絶対呪ってやるからな!

こう

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43 年齢差が些事かどうかは当人達が決める

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 妻に横恋慕する耽美系美男子って夫から見たら煙たい以外になんかある?

 しかも相手はほぼ平民。「塔」の所属がどれ程の価値なのか知らないけれど、公爵からしたら指先でプチッとできる相手じゃないの。

「永遠の下っ端だけど福音が高いからね。研究費用としてロドニーは高いんだ」
「こいつ福音タンク…?」
「集音器といってください」
「それもどうなの」

 福音持ちは多いが、福音が高い者は少ない。というかみつけるのが困難。
 そもそも、日常的に使用する能力ではないので、自覚があったとしても他に特技があるならそちらを活かす。余程呪いに興味がない限り、研究員として福音の高い者がやってくるのは稀なのだそうだ。

 ロドニーの場合、高すぎて日常的に困るから、むしろ研究所以外に選択肢がなかったようだけど。需要と供給が一致している。
 ロドニーは本当にいろんな意味で高いらしく、公爵も簡単にプチッとできないらしい。呪いの研究は、恨み辛みを集めやすい貴族にとって重大な案件らしい。

 集音器を自称するだけあって、呪いを自分に引き寄せて呪い返しするのが得意らしい。ちょっと何を言っているのかよくわからないわ。
 というかなに、集音器。呪う力が福音だから、呪いも音になぞらえているの?

「とにかくロドニーは、夫人に似た令嬢を見る度に意味深な接触をするのを改めるように。今回は未遂だったけど、後ろから刺される前に正面から撲殺されてしまうよ」
「そんなことをする人がいるのね。物騒な世の中だわ」
「素知らぬ顔しやがって…」

 モーリス煩い。
 さり気なく私の所業を言及したスタンを見ないで空っとぼけたけどモーリスが煩い。

 スタンの発言に、ロドニーはじっと数秒考え込む。
 私の証拠隠滅未遂は思い出さなくていいのよ。

「…考えたのですが、いっそエフィンジャー夫人そっくりのメイジーさんなら私も本気で恋愛できるのでは?」

 なんかほざき出したわ。

「四十九歳おじさんは若い女の子を口説かないんじゃなかったの」
「年上の男性はお嫌いですか」
「親より年上の男に恋愛的な魅力は感じないわ」

 残念ながら年上好みって訳でも無いし、ロドニーに対してときめきを感じていないから根本的に無理。むしろ会話する度に声がくわんくわんして不快。

「親より? え、メイジーさん二十代では」
「私はまだ十七歳よ」
「三つは誤差です。四捨五入すれば二十歳。私は端数切り捨てで四十。つまり年の差二十歳。貴族でよくある年齢差です。問題ありません」

 小数点ならともかく、九年の年月を切り捨てようとするんじゃないわよ。切り捨てなくても二十年ってかなりの年数よ。
 そう言われると、貴族で年の差婚がよくあるって聞くけど、同じくらいよく聞く話があったわね。

「そうね、よくいるわね。幼妻を娶ってすぐ先立つ夫」
「大変申し訳ありませんでした」

 居住まいを正して深く頭を下げるロドニー。素早い謝罪が熟れていて、沢山の人と似たようなやりとりをしている様に思えたわ。

 こいつ騎士団に突き出すべきじゃない?
 今ここで決断するのも勇気じゃない?
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