人との再会。
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