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2、悪夢

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「あんたは、昔から出来損ないなのよ!」

「お兄ちゃんはなんでも出来るのに」

「家事もできないの?」

「不細工だな。」


僕は、家で親から説教をされていた。

工房を営み、中流の暮らしをする父と母。独学でなんでもこなす兄。

僕は、皆が機嫌が悪くならないように、ストレス発散の的にされるピエロだ。


「うる・・・さい!!!」
僕が思いっきり叫ぶと、身体を揺さぶられた。

『おい、リク!リク?起きろ!』

「ひっ・・・ひっ・・・ひっ・・・」
僕は、自分を抱きしめて、大量に汗をかいて喘いだ

『鼻から空気を吸って。ゆっくりゆっくり口から吐いて。しばらく繰り返すんだ。30分くらいは、このまま。』

「さむっ・・寒い・・・・」
ガタガタと震える僕


『体温が異常に上がってるんだよ。一回毛布を変えるよ。』
無理やり僕が抱きしめる毛布をひっぺがすと、薄手の新しい毛布をかけてくれる。


『温かい飲み物を飲んで。ホットミルクだよ。』
砂糖がたっぷり入ったミルクを飲ませてもらい、寒気はだんだんと和らいだ。


僕は、体力を使い果たしてしまい、もう一度眠りについた。




目が覚めると、僕はクォンに抱きついている状態だった。クォンは何事もないかのように、本を読んでる。

「ご、ごめん・・・。」
僕は、ばっ!と体を離すと、クォンを見つめた。


『気持ちよさそうに寝られてて、良かったよ。』
クォンは、にこ。と微笑む。


『色々としたいことはあるけれど、まずは傷を治してからだね。落ち着いて寝られるようになってほしいし』

「いや・・・世話になるわけには、いかないから。僕、帰るから。魂食べて、僕死ねると思ったのに、そうじゃないなら、僕いたら迷惑でしょ。」


知らない男の家にいきなり世話になるのは、色々と危ない。死にたいと思いつつも、防衛本能は働く。


『綺麗に成長して、もっと美味しくなった魂を食べたいから。俺が世話をするのは当然だよ。』
当然の義務!と胸を張って主張するイケメン。


言ってる事が、わからない。


「魂とか、よくわからないし!」


『大丈夫。どうせ、行くところないでしょ?』


「そのうち面倒になって、捨てられるなら、拾われたくないから、いい。」
僕は、全力で拒否する。


『大丈夫だよ。捨てないから。』
にこ。と微笑んでくるが、何を考えているか全く分からない。
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