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○月×日『内緒話②』
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僕も、目立つのは困る。
こんな時間でも駅前だ。
誰が見ているか分からない。
それに駅前で高級ホテルの前だから目立つってだけじゃない。
ルーカルさんて、人物自体が目立つ。
派手な赤毛で長身だ。
いくらラフスタイルでも目立ちすぎる。
目立つレベルで言ったら矢野くんといい勝負だ。
ルーカスさんはホテルに入って、真っ直ぐにエレベーターへと向かった。
やっぱりこのホテルに宿泊しているようだ。
エレベーターを降り、部屋まで真っ直ぐ歩いた。
余計な会話はせず、ルーカスさんは部屋のドアにルームキーを当てると、ドアを開いて僕を中へと招いてくれた。
高級ホテルなだけあって広々として綺麗な部屋だ。
だいぶ上の階でエレベーターが停止したから、グレードが高い部屋なのかも……
「なにか飲む?」
「ぁ、大丈夫です……」
「そっか。じゃあ早速話そうか」
テーブルを挟んで向かい合わせに置かれているソファーに促され、大人しく座った。
ルーカスさんも向かいのソファーに腰かけ、長い足を組むと、真っ直ぐに僕を見てくる。
「どっちから話す?」
「……えっと、」
心の準備が全然出来てない。
正直この展開は想像してなかったからだ。
会えると思って来た訳ではなかった。
それに、会えて話す機会があったとしても"探る"なんてどう切り出したら怪しくならずに済むのか分からない……
「じゃあ僕からでいい?」
僕が迷っていると、ルーカスさんがそう言ってくれる。
……そうしてもらった方がいいかもしれない。
もしかしたら話の流れでなにか掴めるものがあるかもしれない。
「…はい、ルーカスさんからお願いします」
「うん」
ルーカスさんは頷いて微笑む。
「将平は日本に恋人がいるのかな」
「え」
将平くん関連の話をされるとは思っていたけど、まさかソコを聞かれるとは思っていなかったので、返答に詰まる。
「……ぃ、いえ、今はいないと思います」
将平くんはつい最近まで僕と体の関係があった。
柳さんの浮気にすごく怒っていた人が、恋人のいる身で僕と寝たりしないはず。
それにフランスでは女性と交際していたと過去形だったし、今はいるというニュアンスではなかったはずだ。
「今はってことは過去にはいたんだよね。そうだな、10年ほど前はどう?まことはまだ幼かっただろうけど、何か知ってる?」
「……、」
ルーカスさんの知りたいことが、何となく分かってしまったかも……
ルーカスさんも僕の表情からなにか読みとったのか、ゆっくりと順を追って話し始めてくれる。
「僕は大学に入ってきた将平に一目惚れしてね、直ぐにアプローチしたけど、男は無理だって……特に女役はやらないってフラれたんだ。在学中もずっとアプローチし続けたし、お互い社会人になっても交友してた。僕のことは気に入ってくれているみたいなのに頑なにそこだけは受け入れてくれないんだよ。これは過去にそっち側で嫌な経験でもしたんだろうなって思ってね。今回は仕事で日本にきたけど、いい機会だから将平のトラウマも克服してやろうと思って。」
ルーカスさんが本当にすごく流暢な日本語で、将平くんの過去の恋人を知りたい理由を話してくれる。
そっか……
この人、やっぱり将平くんが好きなんだ……
日本語が話せないふりをして将平くんと仕事をしていると聞いた時、そんな気がした。
出会ってからってことは、10年近くも……?
将平くんはフランスで女性と交際していたことがあると言っていたから、その間もずっと将平くんが好きだったってことだろうか。
なんて一途なんだろ……
……一途で言ったら、柳さんもそうかもしれないけど、ルーカスさんのことも柳さんのことも知らなすぎて今の段階でどっちが将平くんに相応しいかなんて分からないし、将平くんはどっちも望んでないかもしれない。
ルーカスさんが言うように"克服"したらルーカスさんとお付き合いできるのかもしれないけど、それはやっぱり将平くんが決めることだ。
「10年前は……いたみたいですけど、その人とは別れたって聞いてます」
その人に今自分は脅されて貴方と接触してるんです……なんて口が裂けても言えないけど…。
「そうか、別れてるのか。将平はたまに日本へ帰ってたから、日本に恋人がいるのが濃厚かと思ってたんだけどな」
「え?」
日本へ……?
そんな話聞いたことない。
将平くんからも、矢野くんからもだ。
「フランスへの滞在の手続きとか、家族に会いに行くとか僕には言ってたけど、恋人と会ってることを言いたくなくて誤魔化されてるのかと疑ってたんだ。」
「……」
日本へ帰ってきていたのに、家族に会わないって、おかしくないかな……?
フランスへ滞在するための手続きとか、そんな難しい話はよく分からないけど、将平くんが僕らの前に現れた時、ほんとに10年振りに帰ってきたという感じだった。
わざと黙ってたのか……それとも言う必要がなかったからなのか……
真意は分からないけど、これで将平くんのことも分からなくなってしまった。
あれだけ柳さんを遠ざけたがっていた将平くんのことだから、わざわざ柳さんに会いに来ていたとは考えずらい。
だとしたら、ルーカスさんの言うようような理由で帰国してたのだろうか……?
「その様子じゃ、将平の恋人はまことじゃないみたいだね」
無言になってしまった僕に、ルーカスさんがどこか安心したような顔つきでそんなことを言うものだから、僕は内心焦る。
「僕が恋人だなんて……そんなことあるわけないです」
体の関係はあったけど、将平くんとはそういう関係じゃない。
「まぁ、そうだろうね。先日食事した時将平の弟の恋人だと言っていたしね。でもまこと、将平と寝てただろ?だから僕もまことが相手なのかなぁと思ってたんだよね」
「…………、え?」
そうだね、と言われるのは分かる。
僕と将平くんじゃ釣り合わない。
けど、今……ルーカスさんは、なんて言った……?
「……ぁ、…あの……」
動揺が1番の肯定だ。
分かってるのに体が震えてしまう。
全身で動揺してる。
「どうしたの?凄く震えてるけど。寒い?」
ルーカスさんは自分の羽織っていたカーディガンを僕の体にかけてくれる。
惚けているんだろうか?
僕の動揺をそういう風に解釈するの?
本気で?
いや、それより……なんで知ってるの?
将平くんとの浮気は、バレないように気をつけてた。
将平くんにビジネスホテルをとってもらってたり…
なのになんで、ルーカスさんや、柳さんにバレてるの……?
とりあえず、誤魔化せるなら誤魔化さなきゃいけない。
「……あの、将平くんとはそんな…」
「誤魔化さなくてもいいよ。日本に来てからの将平の動向は把握してるから。とは言っても信憑性ないか。そうだね……ビジネスホテルで会ってただろ?」
ルーカスさんが、カーディガン越しに僕の肩をポンポンと、なにか……数を数えるようになでる。
「でも気になるよね、なんで将平はまことと寝たんだろ。なんでまことも将平なのかな。だって将平の弟と付き合ってるんだよね。恋人の兄弟と寝るなんてハードなこと僕もしたことないよ。ねぇ、この質問には答えられる?」
「……、あの……僕……」
誤魔化しは通用しない。
なんでルーカスさんが知ってるのか分からないけど、今の話を聞いた感じでは、将平くんの行動を把握していたから僕に繋がったと考えて間違いないだろう。
「まこと、僕に隠し事はしない方がいい。」
肩に置かれていたルーカスさんの手が、ゆっくりと僕の首筋に擦り上がってくる。
そのまま力を入れられたら、首が締まる……。
「困ってるなら助けてあげるよ」
「え……?」
「ただ全部話してくれればいい。僕はすごく頼りになると思うよ。敵に回すより、味方につけといた方がいい。」
「……、」
「ただ……事情があるなら全部話すことだ。僕が知らない、僕に有益な話をね」
背後に立つ、ルーカスさんを見上げると、凄く綺麗な笑みで見下ろされていた。
けど、今まで見てきたどんな微笑みより、それは1番恐怖を覚えた笑みだった。
こんな時間でも駅前だ。
誰が見ているか分からない。
それに駅前で高級ホテルの前だから目立つってだけじゃない。
ルーカルさんて、人物自体が目立つ。
派手な赤毛で長身だ。
いくらラフスタイルでも目立ちすぎる。
目立つレベルで言ったら矢野くんといい勝負だ。
ルーカスさんはホテルに入って、真っ直ぐにエレベーターへと向かった。
やっぱりこのホテルに宿泊しているようだ。
エレベーターを降り、部屋まで真っ直ぐ歩いた。
余計な会話はせず、ルーカスさんは部屋のドアにルームキーを当てると、ドアを開いて僕を中へと招いてくれた。
高級ホテルなだけあって広々として綺麗な部屋だ。
だいぶ上の階でエレベーターが停止したから、グレードが高い部屋なのかも……
「なにか飲む?」
「ぁ、大丈夫です……」
「そっか。じゃあ早速話そうか」
テーブルを挟んで向かい合わせに置かれているソファーに促され、大人しく座った。
ルーカスさんも向かいのソファーに腰かけ、長い足を組むと、真っ直ぐに僕を見てくる。
「どっちから話す?」
「……えっと、」
心の準備が全然出来てない。
正直この展開は想像してなかったからだ。
会えると思って来た訳ではなかった。
それに、会えて話す機会があったとしても"探る"なんてどう切り出したら怪しくならずに済むのか分からない……
「じゃあ僕からでいい?」
僕が迷っていると、ルーカスさんがそう言ってくれる。
……そうしてもらった方がいいかもしれない。
もしかしたら話の流れでなにか掴めるものがあるかもしれない。
「…はい、ルーカスさんからお願いします」
「うん」
ルーカスさんは頷いて微笑む。
「将平は日本に恋人がいるのかな」
「え」
将平くん関連の話をされるとは思っていたけど、まさかソコを聞かれるとは思っていなかったので、返答に詰まる。
「……ぃ、いえ、今はいないと思います」
将平くんはつい最近まで僕と体の関係があった。
柳さんの浮気にすごく怒っていた人が、恋人のいる身で僕と寝たりしないはず。
それにフランスでは女性と交際していたと過去形だったし、今はいるというニュアンスではなかったはずだ。
「今はってことは過去にはいたんだよね。そうだな、10年ほど前はどう?まことはまだ幼かっただろうけど、何か知ってる?」
「……、」
ルーカスさんの知りたいことが、何となく分かってしまったかも……
ルーカスさんも僕の表情からなにか読みとったのか、ゆっくりと順を追って話し始めてくれる。
「僕は大学に入ってきた将平に一目惚れしてね、直ぐにアプローチしたけど、男は無理だって……特に女役はやらないってフラれたんだ。在学中もずっとアプローチし続けたし、お互い社会人になっても交友してた。僕のことは気に入ってくれているみたいなのに頑なにそこだけは受け入れてくれないんだよ。これは過去にそっち側で嫌な経験でもしたんだろうなって思ってね。今回は仕事で日本にきたけど、いい機会だから将平のトラウマも克服してやろうと思って。」
ルーカスさんが本当にすごく流暢な日本語で、将平くんの過去の恋人を知りたい理由を話してくれる。
そっか……
この人、やっぱり将平くんが好きなんだ……
日本語が話せないふりをして将平くんと仕事をしていると聞いた時、そんな気がした。
出会ってからってことは、10年近くも……?
将平くんはフランスで女性と交際していたことがあると言っていたから、その間もずっと将平くんが好きだったってことだろうか。
なんて一途なんだろ……
……一途で言ったら、柳さんもそうかもしれないけど、ルーカスさんのことも柳さんのことも知らなすぎて今の段階でどっちが将平くんに相応しいかなんて分からないし、将平くんはどっちも望んでないかもしれない。
ルーカスさんが言うように"克服"したらルーカスさんとお付き合いできるのかもしれないけど、それはやっぱり将平くんが決めることだ。
「10年前は……いたみたいですけど、その人とは別れたって聞いてます」
その人に今自分は脅されて貴方と接触してるんです……なんて口が裂けても言えないけど…。
「そうか、別れてるのか。将平はたまに日本へ帰ってたから、日本に恋人がいるのが濃厚かと思ってたんだけどな」
「え?」
日本へ……?
そんな話聞いたことない。
将平くんからも、矢野くんからもだ。
「フランスへの滞在の手続きとか、家族に会いに行くとか僕には言ってたけど、恋人と会ってることを言いたくなくて誤魔化されてるのかと疑ってたんだ。」
「……」
日本へ帰ってきていたのに、家族に会わないって、おかしくないかな……?
フランスへ滞在するための手続きとか、そんな難しい話はよく分からないけど、将平くんが僕らの前に現れた時、ほんとに10年振りに帰ってきたという感じだった。
わざと黙ってたのか……それとも言う必要がなかったからなのか……
真意は分からないけど、これで将平くんのことも分からなくなってしまった。
あれだけ柳さんを遠ざけたがっていた将平くんのことだから、わざわざ柳さんに会いに来ていたとは考えずらい。
だとしたら、ルーカスさんの言うようような理由で帰国してたのだろうか……?
「その様子じゃ、将平の恋人はまことじゃないみたいだね」
無言になってしまった僕に、ルーカスさんがどこか安心したような顔つきでそんなことを言うものだから、僕は内心焦る。
「僕が恋人だなんて……そんなことあるわけないです」
体の関係はあったけど、将平くんとはそういう関係じゃない。
「まぁ、そうだろうね。先日食事した時将平の弟の恋人だと言っていたしね。でもまこと、将平と寝てただろ?だから僕もまことが相手なのかなぁと思ってたんだよね」
「…………、え?」
そうだね、と言われるのは分かる。
僕と将平くんじゃ釣り合わない。
けど、今……ルーカスさんは、なんて言った……?
「……ぁ、…あの……」
動揺が1番の肯定だ。
分かってるのに体が震えてしまう。
全身で動揺してる。
「どうしたの?凄く震えてるけど。寒い?」
ルーカスさんは自分の羽織っていたカーディガンを僕の体にかけてくれる。
惚けているんだろうか?
僕の動揺をそういう風に解釈するの?
本気で?
いや、それより……なんで知ってるの?
将平くんとの浮気は、バレないように気をつけてた。
将平くんにビジネスホテルをとってもらってたり…
なのになんで、ルーカスさんや、柳さんにバレてるの……?
とりあえず、誤魔化せるなら誤魔化さなきゃいけない。
「……あの、将平くんとはそんな…」
「誤魔化さなくてもいいよ。日本に来てからの将平の動向は把握してるから。とは言っても信憑性ないか。そうだね……ビジネスホテルで会ってただろ?」
ルーカスさんが、カーディガン越しに僕の肩をポンポンと、なにか……数を数えるようになでる。
「でも気になるよね、なんで将平はまことと寝たんだろ。なんでまことも将平なのかな。だって将平の弟と付き合ってるんだよね。恋人の兄弟と寝るなんてハードなこと僕もしたことないよ。ねぇ、この質問には答えられる?」
「……、あの……僕……」
誤魔化しは通用しない。
なんでルーカスさんが知ってるのか分からないけど、今の話を聞いた感じでは、将平くんの行動を把握していたから僕に繋がったと考えて間違いないだろう。
「まこと、僕に隠し事はしない方がいい。」
肩に置かれていたルーカスさんの手が、ゆっくりと僕の首筋に擦り上がってくる。
そのまま力を入れられたら、首が締まる……。
「困ってるなら助けてあげるよ」
「え……?」
「ただ全部話してくれればいい。僕はすごく頼りになると思うよ。敵に回すより、味方につけといた方がいい。」
「……、」
「ただ……事情があるなら全部話すことだ。僕が知らない、僕に有益な話をね」
背後に立つ、ルーカスさんを見上げると、凄く綺麗な笑みで見下ろされていた。
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