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久
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「おや、兄さん」
「あれ、肇?」
私が日課の庭の草花の手入れをしていると、弟が門の前にいることに気付いた。
小説家としてめぐるましい日々を送っている彼が、この家を訪れるのは珍しい。
「久しぶり。元気だった?」
「あぁ。そういえば、白姫が一度うちへ来たよ。お前が元気かと訊いてきたから、肯定しておいた。よかったか?」
「うん」
一人で暮らす屋敷は、広すぎると思っていたところなので、茶でも淹れようと私は肇を屋敷に上がらせた。
この家に人が入るのはいつぶりだろう。白姫が来たときは縁側に腰かけただけだったからな。
そんな風に考えながら急須を傾け、湯気がたつ湯飲みを二つ、盆に乗せ和室へと運んだ。
「すまない、台所を探したがこれといっていい茶菓子が見当たらなかった」
「いや、気にしないよ。俺も連絡なしに来たんだし」
そうか、と言いつつ、私は茶を飲んだ。
──それにしても。
「お前、どうしてここに来たんだ? 何か悩みでもあるのか?」
例えば、小説のネタに困っているとか。
生活力はもともとないが、さすがに辛くなったとか。
小説執筆の才能以外、からっきしの人間である。思い当たる節はいくつもある。
「ただ、久しぶりに帰ろうかと思っただけだよ」
と素っ気なく返す肇。
私はふっと笑みを溢した。
「せっかく来たんだ、ゆっくりしていけよ」
こんな日も、たまにはいいかもしれないな。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
陽李&肇兄弟の話。ネタに困ったらとりあえずこの二人かな。
最近、ネタの枯渇に悩んでます。
「あれ、肇?」
私が日課の庭の草花の手入れをしていると、弟が門の前にいることに気付いた。
小説家としてめぐるましい日々を送っている彼が、この家を訪れるのは珍しい。
「久しぶり。元気だった?」
「あぁ。そういえば、白姫が一度うちへ来たよ。お前が元気かと訊いてきたから、肯定しておいた。よかったか?」
「うん」
一人で暮らす屋敷は、広すぎると思っていたところなので、茶でも淹れようと私は肇を屋敷に上がらせた。
この家に人が入るのはいつぶりだろう。白姫が来たときは縁側に腰かけただけだったからな。
そんな風に考えながら急須を傾け、湯気がたつ湯飲みを二つ、盆に乗せ和室へと運んだ。
「すまない、台所を探したがこれといっていい茶菓子が見当たらなかった」
「いや、気にしないよ。俺も連絡なしに来たんだし」
そうか、と言いつつ、私は茶を飲んだ。
──それにしても。
「お前、どうしてここに来たんだ? 何か悩みでもあるのか?」
例えば、小説のネタに困っているとか。
生活力はもともとないが、さすがに辛くなったとか。
小説執筆の才能以外、からっきしの人間である。思い当たる節はいくつもある。
「ただ、久しぶりに帰ろうかと思っただけだよ」
と素っ気なく返す肇。
私はふっと笑みを溢した。
「せっかく来たんだ、ゆっくりしていけよ」
こんな日も、たまにはいいかもしれないな。
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陽李&肇兄弟の話。ネタに困ったらとりあえずこの二人かな。
最近、ネタの枯渇に悩んでます。
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