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境
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あるとき私は、線を見つけた。それは、花畑の終わり、ようするに、死後の世界の端。白い、 車線のようにも見えるそれは、一体何を表しているのだろう。
私が白線を見つけた日は、 いつもと同じ白い空が広がっている日だった。青でも黒でもない、白い空。 雲がかかっているわけではないので、きっとこれが死後の世界の通常なのだろう。
いつもと違うのは、彼女──先日、双子の妹の話を打ち明けてくれた──がいないこと。今日は聖霊様のところに話を聞きにいくと言っていた。初めは驚いたが、実はこの世界、聖霊と呼ばれる人ならざる者も存在するらしい。本が大好きな彼女は、物語の中だけだと思っていたことがまさか現実にあったなんて、と狂喜乱舞しながら話してくれた。体が弱かったのは生前だけなのか。死んだら関係ないのか?
つまり今日一日暇になった私だが、 この世界で見付けた疑問を片っ端から解決していくという名案を思い付いた。
一つ目の疑問は、
『死後の世界はどこまで広がっているのか。』
死んだからといって自由に空を飛べる訳でもなく、重力はある。しかし、数十メートル先は白い靄に包まれていて、いきら目を凝らしても見えない。もしかしたら、何か不思議な力が働いているんじゃ……と今までなら考えもしないことを、考えてしまうのだ。聖霊がいるなら、もう何があっても驚かない自信がある。
よく見ると、白線の向こうは微かに黒みかがっていた。やっぱり境界線だ、と自分の推理が的中したことを喜ぶと、早速足を踏み入れようとして。
「だめよ」
その声に、私は動きを止める。……誰?
「あなたは、こちら側に来てはいけないの」
淡々と告げるのは、一人の少女だった。シルクのように艶々の白い髪、サファイアの瞳を持った彼女は、到底人間ではない、良い意味で目を引く外見だ。
「私のように、作られた生き物がここにいる。だから、実際に存在したあなたは、こちら側に来てはいけないの」
少女は、諭すようにゆっくりとした口調で言った。
それは、こちらを拒絶しているというより……
「また来るよ。一緒に話そう」
胸中を読まれた少女は驚いた表情をしていたが、私は気にせずニッコリと笑った。
私が白線を見つけた日は、 いつもと同じ白い空が広がっている日だった。青でも黒でもない、白い空。 雲がかかっているわけではないので、きっとこれが死後の世界の通常なのだろう。
いつもと違うのは、彼女──先日、双子の妹の話を打ち明けてくれた──がいないこと。今日は聖霊様のところに話を聞きにいくと言っていた。初めは驚いたが、実はこの世界、聖霊と呼ばれる人ならざる者も存在するらしい。本が大好きな彼女は、物語の中だけだと思っていたことがまさか現実にあったなんて、と狂喜乱舞しながら話してくれた。体が弱かったのは生前だけなのか。死んだら関係ないのか?
つまり今日一日暇になった私だが、 この世界で見付けた疑問を片っ端から解決していくという名案を思い付いた。
一つ目の疑問は、
『死後の世界はどこまで広がっているのか。』
死んだからといって自由に空を飛べる訳でもなく、重力はある。しかし、数十メートル先は白い靄に包まれていて、いきら目を凝らしても見えない。もしかしたら、何か不思議な力が働いているんじゃ……と今までなら考えもしないことを、考えてしまうのだ。聖霊がいるなら、もう何があっても驚かない自信がある。
よく見ると、白線の向こうは微かに黒みかがっていた。やっぱり境界線だ、と自分の推理が的中したことを喜ぶと、早速足を踏み入れようとして。
「だめよ」
その声に、私は動きを止める。……誰?
「あなたは、こちら側に来てはいけないの」
淡々と告げるのは、一人の少女だった。シルクのように艶々の白い髪、サファイアの瞳を持った彼女は、到底人間ではない、良い意味で目を引く外見だ。
「私のように、作られた生き物がここにいる。だから、実際に存在したあなたは、こちら側に来てはいけないの」
少女は、諭すようにゆっくりとした口調で言った。
それは、こちらを拒絶しているというより……
「また来るよ。一緒に話そう」
胸中を読まれた少女は驚いた表情をしていたが、私は気にせずニッコリと笑った。
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