VaD

正君

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VIVA

06.Tau

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 可愛い寝息。ふわふわの髪。小さな唇。すらりと高い鼻。綺麗な爪。
 毛布同士が擦れる音。私の足音。
 私は、これ以上無い程高揚していた。
 髪を撫でると幸せそうに微笑んでいる。
 このまま、この手で君を壊してしまおうか。
 このまま、多分、世界中で私しか知らないことを、教えてしまおうか。
 汚い願望全てを君に押し付けてしまおうか。

 生まれて初めての夜這い。そして自慰。全ての初めてを共有して生きていかないか。
 この、私達二人だけの狭い世界で、永遠に生きていかないか。

 額に口付けをすると、可愛らしく唸ってから寝返りを打った。
 かわいい。かわいい。

「かわいい」
 ほんとうにかわいい。
 かわいいね。本当にかわいい。
 だいすき、だいすきだよ。

 側に立つ。
 音を立てないように。
 大きく吸い込む。
「かわいい」
 長い睫毛。
 かわいいね。
 すてきだね。
 世界で一番。
「かわいい」
 愛してる。
 筋張った指が這う。
 なんだ、そっくりだね。
「かわいい」
 愛してる。
「かわいい」
 愛してるよ。
 本当に愛してる。
「かわいい」
 好き。好き。好き。大好き。
「かわいい」
 だいすき。だいすきだよ。
「かわいい」
 あいしてる あい、あ いしてる 。
「かわいい」
 すき。
「かわいい」
「かわいい」
「かわいい」
「かわいい」


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