31 / 370
マッサージ指南
しおりを挟む
畑の作業を終え少し休んでいると、水汲みに行ったじいやたちが戻って来た。
「おかえりなさい!みんな疲れたでしょう?少し休みましょう」
「私たちは大丈夫ですが、スイレン様が……」
「ぼっ!……僕も大丈夫だもん!」
私は動いたおかげでだいぶ筋肉痛が取れたけど、スイレンはまだ痛みが続いているようで荷車に座りながら涙目で強がっている。
「スイレン、ちょっとこっちに来て座って?」
笑いながらスイレンを呼ぶと「なんで?」と言いながらロボットのような歩き方でこちらに来る。そしてじいやとタデに休むように言い、スイレンを座らせ私はマッサージを開始した。
「カレン?何を……ギャー!」
どこを押しても触っても悲鳴を上げるスイレンを見てみんなが笑う。
「だから動かしたほうが早く痛みがなくなるって言ったでしょう?私はもう我慢できるほどよ?少し痛いかもしれないけど我慢して」
ギャーギャー騒ぐスイレンに笑いながら痛いであろう部分を重点的に揉みほぐしていく。
「あっー!!痛っ……気持ちいい?……痛気持ちいい……?」
段々と血行が良くなって来たのか、痛みの他にマッサージ特有の気持ち良さを感じ始めたらしい。スイレンは「あ~……」とか「う~……」とか一番風呂に浸かった老人のような声を出しているうちにウトウトとし始め眠ってしまった。
「あ、寝ちゃった」
「カレン?スイレンはどうしたの?」
ずっと見ていたお母様に声をかけられる。どうやらわざと痛い場所を押して遊んでいると思っていたようだ。するとすかさずじいやが近くに寄ってきた。
「姫様?リトールの町でもそのようなことをしておりましたよね?じいは気になって仕方がないのですが」
リトールの町では気付かないフリをして軽くスルーしたけれど、こうもグイグイと来られたら断れない。
「……これは指圧とかマッサージとかと呼ばれるもので……血の流れを良くして体をほぐしたり痛みを緩和したりするんだけど……」
「よく分かりませんので是非ともやってくだされ!」
とにかく気になるらしいじいやは背中を向けて迫ってくる。なので両肩にそっと手を置くと驚いた。
「じいや!何なのこの肩は!岩みたいじゃない!」
とても人の身体だと思えなくて、指圧でどうにかなるレベルじゃないので肩叩きをする。しばらく肩を叩いても何も変わらず、肘を使って肩甲骨の辺りのツボを押し始めるとようやく「……おぉ?」と声を漏らすじいや。
段々と悔しくなってきて、自分の筋肉痛も忘れあの手この手で凝りをほぐそうとし、じいやの腕に触って驚いた。普段腕を出すこともないし、細身の老人だと思っていたじいやはとんでもない筋肉の持ち主だった。
「じいや!痛かったら言ってね!」
私はムキになりじいやの背後から両手でじいやの手首を掴み、片膝で肩甲骨の辺りを支えにしながら持った手を背中側に引く。
「これはこれは……」
そうじいやが言葉を漏らすので交互に数回その動作をすると私の息が上がる。そこでようやく肩が少し柔らかくなったので、ひたすらツボを刺激する。
「……姫様……これは皆に広めねば……」
どうやらじいやにも効き始めたようだ。それを見ていたお母様が口を開く。
「カレン。モクレンにもしてあげたいので教えてもらってもいいかしら?」
正直、もう疲れていたけれどお母様の願いを無下に断ることも出来ず、じいやの身体を使ってお母様にレクチャーする。「ここのツボを」と言ってもいまいちピンと来ないようで、結局はお母様にまでマッサージをすることになってしまった。じいやの身体ほど力を必要とはしないけれど、私の親指は限界に近い……。
「カレン……これはすごいわ……ずっと押されていたい……」
そしていつの間にかお母様はウトウトとし始め、ついには眠ってしまった。
「これで……ゼーゼー……疲労回復に……ハーハー……なるはずよ……」
じいやはこれでもかってほど喜んでいたけれど、まだ子どもの身体の私にはなかなかの重労働で、スイレンもお母様も敷物の上で眠っていたけど、私は汚れるのも構わず地面に倒れ込み疲れて眠ってしまったのだった。
私たちが起こされたのはもう日が暮れそうな時間帯で、あまりにも気持ち良さそうに眠っているから起こせなかったとお父様に言われた。私はそれを聞いて、気持ち良さそうに眠っているのはスイレンとお母様だけよ、と疲労が回復していない身体で思ったのだった。
「おかえりなさい!みんな疲れたでしょう?少し休みましょう」
「私たちは大丈夫ですが、スイレン様が……」
「ぼっ!……僕も大丈夫だもん!」
私は動いたおかげでだいぶ筋肉痛が取れたけど、スイレンはまだ痛みが続いているようで荷車に座りながら涙目で強がっている。
「スイレン、ちょっとこっちに来て座って?」
笑いながらスイレンを呼ぶと「なんで?」と言いながらロボットのような歩き方でこちらに来る。そしてじいやとタデに休むように言い、スイレンを座らせ私はマッサージを開始した。
「カレン?何を……ギャー!」
どこを押しても触っても悲鳴を上げるスイレンを見てみんなが笑う。
「だから動かしたほうが早く痛みがなくなるって言ったでしょう?私はもう我慢できるほどよ?少し痛いかもしれないけど我慢して」
ギャーギャー騒ぐスイレンに笑いながら痛いであろう部分を重点的に揉みほぐしていく。
「あっー!!痛っ……気持ちいい?……痛気持ちいい……?」
段々と血行が良くなって来たのか、痛みの他にマッサージ特有の気持ち良さを感じ始めたらしい。スイレンは「あ~……」とか「う~……」とか一番風呂に浸かった老人のような声を出しているうちにウトウトとし始め眠ってしまった。
「あ、寝ちゃった」
「カレン?スイレンはどうしたの?」
ずっと見ていたお母様に声をかけられる。どうやらわざと痛い場所を押して遊んでいると思っていたようだ。するとすかさずじいやが近くに寄ってきた。
「姫様?リトールの町でもそのようなことをしておりましたよね?じいは気になって仕方がないのですが」
リトールの町では気付かないフリをして軽くスルーしたけれど、こうもグイグイと来られたら断れない。
「……これは指圧とかマッサージとかと呼ばれるもので……血の流れを良くして体をほぐしたり痛みを緩和したりするんだけど……」
「よく分かりませんので是非ともやってくだされ!」
とにかく気になるらしいじいやは背中を向けて迫ってくる。なので両肩にそっと手を置くと驚いた。
「じいや!何なのこの肩は!岩みたいじゃない!」
とても人の身体だと思えなくて、指圧でどうにかなるレベルじゃないので肩叩きをする。しばらく肩を叩いても何も変わらず、肘を使って肩甲骨の辺りのツボを押し始めるとようやく「……おぉ?」と声を漏らすじいや。
段々と悔しくなってきて、自分の筋肉痛も忘れあの手この手で凝りをほぐそうとし、じいやの腕に触って驚いた。普段腕を出すこともないし、細身の老人だと思っていたじいやはとんでもない筋肉の持ち主だった。
「じいや!痛かったら言ってね!」
私はムキになりじいやの背後から両手でじいやの手首を掴み、片膝で肩甲骨の辺りを支えにしながら持った手を背中側に引く。
「これはこれは……」
そうじいやが言葉を漏らすので交互に数回その動作をすると私の息が上がる。そこでようやく肩が少し柔らかくなったので、ひたすらツボを刺激する。
「……姫様……これは皆に広めねば……」
どうやらじいやにも効き始めたようだ。それを見ていたお母様が口を開く。
「カレン。モクレンにもしてあげたいので教えてもらってもいいかしら?」
正直、もう疲れていたけれどお母様の願いを無下に断ることも出来ず、じいやの身体を使ってお母様にレクチャーする。「ここのツボを」と言ってもいまいちピンと来ないようで、結局はお母様にまでマッサージをすることになってしまった。じいやの身体ほど力を必要とはしないけれど、私の親指は限界に近い……。
「カレン……これはすごいわ……ずっと押されていたい……」
そしていつの間にかお母様はウトウトとし始め、ついには眠ってしまった。
「これで……ゼーゼー……疲労回復に……ハーハー……なるはずよ……」
じいやはこれでもかってほど喜んでいたけれど、まだ子どもの身体の私にはなかなかの重労働で、スイレンもお母様も敷物の上で眠っていたけど、私は汚れるのも構わず地面に倒れ込み疲れて眠ってしまったのだった。
私たちが起こされたのはもう日が暮れそうな時間帯で、あまりにも気持ち良さそうに眠っているから起こせなかったとお父様に言われた。私はそれを聞いて、気持ち良さそうに眠っているのはスイレンとお母様だけよ、と疲労が回復していない身体で思ったのだった。
122
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる