生まれ変わったけれども,妹と私の為に夫を捨てようと思います!!

kemutari

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終わりの始まり

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アナトリア「モルアデアお姉さま~お母さまがお呼びです~」

モルアデア「いまいくわー」

アナトリア「お姉さま~!」

モルアデア「はーい」

アナトリア「モルアデアお姉さま~!!!!」

モルアデア「…もう…
今いくから!!!!!!!!!!」









3年前、私はお父様とお母様、そしてアナトリアと4人で暮らしていた。


私たちアン家は、貴族だけれど、父が商業で成功して成り上がった元平民貴族だったため裕福とはいかなかった。けれど、暮らしに困っているほどではなく何不自由ない生活を送れていた。 
 
この頃はアナトリアとも仲の良い姉妹だった。



カイルからの手紙が来るまでは。




モルアデア「「ここにモルアデア・アン令嬢との婚約を申し込みます。カイル・メイルガル」…え」

…え

母「これはまたとないチャンスよ。」





狐につままれたような気分だ。あの巷で噂のカイル・メイルガルが求婚…?しかも、私に?



貴族である以上、政略結婚はよくある話だった。

だったが、それはお互いの利害が一致している話で。成り上がり貴族の話したこともない、一度パーティーで一緒になっただけの、この先お互い顔を見ることもなく死んでいくであろう私に求婚するメリットなどあるのだろうか。

しかも、私は10日前に18歳になったばかりだ。
バレンノでは18歳になるまでは結婚はできない決まりだが、これではまるで私が結婚できる年齢になるまで待っていたかのような…

頭が混乱している中お母さまが口を開いた。


母「求婚をどうするのか決めるのはアナトリア自身よ。…だけど、私が昔お父さんと結婚して貴族になるまでは本当に苦労したの。だからアナトリアには苦労してほしくないわ。」

父「…正直、私たちは貴族だが、元平民である以上下級貴族だ。残念だが、将来夫を選べる権利はこちらにはないかもしれない。今、メイルガル・カイル様からの求婚を受け入れるのが一番幸せに暮らせる道かもしれない。」


モルアデア「… でも、何故私なんかを。」

アナトリア「それは、お姉さまを好きになったからに決まってます!!」

今まで一言も話さなかったアナトリアの大きな声にお母様もお父様も私も驚き、アナトリアを見る。

アナトリア「モルアデアお姉さまは本当に大人っぽくて気品に溢れていて魅力的ですもの!」

モルアデア「アナトリア、こんな時に何を言って」

アナトリア「しかも私、一度カイル様と会ったことがあるんです!」

一同「え!?」

アナトリアの急な告白に体が凍る

アナトリア「前に、街で花を買って家に帰っている途中に、馬車の中から急に男の人が出てきて急に名前を聞かれたからびっくりして、貴方が先に名前を言うべだと言ったら笑われてカイルと名乗っていたんです。」

モルアデア「なんて幼稚な…。」

アナトリアの無礼は置いておいて、カイルなんて名はバレンノに1人しかいない。まさか妹が出会っていたなんて。

アナトリア「それで、その時はメイルガル様がどういう人か分からなかったから自分の名前を言おうか悩んだけど、教えてもらったから私の名前を言ったら「おぼえておく。」とだけ言って帰ってしまったんです。」


モルアデア「…それと私の求婚になんの意味があるの?」

嫌な予感がする。


アナトリア「きっとメイルガル様はモルアデアお姉さまに一目惚れをしていて私の顔が少し似ていたから不思議に思って聞いてきたんです!」

モルアデア「…はぁ…」

呆れてものも言えない。


モルアデア「…今の話を聞くと、メイルガル様は私じゃなくてアナトリアに気があるように聞こえるのだけれど。」

アナトリア「そ、そんなわけありません!!道端で数十秒会っただけですし、お姉さまはパーティーで何時間も一緒にいたじゃありませんか!」

モルアデア「でも私は一言も会話をしていないし、顔も合わせていないわ。」

アナトリア「き、きっとお姉さまのあまりの美しさに、声をかけること自体難しかったに違いありません!」

この子は一体何を言っているのかしら…


モルアデア「……とりあえず名前の確認をしてもらって、確認は結果が来てからにしましょう…」

アナトリア「絶対、ぜーったい!お姉さまへの求婚です!!」



その根拠のない自信はどこから出てくるのかしら……



でも、メイルガル様も不運ね。
アナトリアが18になるまで待っていたとしたら、アナトリアはまだ15歳だからどちらにしよ結婚できないもの…












しかし、返事を送った次の日意外な言葉が返ってきた。









モルアデア「「モルアデア・アン令嬢でお間違いありません…?」」






アナトリア「やっぱり思っていた通りです!!!!」


…本当に?

だとしたら本当に何故…




母「モルアデア、あまり待たせてはいけないわ。どちらにするのか早く決めなさい。」


モルアデア「…」


アナトリア「モルアデアお姉さまを選んだ選択と、実際に話した時の雰囲気はそんなに悪い人ではなかったと思います。でも、モルアデアお姉さまの心がなによりも大事です。」

アナトリアが心配そうに私に言う。


父「その通りだ、モルアデア。さぁ、決断をしてくれ。」


…正直自分でもどうしたらいいのかわからない。

けれど、3人は私がメイルガル様と婚約することを望んでいる。しかも、契約事項にはアン家の金銭面や商業の支援など、一生裕福に暮らしていけるような条件を無償で提示してくれている。ここで断るわけにはなさそうだ。


モルアデア「わかりました。私はカイル・メイルガル様と婚約いたします。お父様、お母様、そしてアナトリア、今までお世話になりました。」

















こうして私はカイル・メイルガルの邸宅に向かった。ここから地獄のような日々が始まるとも知らずに…
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