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○月×日『Too late⑥』
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「キスマーク?」
「ああ。」
「キスマークて、あの…、その…」
「そう。そのキスマーク。俺がよくつけるやつ。」
「あ……、そっか。……そっか、」
頬が火照ってきて、俯いた。
僕の部屋に入って、ベッドの上で僕は正座、矢野くんはあぐらをかいて座った。
そこで矢野くんの話とやらを聞いて、今に至る。
「この辺。」
そう言いながら矢野くんが僕の項の少し下辺を手で触れて教えてくれる。
「……虫刺されじゃないの?」
今の時期、虫刺されか……汗疹とか?
「俺もまさかなぁーと思って聞いた。」
「え、聞いたの?本人に?」
「聞かなきゃわかんねぇだろ。」
え、凄いな……
よく本人に聞けるな……
「虫に刺されたんじゃね?て、指さしたら明らかに動揺してたし誤魔化し方が変だったから、間違いない。」
なるほど。
キスマークてわかってたけど、あえて虫刺されじゃないかと指摘した……カマをかけたら、引っかかってくれたわけだ。
「相手、誰だと思う?」
「え……、柳さんか……ルーカスさん?」
「だよなぁー」
矢野くんが大きな溜め息をつきながら布団に寝転ぶ。
そう、僕らが話してるのは将平くんの事だ。
矢野くんが将平くんのキスマークに気づいたのは昨日の夜の事だったみたいだ。
シャワーを終えて腰にタオルを巻いた姿でリビングに入り、冷蔵庫からドリンクを出して飲む将平くんの後ろ姿を見た矢野くんはギョッとしたと言う。
場所が場所だけに、将平くんはキスマークに気づいていなかったようだ。
「やっぱ一志が怪しいよなぁ。」
……僕もそう思う。
だとしたら、僕と矢野くんが自由になったことにも関係してる気がする。
「……そこは聞かなかったの?」
「そこはさすがに聞けねぇだろ」
だよね……
さすがの矢野くんでもね……
「ゆず」
矢野くんに手招きされたので、矢野くんの隣に寝転ぶと、肩を抱かれた。
「あの社長が相手ならいいんだろうけどな。一志だったら、どうしていいか分かんねぇよ……」
矢野くんもわかってるんだ。
柳さんが相手だった場合、自分たちも無関係じゃないって。
「……普通に、彼女ができたのかも?」
「んー。それもない気がするんだよなぁ」
……僕もないとは思うけど。
僕との関係があった期間、それと関係が終わった後からもそんなに時は経っていないし、それに先日の僕らは自由だと言ってくれた将平くんからは、恋人がいるような感じはしなかった。
「彼女ができたとして、あの位置にわざわざつけるって変なシュチュエーションじゃねぇか?だったらバックでヤってる時につけられたって方が納得できるだろ?」
「……うん、」
……自然に想像できてしまう。
というよりは、体験談から想像できてしまうのだけど……
「ルーカスさんに、聞いてみるとか?」
「えー」
矢野くんが不満そうな声を出す。
「またご飯食べようって言ってくれてたしさ」
その前に彼の部屋で密会したことは、僕とルーカスさんの秘密だから、矢野くんの前では2度目ですねって顔をしなくてはいけないけど……
「いや、無理だろ。話通じないし」
「え?」
「言葉、わからないだろ?」
あ、そっか……
そうだった……
ルーカスさんが日本語を話せること知ってるの、僕だけなんだ。
墓穴掘った……?
「そうだったね、あの時は将平くんがいてくれたから……」
「だろ?」
どうやら、ギリギリセーフかな……
「やっぱ兄貴に聞くしかないかぁ。そこがハッキリしたらこんなに考えなくていいしな」
「……昂平くん、聞ける?」
「んー、たぶん」
たぶんか……
でも、僕は怖くて聞けない。
矢野くんがいつもの感じでサクッと聞いてくれると助かる。
「じゃあ、聞けたら教えてくれる?」
「…………聞けたらな。」
すごい間があったけど、矢野くんを信じてみるしかないかな……。
……最終手段として、ルーカスさんに連絡をとってみよう。
前に会った時、名刺と一緒に連絡先も貰った。
……もし、将平くんの相手が柳さんだったら…
将平くん傷つく。
だって柳さんは、離婚歴があって、子供もいるってルーカスさんが言ってた……
それを承知の上で将平くんが柳さんと関係を持つなんて考えられないけど、何も知らずにいるんだとしたら、将平くんにとって10年前以上に酷い仕打ちになる気がするから……
今の僕は、祈ることしか出来なかった。
「ああ。」
「キスマークて、あの…、その…」
「そう。そのキスマーク。俺がよくつけるやつ。」
「あ……、そっか。……そっか、」
頬が火照ってきて、俯いた。
僕の部屋に入って、ベッドの上で僕は正座、矢野くんはあぐらをかいて座った。
そこで矢野くんの話とやらを聞いて、今に至る。
「この辺。」
そう言いながら矢野くんが僕の項の少し下辺を手で触れて教えてくれる。
「……虫刺されじゃないの?」
今の時期、虫刺されか……汗疹とか?
「俺もまさかなぁーと思って聞いた。」
「え、聞いたの?本人に?」
「聞かなきゃわかんねぇだろ。」
え、凄いな……
よく本人に聞けるな……
「虫に刺されたんじゃね?て、指さしたら明らかに動揺してたし誤魔化し方が変だったから、間違いない。」
なるほど。
キスマークてわかってたけど、あえて虫刺されじゃないかと指摘した……カマをかけたら、引っかかってくれたわけだ。
「相手、誰だと思う?」
「え……、柳さんか……ルーカスさん?」
「だよなぁー」
矢野くんが大きな溜め息をつきながら布団に寝転ぶ。
そう、僕らが話してるのは将平くんの事だ。
矢野くんが将平くんのキスマークに気づいたのは昨日の夜の事だったみたいだ。
シャワーを終えて腰にタオルを巻いた姿でリビングに入り、冷蔵庫からドリンクを出して飲む将平くんの後ろ姿を見た矢野くんはギョッとしたと言う。
場所が場所だけに、将平くんはキスマークに気づいていなかったようだ。
「やっぱ一志が怪しいよなぁ。」
……僕もそう思う。
だとしたら、僕と矢野くんが自由になったことにも関係してる気がする。
「……そこは聞かなかったの?」
「そこはさすがに聞けねぇだろ」
だよね……
さすがの矢野くんでもね……
「ゆず」
矢野くんに手招きされたので、矢野くんの隣に寝転ぶと、肩を抱かれた。
「あの社長が相手ならいいんだろうけどな。一志だったら、どうしていいか分かんねぇよ……」
矢野くんもわかってるんだ。
柳さんが相手だった場合、自分たちも無関係じゃないって。
「……普通に、彼女ができたのかも?」
「んー。それもない気がするんだよなぁ」
……僕もないとは思うけど。
僕との関係があった期間、それと関係が終わった後からもそんなに時は経っていないし、それに先日の僕らは自由だと言ってくれた将平くんからは、恋人がいるような感じはしなかった。
「彼女ができたとして、あの位置にわざわざつけるって変なシュチュエーションじゃねぇか?だったらバックでヤってる時につけられたって方が納得できるだろ?」
「……うん、」
……自然に想像できてしまう。
というよりは、体験談から想像できてしまうのだけど……
「ルーカスさんに、聞いてみるとか?」
「えー」
矢野くんが不満そうな声を出す。
「またご飯食べようって言ってくれてたしさ」
その前に彼の部屋で密会したことは、僕とルーカスさんの秘密だから、矢野くんの前では2度目ですねって顔をしなくてはいけないけど……
「いや、無理だろ。話通じないし」
「え?」
「言葉、わからないだろ?」
あ、そっか……
そうだった……
ルーカスさんが日本語を話せること知ってるの、僕だけなんだ。
墓穴掘った……?
「そうだったね、あの時は将平くんがいてくれたから……」
「だろ?」
どうやら、ギリギリセーフかな……
「やっぱ兄貴に聞くしかないかぁ。そこがハッキリしたらこんなに考えなくていいしな」
「……昂平くん、聞ける?」
「んー、たぶん」
たぶんか……
でも、僕は怖くて聞けない。
矢野くんがいつもの感じでサクッと聞いてくれると助かる。
「じゃあ、聞けたら教えてくれる?」
「…………聞けたらな。」
すごい間があったけど、矢野くんを信じてみるしかないかな……。
……最終手段として、ルーカスさんに連絡をとってみよう。
前に会った時、名刺と一緒に連絡先も貰った。
……もし、将平くんの相手が柳さんだったら…
将平くん傷つく。
だって柳さんは、離婚歴があって、子供もいるってルーカスさんが言ってた……
それを承知の上で将平くんが柳さんと関係を持つなんて考えられないけど、何も知らずにいるんだとしたら、将平くんにとって10年前以上に酷い仕打ちになる気がするから……
今の僕は、祈ることしか出来なかった。
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