種族【半神】な俺は異世界でも普通に暮らしたい

穂高稲穂

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4巻

4-3

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 ブルオンの家に戻ってきた俺は、出迎えてくれたモリスに尋ねる。

「ブルオンさんは帰ってきてますか?」
「はい。先ほど帰宅されました。お呼びいたしますか?」
「いえ、ブルオンさんのところに案内お願いします」
「かしこまりました」

 ブルオンは書斎しょさいにいるということで案内してもらった。
 書斎の前に到着してモリスはドアをノックし、中にいるブルオンに俺がいることを伝える。
 するとドスドスドスと慌てて近付いてくる足音が聞こえ、ドアが開けられると満面の笑みのブルオンがいた。

「タロウ様! お帰りになられていましたか! どうぞどうぞ中へ!」

 書斎の中に入れてくれた。
 魔道具の明かりで部屋の中は明るく、壁には本棚があり、側に丸テーブルと一人がけのソファーが二つあった。本棚には高そうな装飾の本だったり、高そうなお酒や装飾品だったりが飾られている。
 書斎の奥の方にはブルオンの体格に合わせて作られたのだろう立派な机と椅子があり、本や書類が積まれていた。

「仕事中にごめんね」
「いえいえ! ちょうど切り上げようと思っていたところです!」

 言い終えるタイミングでブルオンのお腹が豪快に鳴る。

「いやはや、お恥ずかしい……」

 少し恥ずかしそうにお腹を擦るブルオン。

「どうぞおかけになってください!」

 ブルオンが示した本棚の近くにあるソファーへ座ると、体が沈むほどにふかふかで気持ちいい。
 ブルオンが座ったもう一つのソファーの方は、ギシギシギシときしんでいた。

「お陰様でディダルーと話ができたよ。本当にありがとう」

 お礼のために軽く頭を下げた。

「あ、頭を上げてください! タロウ様のお役に立ててこの上なく光栄です! これからも何なりとお申し付けください!」

 張り切るブルオン。頼もしい限りだ。
 ブルオンは商人であり、儲けのためならいろんな意味で計算もするだろうが、俺に対しての彼の言葉は、どれも計算ではなく本心のように感じられた。
 ブルオンと知り合えて良かったと、なんだか嬉しくなる。

「そうそう、俺は一旦フィランデに帰ることになったから、お世話になったお礼が言いたかったんだ。ブルオンがいなかったらディダルーに会うのも大変だったと思う。君と知り合えて本当に良かった。ありがとう」
「ッ!! もったいないお言葉……タロウ様にそう言っていただけて大変光栄です!!」

 ブルオンは目に涙をめて喜びに体を震わす。今にも跪きそうな雰囲気だ。

「俺はもう行かなきゃいけないから、みんなでこれを食べてよ。また来るからよろしくね」

 スマホを出して妖精の箱庭を開き、妖精達が作っていた料理を出す。

「これは妖精達が作ったすごく美味しい料理なんだよ」

 小さな妖精が作ったから量もそんなに多くないと思うかもしれないが、しっかりと人間が食べて満足する分量がある。
 テーブルに並ぶその料理の数々にブルオンは目を見開き、涙は一瞬で引っ込んだ。
 美味しそうに盛り付けられた野菜の料理を凝視し、ヨダレがこぼれそうになっている。

「……独り占めしないでよ。たくさんあるから」
「も、もちろんです! 家族といただかせてもらいます!」

 冗談で言ったのに、慌てるのが怪しくて思わずジトッと見てしまう。
 ブルオンが壁にあるすずを鳴らすとすぐにモリスが部屋に来る。
 ブルオンは妖精の料理を丁重に運ぶように指示し、今日の夕食に出すように言っていた。

「さて、俺はそろそろ行くよ。今度はゆっくり遊びに来るね」
「はい! お待ちしております!」

 挨拶も済んだところで、ブルオンの邸宅を後にする。
 外はすっかり暗くなり、高級住宅街の人通りもまばらだ。
 それでも中心街の方に行けば、夜もやっているお店で人通りは賑やかで、酔っぱらいの姿も多く見かける。
 俺は人目につかないようにスキルの隠密を発動し、人気ひとけの少ない裏路地に入ってスマホを出すと、アプリの転移門を起動した。
 転移門は地図アプリと連動していて、地図に位置情報を登録しておけば、いつでものその場所に行き来できる便利な機能だ。
 サンアンガレスの自分の家、その執務室を選んだ俺は、そのまますぐに転移した。
 帰ってきたことを知らせるためにインベントリから魔法の鈴を出そうとしたところ、ふわっと柔らかな光とともに、大天使のルシルフィアが現れた。

「おかえりなさいませ、リョーマ様」
「ただいまルシルフィア。スレイルとミアは?」
「スレイル様は能力を万全に扱えるようになるため、私の結界の中で修練中でございます。ミア様はすでに就寝しております。スレイル様をお呼びいたしますか?」
「う~ん……頑張ってるならいいよ」

 二人の様子を聞いてなんだか落ち着く。
 改めてインベントリから魔法の鈴を出して鳴らすと、間もなくしてサンヴァトレが執務室に来た。
 この魔法の鈴はサンヴァトレが付けているピアスと連動していて、鈴を鳴らすとサンヴァトレのピアスに合図が送られるという仕組みになっている。

「おかえりなさいませ、リョーマ様」
「ただいま。疲れたから大浴場に入りたいんだけど、今入れる?」
「はい。ただちにお着替えをご用意いたします」

 サンヴァトレが執務室を出てしばらくすると、着替えの用意ができたということで大浴場に向かう。
 ルシルフィアも俺の背中を流すからと言ってついてきている。
 脱衣所で衣服を全部脱ぎ捨てて大浴場に入り、掛け湯をしてさっそく湯船に入る。

「うぁ~」

 お湯の熱さがちょうど良く、やされる。
 ルシルフィアも服を脱いで掛け湯をして入ってきた。
 当然彼女も裸なのだが、使徒になったことで性欲がかなりうすまってしまったから欲情することはない。
 二人で気持ちよく湯船に浸かる。

「スレイルとミアはちゃんとお風呂に入っている?」
「はい。二人はお風呂が好きなようで、毎日入っていますよ。スレイルはいつもスイスイ泳いだりしてますよ」
「アハハ、相変わらずだな~」

 湯船の気持ちよさも相まって和み、自然と笑みが浮かぶ。

「リョーマ様の方は順調ですか?」
「うん。三日前にシャンダオの首都のグアンマーテルに到着して、ブルオンに手伝ってもらってディダルーに会うこともできたよ」
「さすがリョーマ様です。今後はどうされるのですか?」
「ひとまずディダルーと協力してノリシカ・ファミルを追うことになった。それから今回はディダルーとひそかに接触するために身分を隠してグアンマーテルに潜入せんにゅうしたけど、次は使徒として正面から向かう。ベンジャーノに会うためにね」
「ディダルーの話によればベンジャーノこそがノリシカ・ファミルのボスということですからね」

 ルシルフィアの言葉に俺は頷く。

「もしそれが本当だとしたら、シャンダオにとっては大きな問題だよ。ベンジャーノが消えたらシャンダオは大きな混乱が起きるはずだからね。ノリシカ・ファミルを完全に潰すとしても、慎重に行動しないと」
「そうですね。シャンダオのトップの一人として、ノリシカ・ファミルのボスとしてどれほどの力を持っているのか計り知れません。不測の事態になることも十分考えられますので、その時は私やスレイルを呼んでください。必ずリョーマ様のお力になりますので」
「ありがとう。頼りにしてるよ……ふ~」

 湯に火照ほてった体を少し冷やすために湯船から上がる。

「お背中お流しします」

 俺はルシルフィアに背中を流してもらってから風呂を出る。
 俺の脱ぎ捨てた服はサンヴァトレが回収したのだろう、新しく置かれた綺麗な服に袖を通した。
 さっぱりして私室に戻ると、金の装飾が施されたキッチンワゴンを引いて、サンヴァトレが入ってくる。

「お夜食のご用意をいたしました。お召し上がりになりますか?」
「ありがとう! いただくよ」

 キッチンワゴンにあった料理やお酒がテーブルに並ぶ。ちゃんとルシルフィアのぶんもある。
 俺とルシルフィアは席について夜食を食べながら、これからのことについて話し合った。


 翌日、朝早くにスレイルとミアが俺の寝室に入ってきて抱きついてくる。二人はルシルフィアから俺が帰ってきたことを聞いたらしい。


「お兄ちゃんおかえり!」

 スレイルは俺が帰ってきたのがすごく嬉しそうだ。

「リョーマお兄ちゃん、おかえりなさい」

 ミアは使徒である俺にまだ緊張している様子だけど、それでもスレイルの服の裾を掴みながらちゃんと挨拶してくれる。

「二人ともおはよう。勉強頑張ってる?」

 可愛い弟と妹のような二人の頭を撫でながら聞く。

「頑張ってるよ!」
「頑張って……ます」

 スレイルはニコッと満面の笑みで答え、ミアは勉強が少し苦手なのか耳が少し下向きになっている。

「お兄ちゃん、ご飯食べよう!」

 スレイルは俺の手を引っ張ってベッドから出そうとする。ミアもスレイルの真似をして一生懸命いっしょうけんめいもう片方の俺の手を引っ張ってきた。

「はは、わかったよ。それじゃあ一緒に行こう」

 三人で食事室に行くと、タオルクとルインがいた。

「お? シャンダオに行ったんじゃなかったのか?」
「忘れ物でもしたッスか?」

 タオルクはワインを飲みながら、ルインはキョトンとしながら言う。

「もう行ってきたよ」

 俺がそう言うと二人は驚愕の表情を浮かべた。
 まぁ、普通に往復しようと思ったら月単位でかかる距離だ。二人の反応ももっともだろう。
 納得した俺は、一旦帰ってきたけどもう一度シャンダオに行くことを話した。
 二人とも「ほー」と頷いてるけど……ちょっとまだ混乱してるみたいだ。

「あれ、ところでロマは?」
「ロマはフェルメのところッス! 一緒にご飯食べてるッスよ!」
「そうなんだ。フェルメの様子はどう?」
「う~ん、ロマが甲斐甲斐かいがいしく世話をしてるから、ロマには心を開いてきてるけど、俺とルインはもう少しってところだな」

 フェルメは以前ノリシカ・ファミルの手勢に襲われて以来、すっかり心を閉ざしてしまっていた。今はロマのおかげでだいぶ良くなってきてるみたいだけど……この調子で良くなってくれるといいな。

「そっか。みんながいるからきっとすぐ良くなるよ」
「だな」
「そうッスね……早く皆で仕事したいッス」

 寂しそうにするルイン。

「お兄ちゃん、今日は何するの?」

 スレイルはご飯をもぐもぐしながら聞いてくる。

「この後王宮に行くよ。国王様と話したいことがあるからね」
「話したいことがあるから、って会いに行けちゃうのが凄いよなぁ。普通、よほどの側近以外は事前に申請しないと会えないんだぞ」

 あきれたように言うタオルク。

「リョーマは使徒様ッスからね! 王様にも簡単に会えちゃうんッスよ!」

 自分のことのように自慢じまんげに言うルイン。
 俺はそんなルインに苦笑いをする。
 和やかに話をしながら朝食を終え、俺は一人執務室に向かう。
 魔法の鈴でサンヴァトレを呼ぶとすぐにやってきた。

「お呼びでしょうか、リョーマ様」
「王宮に行きたいから馬車の用意をお願い」
「かしこまりました。ただちに手配いたします」

 深くお辞儀をすると執務室を出ていくサンヴァトレ。
 俺は国王様――ルイロ国王に面会するということで正装に着替えた。
 実際のところ、使徒という立場は肩書だけで言えば一国の王より上だ。
 だからといって、国王に会うのに礼を欠くわけにはいかないのだ。
 着替え終わった俺は椅子に座り、机に置かれていた書類を確認しながらサンヴァトレを待つ。
 ほとんどの書類は俺に会いたいという貴族の面会申請や招待状。後はアガレストに関する俺の決定が必要な書類などだった。
 それらを処理すること三十分、サンヴァトレが執務室に戻ってくる。

「馬車のご用意ができました」
「ありがとう。今行くよ」

 確認していた書類に署名をして、確認済みの箱に入れて席を立つ。
 サンヴァトレと一緒に玄関に向かうと、俺専用の立派な馬車が停まっていた。
 俺が乗り込むと馬車はさっそく動き出したのだった。


 王宮に到着すると、王太子おうたいしのロディアが出迎えてくれた。

「ようこそお越しくださいましたリョーマ様! どうぞ中へ! ご案内いたします!」
「ロディア殿下でんか、お忙しい中お出迎えしていただきありがとうございます。突然のご訪問おび申し上げます」

 俺は自分の非礼を詫びるために頭を下げる。

「あ、頭を上げてください! リョーマ様は我が国最高の賓客ひんきゃくです! いつ何時なんどきであってもリョーマ様のご来訪を歓迎いたします!」

 ロディアが慌ててそう言う。
 それから俺は、彼に案内されて王宮に入り、最高位の貴人きじんに移動した。

「ルイロ陛下はリョーマ様に謁見えっけんするために準備を行っております。大変申し訳ありませんが、今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます」
「本当に迷惑をかけて申し訳ありません……」

 国王にも今日の予定があっただろうに、急な来訪でスケジュールが変わってしまったかもしれない。
 このお詫びは絶対にしないといけないな。
 それに待っている間、ロディアが話し相手になってくれているが、これも贅沢ぜいたくな話だ。
 王太子、つまり次期国王であるロディアとゆっくり話がしたい人は大勢いるだろうに、他愛もない雑談に付き合ってくれるのだ。
 それほど大事にもてなされていることを実感する。
 しばらくロディアと話していると、ルイロ国王の謁見の準備ができたという知らせが来る。
 俺はロディアに案内されて、ルイロ国王がいる応接の間に向かった。

「使徒リョーマ様、ご到着!」

 ロディアは中にいるルイロ国王に聞こえるように告げると応接の間の扉を開けた。
 ルイロ国王は起立して俺を迎える。

「ようこそお越しくださいました、リョーマ様! どうぞこちらへ!」

 ルイロ国王自ら俺を席に案内してくれる。
 俺が席につくとルイロ国王は俺に対面する席に座り、ロディアは国王の右隣に座った。

「今回も急な訪問、大変失礼いたします」

 俺はまずは謝罪して頭を下げる。

「リョーマ様! 頭を上げてください! 我々はリョーマ様をいつでも歓迎いたします!」
「寛大なお心遣いに感謝します。このお礼は必ずさせてください」
「お礼だなんてそんな……。我々は当然のことをしているまでです」

 にこやかに答えるルイロ国王。彼の穏やかな表情に、申し訳ない気持ちでいっぱいだった俺も安心する。一国の主としての器のでかさを感じる。
 改めて俺はこの国が好きになった。
 俺は気を取り直し、さっそく本題に入る。

「今回自分が国王陛下にお会いしに来たのは、ノリシカ・ファミルのことについてです」

 そう切り出すと、物腰柔らかな雰囲気から一般して真剣な表情になるルイロ国王とロディア王太子。
 一応ルイロ国王には、協力者に会いにシャンダオに行くことは話してあった。
 しかしこの短期間でグアンマーテルまで行って戻ってくるとは思っていなかったようで、目を丸くしていた。
 それからディダルーと話したことを――ベンジャーノがノリシカ・ファミルのボスであるという情報についても共有する。

「まさか……シャンダオの三豪商の一人、陸運の巨人ベンジャーノが、かの組織のボスだったとは……」

 愕然とするルイロ国王に、俺は首を横に振る。

「その情報が真実かはまだわかりません。確認するためにも自分がシャンダオに行き、ベンジャーノに会って真偽を見極めたいと思います」
「そうですね……もしベンジャーノがノリシカ・ファミルのボスだった場合、シャンダオは大きく揺れるでしょう。それにあの国はメルギス大帝国に並ぶ大国。周辺国にも影響が出ることは十分に考えられます。我が国もそれは例外ではないでしょう……。我々も大事に備えておかねばなりませんね」
「巻き込んでしまい申し訳ございません……」

 思わず俺がそう言うと、ルイロ国王は身を乗り出してきた。

「何をおっしゃいますか! 私は国家の主としてリョーマ様と運命を共にする覚悟です」
「ありがとうございます、ルイロ陛下。大きな混乱を避けるために、ベンジャーノに関することは今はまだ内密にお願いします」
「承知いたしました。それでシャンダオへはいつご出発になられるのですか?」
「明日には出発しようかと。今回はあえて時間をかけ、いくつもの都市を経由してグアンマーテルに向かいます。身分は一切隠さず、グアンマーテルのオークションに参加することを公表しながら移動しようと思ってるんです。オークションに自分の宝を出品すると喧伝けんでんしながら行けば、自分が使徒としてグアンマーテルに近付くのも不自然じゃないと思うので」
「なるほど! それは名案ですね!」
「リョーマ様のお宝……とても気になります!」

 ルイロ国王とロディア王太子はとても気になるようで目を輝かせる。
 そうだ、せっかくならこの二人に、オークションに出す品物として問題ないか確認してもらう。

「一つはこれを出品してみようと思います」

 俺はスマホのインベントリから、七色に輝く大きな宝石が嵌められた指輪を出した。
 この指輪は妖精の箱庭産のもので、七色に輝く宝石は妖精の眼と呼ばれるアンフェルニアという宝石だ。妖精のみが持つ極めて希少なもので、この世界のことを検索できるアプリで調べても、これを所有しているのは三人しかいないという情報が出てきた。
 そして地金は、妖精が精錬したフェアリープラチナを使っている。さらに妖精の手によって精密で美しく彫金ちょうきんまでされている。
 まさに至宝だ。
 二人はこの指輪に見惚みとれる。
 そして石のことや地金のこと、指輪を作ったのが妖精だと話すと、愕然としていた。

「す、凄い……本当にこれを出品なさるのですか……?」
「はい。使徒として半端はんぱなものは出せないと思ったので、出品するならこれが最適だと考えました」
「大変なことになりますよ!? シャンダオのオークションは世界各地から有数の大富豪や王族などが参加します。この指輪を巡って争いが生まれるかもしれません!! 最悪の場合、戦争なんてことも……」
「そ、そんなまさか……」

 ルイロ国王の目は冗談を言っている雰囲気は全くない。至って真剣だ。
 その迫力に思わずたじろぐ。

「過去にも一つの宝を巡って戦争が起きかけたことがあります。その時は使徒のスメラギ様が間に入り危機は回避できましたが……リョーマ様、これは考え直した方が良いと進言いたします。所有されている世界樹の葉でも十分かと」
「世界樹の葉かぁ……」

 たしかに、妖精の箱庭のアイテムボックスの中には世界樹の若葉がたくさんある。
 ルイロ国王達にプレゼントしたこともある珍しいものではあるが、とはいえそんなので良いのかと考えてしまった。
 ちなみに、出品しようと考えていた指輪はあと四個あるんだけど……黙っておこう。
 うん、一応聞いておいて良かったよ。
 それから俺達は、妖精達が作った他の装飾品などを出して、どれが出品するのに最適か三人で選ぶことに。
 その過程で、ルイロ国王は王妃おうひにプレゼントするためにネックレスを、ロディアは王太子妃のために腕輪を購入した。
 プレゼントすると言ったのだが、買い取ると言ってがんとして譲らなかったので、二人合わせて一千万ビナスで売った。あまりにも安すぎると言われたが、これに関しては俺は譲らなかった。今までお世話になったお礼だ。
 だた結局、装飾品は良いものがなかなか見つからず、出品を見送ることにした。正確には、良いものがないと言うより、良すぎて出品できない、というだけだが。


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