僕はスケルトン 〜大賢者の弟子になって、死霊魔法で無双します〜

穂高稲穂

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3 魔力と試験

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 死霊魔法を学び始めてから4ヶ月。
 肉体的疲労を感じなくなって睡眠も必要としないから貪るように死霊魔法の修練を行っている。
 学びを得るのは凄く楽しいし、出来ることが増えていくのは何よりの喜びだった。
 だけど一つ課題が浮き彫りになる。
 それは僕の魔力の低さだ。
 どんなに頑張っても魔法を一回発動するのが限界だ。
 魔力が枯渇すると力が出なくなって意識が薄れていく。
 僕にとって魔力は言わば生命力だ。
 胸にある魔石が全てで、その魔石にある魔力がなくなってしまったら活動が停止してしまう。
 回復するのを待つしかない。
 僕の魔石は凄く小さくて魔力は少ない。

〝どうしたらいいんだろう……〟

 自分の魔力の少なさを悩む。

「どうしたの?」

 悩む僕に心配そうに聞いてくるリエラティ。

〝魔力をどうやったら増やせるのかなって思って……〟

「魔法使いなら誰もが突き当たる最初の壁ね! 人間は自分の精神力から生成される魔力を介して魔法を行使するの。だから精神的に未熟な人は上手く魔法が使えなかったり、影響力の小さな魔法しか使えないわ。集中力を鍛えれば魔法が精密に扱えて安定して、意思が強ければより強力な魔法を使えるようになるのよ。だから魔法使いは精神力を鍛えるために瞑想を行うの」

〝瞑想……どうやってやればいいの?〟

「観想瞑想っていうのが魔法使いの主流の瞑想法ね! 静かで落ち着ける場所で自分が一番落ち着く姿勢なるの。それからゆっくり呼吸して自分が思い描く魔法陣をイメージしてみて。最初は簡単なものでいいけど、瞑想を重ねて少しずつ難しく複雑な魔法陣を思い描く。明瞭にイメージ出来るようになって一定の境地に達するとその魔法陣が具現化出来るようになったりするわね!」

 リエラティに教えてもらった通りにやってみる。
 椅子に深く腰掛けて呼吸することはできないけど魔法陣をイメージしてみる。
 僕が思い描く魔法陣……。

〝う~ん……難しいね……〟

「あまり難しく考えないで、最初はパッと思いつくもので良いのよ! もう一つの方法としては霊薬を接種して短時間で魔力を増やしたり出来るわね! でもかなり貴重な物だから当てにしない事ね。それに精神に伴わない魔力は暴走する危険性があるから気を付けたほうが良いわ!」

 他にも邪道な方法としては相手の魔力、生命力を吸収して自分のものにしてしまう方法や、種族によって異なる特殊な方法なども色々教えてくれた。

「頑張ってるお主にもっといい方法を教えよう」

「アストー! 良い所に来たわね!」

〝あ、アストーさん!〟

 時折こうして突然現れては僕の様子を見て色々助言をしてくれたりする。
 アストーはスッと僕に手を差し出した。
 手のひらには僕と同じくらいの大きさの薄灰色の魔石があった。

「これはゴブリンの魔石じゃ。ジーナスよこれを持つのじゃ」

〝はい〟

 言われた通りに魔石を受け取る。
 その魔石からは僕よりも少し少ない位の魔力を感じる。

「その魔石の魔力はもう感じておるな?」

〝うん! 僕よりもちょっと少ないくらいかな〟

「そうじゃ。おぬしは魔力感力が優れているようじゃな。その通り、その魔石はおぬしの魔石より少し魔力が少ない。それじゃあその魔石から魔力を抜き取り吸収してみよ。感覚は掴んでいるはずじゃ。おぬしの魔力を魔石に移し、魔石の魔力を掌握して吸収し自分の魔石に戻すんじゃ」

 要領としては死霊魔法を発動する時に魂に介入する方法に似ている。
 もしかしたら……、と考えるが今は魔石の魔力を吸収することに集中する。

〝やってみる!〟

 魔石を握り僕の魔力を少し流す。
 ちょっとだけ抵抗するような感じがしたけど直ぐに僕の魔力に圧されて交わり一つの魔力となった。
 その魔力を自分の中に戻す。
 自分の魔石にはほんの僅かにだけど魔力が増えたように感じる。

「上出来じゃ。真面目に死霊魔法を勉強した賜物じゃな」

 褒めてくれて僕の頭を撫でてくれる。

「一つ忠告しておこう。このような魔石は見つけても決して吸収しようとしないように。いいな」

 そう言って虚空から狂気に満ち邪悪な気配を発する禍々しい魔力を取り出すアストー。
 その魔石を目にした瞬間目眩のような感覚に襲われて意識が飛びそうになる。

「うっ……」

 リエラティは魔石から発せられる狂気に吐き気を催しているようで口を抑えて逃げるように僕のローブの中に入ってきた。
 アストーは直ぐに邪悪な魔石を虚空に戻す。

〝い、今のはなんの魔石なの?〟

「天外の悪に魅入られたものの魔石じゃよ。詳しくはまたの機会にしよう。死霊魔法を真面目に勉強したおぬしに一つ試験をしようか。もし合格したら褒美をやろう」

〝ご褒美!! やる!!〟

 気になる事はあるけとご褒美と聞いて意識はそっちに向く。
 僕の返事を聞くやいなやいつも携えてる大杖で床をコツンと続くと転移魔法が発動する。
 そこは広大な平原で塔の外に出たのかと思うけど、上を見上げると石造りの天井で塔の中に居ることが伺える。
 僕のローブの中に隠れていたリエラティがひょっこりと顔を出して辺りを見回す。

「ここで何をするの?」

「ジーナスにはこれと戦ってもらおう」

 アストーは大杖を少し前に傾けると僕よりも体の大きなゴブリンが現れる。
 意識は無いのか立ったままボーっとしている。

「これまで勉強してきた死霊魔法でこのホブゴブリンを倒すのじゃ」

「ちょっと! いきなりホブゴブリン?!」

「ちゃんと学んだ事が頭に入っていれば対処できるはずじゃ。リエラティはわしと一緒に見ていなさい」
 
「えー!!」

 不満そうにしながらも素直に言うことを聞いてアストーのもとに飛んでいくリエラティ。

「それじゃあ始めるぞ」

 アストーが大杖を左右に小さく振るとホブゴブリンの瞳に光が戻り意識が覚醒してるのが分かる。
 そして……。

「グギャアアアアアアアアアア!!」

 大きく口を開けて咆哮し、眼の前に居る僕を威嚇する。
 生前の僕だったら腰を抜かして身動き一つできなかったと思う。死んだあの時のように……。
 でも今は違う。死霊魔法を学んだからか妙に落ち着いてると自分でも思う。
 襲いかかってくるホブゴブリンに僕は右手を翳す。

〝死者の囁き〟

 対象者に怨霊の囁きを聞かせる魔法。
 耳を塞いでも何をしても魂に直接作用するから逃れる術はなく、対象者の精神力が低ければ低い程精神が錯乱して発狂する。
 得体のしれない悍ましい囁き声を聞くホブゴブリンは両耳を抑え、そして掻き毟りしまいには自分で耳を引き千切った。
 それでも収まらない囁き声におかしくなっていく。

〝縊死の鎖〟

 ホブゴブリンの頭上に黒い靄が現れ、そこから鎖が垂れ下がる。
 その鎖はホブゴブリンの首に巻き付き引っ張り上げた。
 首が締まり宙吊りになったホブゴブリンは精神が狂ってしまったこともあり抵抗すること無く死を迎える。

「うむ、上出来じゃな。慢心せずに研鑽を積むように」

〝はい!〟

 アストーは大杖をホブゴブリンに向けると、ホブゴブリンは炎に包まれて体が灰になっていき少し大きめの魔石が残る。
 魔石はひとりでに浮かび上がって僕の眼の前に止まった。

「その魔石は後で吸収すると良いじゃろう。さて、褒美じゃな。おぬしには外出を許可しよう。ずっと塔に居ても退屈じゃろうて。外に出て自分で魔物を倒して魔石を集めるのも良いじゃろう。それとこれも渡しておこう」

 虚空から黒い本を取り出す。
 その本には【死叙伝 地獄】と書いてある。
 【死叙伝 冥門】の続きだろうか。新たな死霊魔法を学べるかもと思いワクワクする。

「良かったじゃない!」

〝ありがとうございます!〟

 自分の部屋に戻り早速魔石を吸収して【死叙伝 地獄】の表紙を開いた。

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