歪んだ愛

俺１６歳、姉１８歳 ～２～

自宅に帰り、引き取られた時の事を思い出したはものの今の両親と実の両親の関係が分からない。

養子と言う事を俺が覚えていなかっただけで姉は覚えているだろう。

何か手がかりは無いかな。と思い、クローゼットからアルバムをひっぱり出してみた。
生まれたばかりの俺を抱いて微笑んでいる女性。
成長した俺と女性と寄り添うように写る男性。
実の両親だろうな。。。
何枚もの写真を見ながらページをめくっていくとアルバムの真ん中ぐらいに団体写真があった。
今の両親と姉も一緒に写っている。
団体写真の後ろに今の父の会社の３０周年記念会とあるから同じ会社のつながりなんだろうなぁ。と推測できた。

アルバムの写真はどれも笑顔でとても仲の良い家族だと分かるし実母の手書きであろう『初めてあるいたよ』『３才桃太郎の猿役だね』コメントからも愛が伝わってきた。

涙が止まらなかった。。。

さっきまで忘れていたのに。。。

声や仕草などは思い出せないが写真の中の笑顔や抱っこされた時のぬくもり等の感覚が次々にあふれ出てきて嬉しくて悲しくて寂しくて。。。忘れていてごめん。。。

こんなに泣いた事はあっただろうか。

昼頃帰宅してからアルバムを何度も見返して泣きながらいつの間にか寝ていた。
部屋の中は真っ暗で喉が渇いたから１階に降り台所で喉を潤すと少し落ち着いた。

リビングのソファに座り直し今の家族の事を考えた。
実の両親と思っていたほどだから関係は良好だ。
姉とは時々ケンカしたが今では一人の女性として想うほど大好きだ。
詳細は分からないが多分同僚であろう家族の息子『俺』を引き取り今まで育ててくれたし、これからも変わらないであろう。

思い出したからと言って急に実の両親の話を出したら当たり前のように話に付き合ってくれるだろう。
だけど今は悲しいのか寂しいのか色んな感情が溢れてきて気持ちが不安定だから口にするのは難しい。いつか今の父にどんな経緯で引き取ってくれたのかは聞いてみたいが今は現状維持！と思う事にした。

真っ暗なリビングで考えていたら電気が点いて姉が小さく悲鳴をあげた。

「もう、居るなら電気位点けててよ！びっくりしたじゃん」

友達と出かけて居た姉が帰宅した。
プリプリ怒る姉を見ながら『怒った顔もかわいいなぁ』『ミニスカートたまらんな』とかゲスな事を考えてしまいさっきまでのモヤモヤしていた気持ちがが一挙にふっとんだ俺は拗らせてるやりたいばかりの猿だ。

部屋に戻りアルバムにあった３人で写っている写真をスマホで撮り保管してアルバムを片付けた。