えるんぺい・もっぱいぱい

ゔぇろっへ

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第12話 混浴

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「はあ……はあ……はは……はあ……」

 ようやく笑いから開放されたゲラ神親子は汗だくで呼吸を整えていた。俺はまだ縛り付けられたままだから、早く開放してほしいものだ……。

「汗かいた……はあ……おふろ入ろうか……」
「そだね~……入ろう……ごほっごほっ……ふぃ~……」

 相変わらず人間くせえ会話だ。

「ふう……なあ、貴様も一緒に風呂に入るか?」
「えっ」
「いいねいいね~☆ 混浴なんて何千年ぶりだろ~」
「ちょっと待て! 私は嫌だ……!」
「なんで~?」
「恥ずかしい……!」
「ふふふっ姉さんかわいい~♡」
「えるんぺいちゃん、相変わらずウブだね~♡」
「こ、こやつは我々と別で良いだろう!」
「なあ、どうする? 入りたいなら素直に入りたいと言っていいぞ♡」

 …………入りたい……!!!!!

 でも、流石にそんな事言えるわけない……

「私の身体を見たいんだろ? へへへっ♡」
「え、えと……」
「身体洗ってあげようか♡」
「……! う……うう」
「ちょっと! は、はしたないぞ! やめるんだ! 私達は高尚な存在であってそのような」
「はいはいはーい! えるんぺいちゃ~んおふろさきはいってて♡」
「は、母上! 押さないでください! お、おい! お前! 絶対入ってくるなよ! 一番苦しい地獄に落とすからなっ!」

 …………なんだろう、ますます入りたくなってきた……!!!!!
 えるんぺいさん……かわいいぞ……!
 一糸まとわぬ姿もさぞかし綺麗なんだろうな……うへへ♡

「あれ~? まさかえるんぺいちゃんのお風呂覗きたいの?」
「貴様! 卑猥な妄想を止めろ!」

 しまった! 頭の中では全裸のえるんぺいさんがこっちへおいでと、俺に微笑みかけていたのだ……!
 鼻の下が完全に伸びてしまっていた!
 
「ささ、脱いだ脱いだ!」
「ああ、ちょ、ちょっと……」
「大丈夫! 貴様のブツはたっぷり見たから!」

 結局素裸にされてしまった……
 
「よし、いこっ☆」
「で、でも、怒られますよ!」
「大丈夫! えるんぺいちゃんは怒らないよっ☆」

 そして大胆に二人も裸になり、一緒にお風呂に向かう。当然俺のバカ息子はギンギンに硬化している。
 
 なんだかいいトコの温泉みたいだ。広々としていて、かつ湯も独特な色合いをしている。いろんな効き目がありそうだな。
 
 アニメとかだと、みんなタオルを巻いたりしているが、普通そんな物を持って入ったりしない。フルオープンだ。だが俺の愚息を湯けむりが隠してくれるし、お湯も透明では無いのでありがたかった。
 でもさっきえるんぺいさんは嫌がってたし……ちょっと入るのに躊躇するな。

 つるんぽいはかけ湯をしたあと、湯船の中のえるんぺいに抱きつきに行った。

「姉上~♡ うほぉ~やっぱでかいね!」
「こ、こら! 揉むな! ……あ! そいつを連れてくるなって言っただろ!」
「だってこの子があんまりえるんぺいちゃんのハダカが見たいって言うから~」
「きゃっ……! へ、変態!」
「ち、違いますよ! いやまあその、変態は変態ですが……ハダカが見たいっていうのは……いやまあ……見たくないって意味ではなくてその」

 えるんぺいさんはしどろもどろと言い訳を連ねる俺を睨みつけてきた。言っとくが俺はえるんぺいさんのハダカが見たいとは言ってはいない! そう、言っていないぞッ!!!

 3人はこそこそガールズトークを始めた。何を言っているのかはわからないが、なんだか二人でえるんぺいさんに別にいいじゃんって言ってる気がする。
 えるんぺいさんの頬がぷくっと膨れて向こうを向いた。わかったよもう……ってとこかな。すると、つるんぽいがこっちを見て、手招きしてきた。

「……おーい! 入ってこいよ! ぼーっと突っ立って、何しに来たんだよ」
「あ、はい……失礼します」

 そして湯船に入り、なんとなく彼女らから距離を開けて腰掛ける。

「ふぅ~……」

 いい湯だ……だいぶ久しぶりに湯船に浸かったな。一人暮らしの時は湯を張るのが面倒で冬場も熱いシャワーで済ましていたから……。
 ふう、ちょっと眠くなってきた。ふわ~っとしながら、物思いに耽り始めた……。

 ……今振り返ると、俺がここに来てからいろんな事があったな……

 勢いで自殺して、えるんぺいさんに救われて、つるんぽいさんに出会って……
 つるんぽいさんには俺に色々な事をして……俺の心理を深く探って来た。そのおかげで俺は今までの人生を反省することができた。
 そして試練。とてつもなく下品だったが、自分があれだけ全力を尽くしたのは初めてだ。

 ん、そういえばあのとき声が聞こえたな……。”X.Y.Z”を教えてくれたあの声。
 あれは誰だったんだろうか。声の感じからして女性ではあるが……。
 少なくとも彼女たちの声ではなかった。あの声がなければ、今頃俺は地獄に落ちて筆舌に尽くしがたい苦しみを味わっていることだろう。

 だが俺は試練を突破して……勝ち取ったんだ。選択肢を。
 もちろん俺はやり直す。蘇生して、人生を再スタートさせる。
 ”凡” でいい。普通に生きて、普通に普通の幸せを掴もう。

 しばらく彼女らは恥ずかしがってるえるんぺいをイジったりしていたが、今はゆっくりしている。
 さっき物思いに耽っていたときの俺の表情を見て何か感じ取ったのか、俺には何も関わっては来なかった。やっぱり優しいな……。

 ……なんだろう。この気持ちは。いよいよ帰れるんだぞ? 俺は本来地獄行きの運命だったのに、元に戻せるんだぞ? しかも自殺願望も消してくれるんだ。至れり尽くせりだ……なんだろう……この感情……。

「…………はあ……」

 そうか……そうだ……蘇生したら、彼女らとも……別れることになる。彼女らのことを全部忘れることになる……。
 俺は彼女らみんな……好きだ。綺麗だし、優しいし……それを全部忘れるなんて……とても悲しい。
 
 ……そういえば、この世界に留まるという選択肢もあった。
 となると、俺は人間としての再スタートはない。普通の人生を取り戻すことは出来ない。でも彼女らとは一緒に……居れるかもしれない……。
 この世界にいても俺は人として年を取り、死んでいくのか? もしくは彼女らと同じようにとてつもない時間を生きることになるのか?
 ……まさか俺が神に昇格するのか? ここは神の世界。ここに存在すべきは神。そこに留まるということは、俺は神になるのか?
 
 こればかりは自分の頭で考えても分かりようがない。訊いてみようか……?
 ……待てよ、これを訊いたら彼女らは……俺の気持ちを察するだろう。試練の前、俺はやり直してみせると彼女らに言ったのだ。そして試練が終わった今、神の世界に留まるってどういうことか訊いたら……。
 
 彼女らはまた嘘を教えるかもしれない。
 俺の勝手な甘えかもしれないが、彼女らは俺が蘇生を選ぶべきと思っていると思う。まさか地獄行きを選ぶべきとは言わないだろう。彼女らは……優しいから。
 優しいから、俺を普通の人生を取り戻させるために、神の世界に留まる事に際しての大きなリスクを誇張して教えるだろう。実際、試練の時も彼女らはそうした。
 
 ふと、彼女らの顔を見た……。
 もうすぐお別れなのか……。
 
 そう思っているとつるんぽいと目が合った。……しまった! じっと見つめてしまっていたんだ。変態である俺が、入浴中の彼女らをじっと見ていたらそりゃ……!

「ふふふ……じっくり考えろよ」
「え……あ、ありがとうございます」

 流石だ。
 俺が彼女らをいやらしい目で見ておらず、むしろ名残惜しそうな顔で見ているのを見て、俺が迷い始めたことを察したんだ……やっぱりすげえや。

 つるんぽいは俺の横に寄り添ってきた。
 
「……寂しいんだろ? 私達を忘れるのが」
「……はい。辛いです」
「私だって寂しいよ。せっかくいじりがいのある楽しいやつが来たのにな」
「僕は……みなさんが好きです。忘れたくないです。でも……やり直せるチャンスを棒に振るなんていう勇気もない……」
「貴様はやり直すべきだ。試練を乗り越えたんだ。だからその資格がある。それに本来この世界は貴様の居場所ではない」
「…………うう……」
「私達としばらく一緒にいてもいいが……私は留まるなんて認めないぞ」
「つるんぽい、それはこやつが決めることだ。お前が決めることではないぞ。人の子よ。そなたが何を選ぼうとも我々は受け入れるぞ」

 ……やっぱり。つるんぽいは厳しい。
 えるんぺいはこういう時は神として接する。誰に対しても。

「ちょいちょいっ、プレッシャー与えないで自由に考えさせてあげようよ」
「母上、これはこやつにとって重要な選択です」
「私はこの子好きだよ~! いいキャラしてる。あんなに笑わせてもらったのは久しぶりだしね。しばらくここにいなよ。だからいますぐ決めなくていいよ!」
「……ふふふ、私も貴様のこと好きだぞ♡」
「あ、ありがとうございます」

 せくろすさん、軽い口調だけど、やっぱりお母さんなんだな……ん?
 
 ふと疑問に思ったんだが、えるんぺいとつるんぽいはもっぱいぱい。せくろすはおっぱいぱい……?
 人間社会では親子なら基本的には一緒の名字が当たり前だが……? 

 もしかして、お父さんはもっぱいぱいで、今は別れておっぱいぱいに戻ったのか?
 別れたんですか? はさすがに失礼だ。さり気なく訊いてみようか。

「あの……お父さんはどこかにいるんですか?」
「ああ、父さん? 父さんは神の中の頂点に君臨してるから、そうそう会えないのだ。なにしろ最上級神だからな」
「そ、そうなんですか……凄いご家族ですね」
「君も気づいてると思うけどさ~、私とは別れてるの。最上級神になるってのは孤高の存在になるってことだから……別れようって私から言ったんだ」
「最上級神は、考えられないほど高い叡智と能力を持っている。まともに会話できんぞ。あまりにも頭が良すぎて逆に普通のことがわからなくなったりするのだ」
「そ~そ~。私のりゅぷりんすぱーふもお父さんが作ってお父さんが名付けたの。わけわかんないでしょ? 私達の名前って、最上級神が付けるの。だから変な名前になっちゃうんだよ」
「そうだったんですか……」

 彼女らの変な名前の謎が解けた。逆にもう普通の名前が作れないんだ。頭がいい人って、バカと勘違いされることも多いらしい。
 あのアインシュタインも、バカだと思われていたそうだ。そうではなく、頭が良すぎて逆に普通の事を理解できないのだ。

「よし上がろうか。のぼせそうだぞ」
「……! ……ほ♡」

 えるんぺいは無防備に立ち上がった。俺がいること忘れてないか?
 上から下まで、ま、丸見え♡ すばらしい! 綺麗だ!
 そして……エロい♡

「姉さん! 見られてるよ! 体!!」
「きゃっ!! み、見るなぁ!!! 地獄に落とすぞ!!!」
「なんて変態なんだ! うわ! 勃起してる!! 変態!」
「わ、わざとじゃな……」
「私の娘のハダカ見ておっ立てるなんて。とんだ変態だね。これはおしおきしなきゃね~?」
「神である私をそのようないやらしい目で見るとは……覚悟!!!!」
「り、理不尽だ!!! いやああああああああああああああああ!!!」



 えるんぺいさん……実は……天然なのかも…………ぐはっ……。
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