種族【半神】な俺は異世界でも普通に暮らしたい

穂高稲穂

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4巻

4-2

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 そんな数あるクエストの中に、おあつらえ向きのクエストがあった。


 シャンダオにひそむノリシカ・ファミルの構成員を見つけ出す
   クリア報酬:30000神様ポイント
   クリア報酬:不信のはり


 ノリシカ・ファミルの幹部コホスを捕らえる
   クリア報酬:500000神様ポイント
   クリア報酬:偽証ぎしょうの心得


 ノリシカ・ファミルのボスを捕らえ組織を壊滅させる
   クリア報酬:8000000神様ポイント
   クリア報酬:邪心の紙片
   クリア報酬:大悪党のサムリング


 まさに俺が探しているノリシカ・ファミルの情報だった。
 コホス……アルガレストに麻薬を流していた、俺にとって因縁の相手だ。
 そんな時、ドアがノックされた。

「タロウ様、ブルオンです」
「どうぞ」

 ソファーに寝そべって寛いでいた俺は、姿勢を正してブルオンを部屋に入れる。

「タロウ様、一杯どうですか?」

 ブルオンはニンマリと笑みを浮かべて酒瓶さかびんを見せる。

「良いですね。何かつまめるものは俺が出します」
「おぉ! それはありがたい!!」

 目をかがやかせるブルオン。俺はインベントリからグラスを二つとちょうどいいつまみを出してテーブルに置く。
 ブルオンはソファーに座ってグラスに藍色あいいろのお酒を注ぐ。なかなか見ない色のお酒だ。

「それでは乾杯!」
「乾杯」

 カチャンとグラスを軽く当てる。

「今日はいろいろありがとう。夕食の料理もすごく美味しかったです」
「ご満足いただけて何よりです! リメリスとマルエーヌもタロウ様とお話ができて良かったと喜んでいました!」

 俺は微笑みながらお酒を一口飲む。

「ん!?」

 口に含んだ瞬間しゅんかん、口の中に広がる強烈な刺激。バチバチと電気が流れたような感覚だ。
 だけど味わい深くとても飲みやすい。
 俺が目を見開いていると、ブルオンはニンマリと笑う。

「どうですか? タロウ様のために手に入れました、アドラヴァリオという雷竜酒らいりゅうしゅです。ドラゴンがまれに作る奇酒で、滅多に手に入らない、かなり貴重なものなんですよ」
「ドラゴンが作る酒か。面白いね。こんな凄いものを飲ませてくれたお礼をしないとね」

 俺のお礼という言葉に目を輝かせるブルオン。
 わかりやすい彼に苦笑しつつ、スマホを取り出してインベントリを開く。
 今回招待してくれ、夕食までご馳走してくれたお礼も兼ねたものを渡したい。ついでにリメリスとメルエーヌのプレゼントも選ぼうか。
 お菓子やお酒、小物を選んで次々とテーブルに出す。

「おぉ! おぉ! これがリョー……タロウ様の!」

 興奮して俺のことをリョーマと呼びそうになるブルオン。今は二人だけしかいないし、別に本名でもいいけど言わないでおく。
 ブルオンはうれしそうに品物を一つ一つ見る。

「わかってると思うけど、これをどっかに売ろうなんて考えないでよ」
「もちろんですとも! タロウ様の信用を損なうようなことはいたしません! 商売の神ラストス様に誓いましょう」

 真剣な表情で言うブルオン。
 うん、大丈夫そうだな。

「ところで、ディダルーへの手紙の件はどうなってるかな?」
「つつがなく手配いたしました! 早ければ明日には返事が来ると思います」

 ブルオンはお酒を飲みながら答える。

「ありがとう。すごく助かるよ。お店の方はどう?」
「タロウ様からいただきましたあの野菜や果物が飛ぶように売れております!」

 他愛もない話をしながらお酒を飲み交わす。ブルオンは俺が出したつまみを美味しそうにバクバク食べていたけど……
 特に最高級のチーズがお気に入りだったようだ。
 時折、取引したいとでも言いたげにチラチラと俺を見てくるけど、無視をする。
 それにしてもブルオンがおつまみを食べる手が止まらない。
 夕食にびっくりするほどご飯を食べていたのに次々と口に放り込んでいた。
 ここまで喜んでもらえるなら嬉しい限りだ。
 気分が良くなった俺は、ブルオンにご馳走しようとインベントリからキャビアの瓶を取り出した。

「タロウ様、それは?」
「これは俺がいた世界で三大珍味さんだいちんみと言われているものだよ」

 俺はお皿の上に氷雪ひょうせつ魔法で細かい氷を出して、その上に蓋を開けたキャビアを置く。五分ほど冷やしたところで食べ頃だ。
 木製のスプーンでキャビアをすくってブルオンに差し出す。

「どうぞ、食べてみて」
「おぉ! ありがとうございます!」

 ブルオンはキャビアを口に含むと、プチプチと潰してじっくりと味わう。

「これはこれは……なかなかに美味びみですな! これはどんな食材でしょうか?」
「チョウザメっていう魚の卵を徹底的に不純物を取り除いてから、塩水で味付けして熟成じゅくせいさせるんだよ」
「ほうほうほう……魚の卵を……それにしても本当に美味しいです! 先ほど三大珍味と言っていましたが、他には何があるのですか?」

 身を乗り出して聞いてくるブルオン。

「フォアグラとトリュフって言って、フォアグラはガチョウやアヒルっていう鳥にえさをたくさん与えて太らせたものの肝臓かんぞうだね。自分は内臓とか苦手なんだけど、このフォアグラは美味しく食べられるんだ。ガチョウのフォアグラが本当に美味しくて、文字通り濃厚で口の中でトロッととろけるんだよ。それが美味しくてね~」

 それを聞いてゴクリと喉を鳴らすブルオン。

「そ、それは食べることは可能でしょうか!?」
「残念だけどフォアグラは持ってないんだ。あ、でも……」

 フィランデ王国で攻略したダンジョン、ラフティア牧草原。あそこは肉ダンジョンって呼ばれてるし、もしかしたら近い味わいのドロップ品を残す魔物がいるかもしれない。

「どこかでフォアグラを手に入れられたらご馳走するよ」
「是非是非お願いします!! それで……もう一つの珍味は何でしょうか?」
「トリュフといって地中に埋まっているきのこで、香りがかなり強い食材だね。食べた人によってどう感じるかは違うけど……個人的には、深緑の極上のスパイスって感じかな。トリュフには黒トリュフと白トリュフっていうのがあってね、黒トリュフも高級食材なんだけど、白トリュフの方が希少で価値があるんだよね」
「なるほどなるほど……そのトリュフというのは?」
「残念だけどそっちも持ってないんだよね」
「そうですか……」

 非常に残念そうにするブルオン。それから食べ物の話に花を咲かせていると、時間はあっという間に過ぎた。
 俺は眠くならないけど、さすがにブルオンは酔いが回ってきたのか、眠そうにし始めたのでお開きとなった。


 翌日、ディダルーからの返事を待つ間、俺はシャンダオの首都グアンマーテルを散策することにした。
 昨日も思ったが、さすがは商人の国だ。
 首都には世界中から品物が集まって本当になんでも売っている。ここで手に入らないものはないと言っても過言ではないだろう。

「しかし、本当に人がたくさんいるなぁ」

 エルフやドワーフ、獣人など、多種多様な種族が入り乱れて往来している。
 見ているだけで楽しいのだが、人の多さに若干疲れてきたから、どこかのお店に入って休憩きゅうけいしようかな。
 どこか良いところがないか探していると、テラス席のあるカフェを見つけた。そこそこお客さんが入っている人気のお店のようだ。
 まずは店内に入ってみる。

「いらっしゃいませ!」

 若い男性の従業員が元気よく声をかけてきた。

「すみません。外の席で食事がしたいのですが」
「はい! ではお席にご案内いたします!」

 従業員に連れられて、外の空いてる席に案内してもらう。

「お客様、カピィとサディッチはいかがでしょうか?」

 どちらも聞いたことがないものだ、せっかくだからそれにしてみようか。

「じゃあそれを貰おうかな」
「ありがとうございます! 六十ドラルになります!」

 ポケットに入れておいたお金を取り出して渡すと、受け取った従業員は急いでお店の中に戻っていく。

「すぐにお持ちいたしますね!」

 それから少しして、トレーを持って戻ってきた。

「カピィとサディッチになります!」

 店員がそう言って俺の前に置いたのは、どう見てもコーヒーとサンドイッチだった。この国ではそういう呼び方をしているのだろうか。
 もしかして味が違うのかと思って食べてみるが……カピィはまさにコーヒーの味だし、サディッチはまごうことなきBLTサンドだ。
 まぁ、普通に美味しいからいいんだけど。
 サディッチを平らげた俺は、カピィを飲みながら通りを眺めてのんびり過ごす。
 喧騒を聞きながら雲がゆっくり流れる空を眺めていると、近くの席の会話が聞こえてきた。

「そういえば人魚が現れたって聞いたんだけど、お前知ってるか?」
「人魚? それは珍しいことだな。捕まえたのか?」
「いや、それはわかんないけど見てみたいな。海のエルフって言われるくらい美男美女って聞くしな」

 人魚か……
 地球でも人魚伝説は聞いたことがある。人魚の血肉を食べれば不老不死になるとかそんなのだ。この世界の人魚はどうなんだろうか。人魚伝説とかもありそうだよな。
 ちょっと気になりつつ、かといって彼らに声をかける気もないので、カピィを飲み干した俺は席を立った。会計は済んでいるからそのまま店を離れる。
 それから日暮れ近くまで周辺をブラブラして、ブルオンの邸宅に戻った。
 ドアノッカーをガンガンと叩くと、使用人のモリスが出てきて迎え入れてくれた。
 しかし屋敷の中に、昨日はなかった強者の気配がある。ブルオンのお客さんだろうか。
 昨日の部屋まで案内してもらった俺は、ソファーに座って寛ぐ。
 ディダルーの件は返事があったのだろうか。来客が帰ったら聞いてみるかな。
 そう思っていると、ドアがノックされてブルオンが入ってきた。
 その横には、以前会ったディダルーの護衛であるギーアがいた。

「お久しぶりです、リョーマ様!」

 ギーアはひざまずきそうな勢いでかしこまって挨拶をする。

「お久しぶりです、ギーアさん。今は身分を隠して来ているのでタロウと名乗ってます。なのでタロウって呼んでください」
「こ、これは大変失礼いたしました! 申し訳ございません!」

 深々と頭を下げるギーア。

「あ、頭を上げてください! とりあえず座ってお話をしましょう。どうぞおかけになってください」

 ブルオンとギーアは言う通りにしてソファーに座る。
 俺はインベントリから二人分のジュースを出してコップに注ぎ、二人の前に置く。
 ブルオンがジュースを凝視し生唾なまつばむ一方、ギーアは緊張しているようでぎこちない様子だ。

「ギーアさんが来たということは、自分の手紙は無事にディダルーさんに届いたんですね」
「はい。タロウ様がグアンマーテルにいることにすごく驚いていました。いつこちらにいらしたのですか?」
「昨日ここに到着しました。それでブルオンさんの助けを借りてディダルーさんに手紙を送った次第です。まさかすぐにギーアさんに会えるとは思いませんでした」

 俺はハハハと笑う。

「ディダルー様が直接ここに来られたら良かったのですが、いろいろと事情がありまして、自分がご挨拶にうかがいました。明日、ディダルー様のところにご案内できますが、タロウ様のご都合はいかがでしょうか?」
「自分は大丈夫です。できれば早い方が良いので、是非明日よろしくお願いします」
「かしこまりました。では明日、改めてお迎えに上がります」

 とりあえず話はまとまる。

「話が一段落したところですし、乾杯しましょう!」

 待ってましたっと言わんばかりにブルオンはジュースの入ったコップを手にする。

「それもそうですね。乾杯しましょう」
「ではお言葉に甘えて……」

 俺はそれに同意してコップを持ち、ギーアも緊張しつつも表情をやわらかくして、コップを手に取る。
 そんな中、ブルオンが張り切って乾杯の音頭おんどを取って、恭しくコップを掲げた。
 ジュースを飲みたいという魂胆こんたんが全身からにじみ出ていることに俺は少し苦笑いする。
 ブルオンはごくごくと味わいながら一気に飲み干し、いつものようにおかわりしたそうにチラチラと俺を見ている。一方でギーアは、初めて口にする異世界のジュースに心を奪われていた。
 それから軽く歓談をして、ギーアは帰っていった。
 ブルオンも仕事があるということで部屋を出ていく。
 一人になった俺は、ベッドに横になる。

「あ、人魚のこと何か知ってるか聞いてみようと思ったけど、すっかり忘れてたな……。まぁ今度聞いてみたらいいか……」

 特に急ぐわけでもないし、と俺は目をつむるのだった。


 次の日、予定通り昼過ぎに、ギーアが迎えに来た。

「それではギーアさん、よろしくお願いします」
「はい。ではディダルー様のところへご案内いたします」

 あまり目立たないように馬車は使わずに徒歩での移動だ。
 高級住宅街を抜けて人通りが多い中心街に移動する。
 しばらくギーアの後をついていくと、裏路地にあるひっそりとした建物に着いた。
 建物の中に入ると、隠れた酒場のようで、お客さんは一人もいなくてカウンターの中に店主とおぼしきおじさんだけがいた。
 彼はチラッと俺達を見るが、すぐに手元のグラスに視線を落とす。

「タロウ様、少々お待ちください」

 ギーアはその店主のおじさんのところに行き、コソコソと何かを伝える。店主が頷くとギーアは俺のところに戻ってきた。

「こちらです」

 俺はギーアと一緒にカウンターの中に入り、見えないように隠されていた地下への階段を降りた。
 ここは前に密会をしたような隠れ家の一つなのだろう。
 しばらく階段を降りていくと通路があり、その奥にドアが一つあった。
 ドアの前に立つとギーアが中に合図をし、ドアを開けた。
 部屋の中は落ち着いた雰囲気で、テーブルと椅子が二脚、壁には絵画が飾られていてほのかにお香のいい匂いがする。

「お久しぶりです、タロウ様」

 そう言って椅子に座っていた男――ディダルーが立ち上がると深々と頭を下げてきた。
 俺が偽名を名乗っていることはギーアから聞いたのだろう。

「ディダルーさん、お久しぶりです。急な来訪なのに対応してくれてありがとうございます」
「いえいえ! タロウ様のためでしたら最優先にやらせていただきます。さぁさぁ、どうぞおかけになってください」

 促されるがままに俺が椅子に座ってから、ディダルーもテーブルを挟んだ向かいの椅子に座った。
 ギーアは一礼すると部屋を出ていった。気配はドアの前にあるからそこで密談が終わるのを待っているのだろう。
 ドアが完全に閉まると、さっそくディダルーが口を開く。

「ご活躍かつやくはここまで聞こえてきました。獣人の守護者になられたこと、誠におめでとうございます」

 そう、俺はアルガレストの麻薬問題を解決して獣人を解放したことで、闘争と勝利を司る神であるタウタリオン様から、獣人の守護者の称号を貰ったのだ。

「ありがとうございます。大勢の獣人達の運命を背負うのは責任重大で、自分にちゃんと務まるのか不安はありますが……彼らの守護者になった以上は運命を共にしたいと思ってます」
「さすがは使徒様です! 私にできることがございましたらなんでもお申し付けください。微力ではございますが尽力いたします」
「ありがとうございます。ディダルーさんに助けていただけたらすごく心強いです」

 まずまず和やかな雰囲気で話をする。
 さて本題を話そうと俺が真顔になると、ディダルーも雰囲気が一変した。

「獣人の守護者のことをご存知なら事情も知っていると思いますが……前回の密会からノリシカ・ファミルについていろいろ調べた結果、俺はアルガレストの惨状に辿たどり着きました」

 あの惨状を思い出すだけで、思わず怒りがこみ上げてきた。
 俺は慌てて怒りを抑えるが、わずかに滲み出る俺の魔力にディダルーは真っ青になり、ギーアは慌てて部屋に入ってきて主人であるディダルーを守ろうとした。

「……すみません。少し興奮してしまいました」

 落ち着いて魔力を抑えると、ディダルーとギーアはあからさまにホッとする。
 ギーアは深々と頭を下げて部屋を出た。

「それでアガレストに蔓延まんえんしていた麻薬ですが、販売していた組織を調べたところ、ノリシカ・ファミルの影があることがわかりました」
「……やはりそうでしたか。奴らは悪辣あくらつで残忍で狡猾こうかつです。野放しにはできません」

 今度はディダルーが拳を強く握り怒りをあらわにする。
 俺は頷き、言葉を続ける。

「ノリシカ・ファミルの人間と接触する機会があり、話をしました。奴らは麻薬で獣人を操り、大きな事件を起こそうと危険な計画を企てていたようです。そして俺がアルガレストから麻薬を一掃いっそうし、獣人の守護者となったことで計画がついえたからか、今度は俺の身内を襲ってきたのです……犠牲者も出ました」
「なるほど……それは由々ゆゆしき事態ですね」

 ディダルーはいきどおりを隠せていない。

「自分としても到底見過ごせない事態になったので、ノリシカ・ファミルを打倒することにしました。なのでディダルーさんにはそのことを伝えたかったのと、協力をお願いしに来ました」
「私としては願ってもないことです!! ようやく念願をかなえることができます」
「ええ。ですのでまずは陸運の巨人ベンジャーノに会ってみたいと思います。ディダルーさんが前に言っていましたが、その人が本当にノリシカ・ファミルのボスなのか見極めたいです」
「そうですね……ベンジャーノと会うとなりますと、使徒リョーマ様として、おおやけにシャンダオを訪れていただくのが良いと思います。側近の私でもなかなか会えないベンジャーノですが、それなら国の顔役の一人として対応せざるを得ませんから……そうですね、ちょうどシャンダオで特別なオークションが行われる時期です。それに参加するというのはどうでしょうか?」
「確かに、使徒の立場を利用するのが一番てっとり早く面倒がないですね。それにオークションですか……良いですね、それ!」

 オークションか、どんなものが出品されるんだろうか。

「では俺は一旦フィランデ王国に戻ることにします。ディダルーさんは、俺がシャンダオに来るといううわさをそれとなく流してもらえませんか?」
「かしこまりました。お任せください」

 ディダルーは笑みを浮かべて頷く。
 と、俺はふと気になったことを聞いてみる。

「そうだ、ディダルーさん。ノリシカ・ファミルの本拠地とか、シャンダオで怪しい動きがないかとか、何か情報はありませんか?」
「私の方でも長年調べていますが、情報をつかんでもかすみのごとく消えてしまうのです。相当警戒心が強いようですね」
「そうですか……それではまずはベンジャーノですね」

 諸々もろもろの計画を話したところで、密会は終わった。
 俺がディダルーに別れを告げて一人で部屋を出ると、ドアの前にはギーアが待機していた。長いこと話をしていたのだが、ずっとドアの前にいたのだ。

「タロウ様、お送りいたします」

 一緒に階段を上がりカウンターの中に出る。
 けっこう時間が経ってるはずだが、店内は誰かが来た形跡けいせきはなく、お客さんは相変わらず一人もいない。カウンターにいるおじさんは軽く会釈をする。
 俺とギーアは酒場を出て裏路地から通りに出た。

「ここまででいいですよ。一人で帰れますので」
「かしこまりました。本日はありがとうございました」

 ギーアは軽く頭を下げ、俺はそれに手を上げて応えて別れた。
 日が暮れ始めているけど通りは人がまだ多く、うるさいくらいに賑やかだ。
 そんな人々をうように避けてブルオンの家に向かった。


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