貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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歓迎

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 基本的に私たちは広場に集まり、地面に座って食事をする。雨が降っていたり、降った直後で地面が濡れている時は屋根のある場所で食事をとる。そういう食事スタイルのヒーズル王国だが、イチビたちがシャイアーク国から人が来ると伝えてくれていたので、簡素ではあるが大きなテーブルと椅子を用意してくれていた。リトールの町の人たちは皆テーブルに着いて食事をする。
 テーブルの上には新鮮な野菜や果物、おひたしのような山菜料理が所狭しと並んでいる。お母様は自らお湯を沸かし香草茶を淹れる。

「皆さんお久しぶりね。遠いところをわざわざ来てくれて歓迎します」

「まだ名乗っていなかったな。ヒーズル王国で王をしているモクレンだ。しかし王とは何をすれば良いのだ? まぁ良いか。いつも子どもたちや民たちが世話になって感謝している。疲れただろう? レンゲの淹れた茶は美味い。ぜひ堪能してくれ」

 お母様が三人に香草茶を出すと、いつも通りのお父様は快活に笑いながら話すが、三人はまだ涙を流している。

「……ブルーノと申します。……ここまで人を憎んだのは初めてだ」

 ようやく声を出したブルーノさんはそう話すが、私たちは何か失礼をしてしまったのかと動揺してしまう。

「ジェイソンです……私もいつも見る国境付近だけが砂の土地なのだと思っていました……」

「リトールの町の町長ペーターだ。ここまで歩き、ようやく森が見えて何とも言えない気持ちになり……さぞお辛かったでしょうに……」

 今まで口数が少なかったのも固い表情だったのも、そして泣いているのもシャイアーク国王への憎悪だったのだとようやく理解出来た。お父様もそれが分かったらしく、真面目な表情となり口を開いた。

「確かに私たちは、特に私はシャイアーク国王を憎しみ恨んだな。死ななくても良かった仲間たちがどんどんと死んでいったのだから……」

 いつも笑っているお父様から殺気のようなものを感じ、周囲はピリピリとした空気に変わる。

「どこまで歩いても砂と岩しかない。木はいくらかは生えていたがすぐに伐採し尽くし、獣も全て狩ってしまったようで生物の気配はなくなり、ようやくこの地に辿り着いた時にはもう移動することが出来ないほどだった。民のほとんどが動けなくなり、水とそちらで購入したわずかなトウモロコーンだけで命を繋いでいたほどだ。なぜ私たちがこんな目に……と思っていたが、今は幸せなのだ。だからもう良いのだ」

 お父様は最後に笑った。その笑顔を見て三人はまた涙をこぼす。

「私の子どもたちは王よりも優秀でな。貴方たちが見て来たようにこの場所には何もなかったのだ。しかしカレンがなかなか切れ者でな。あの森を作ったのもその畑を作ったのもカレンだ。後で案内するがそれ以外のものもカレンが提案し、スイレンの計算によって作られている。私たちは幸せなのだ。だから森と畑の恵みを存分に味わってくれ」

 急に名前を出され驚いたが、三人は頭が追い付かないようで私がなぜこのようなものを作れたか、なぜあんなに大きな森林を育てられたかということまでは考えることが出来ないようだ。違う星の前世の記憶があるなんて言っても信じてもらえないだろうし、この土地の不思議な力についてはあまり詮索されたくはない。そんなことを思っているとスイレンがニコリと微笑みながら口を開いた。

「三人の歓迎の宴だよ! 早く食べて飲んで!」

 癒やしの天使のような微笑みでそう言われると、三人は泣きながら食べ物に感謝しようやく手に取り口に運んでくれた。そこからは一気に盛り上がりまだ日も暮れていないのに宴となる。

「リトールの町に持って来てくれるものより美味い!」

「こんなに甘い果物なんて!」

「先生は毎日こんなに美味いものを!?」

 どんなに泣いていても味覚は無くならない。一度食べ物を口に入れてしまえば、採れたて新鮮なヒーズル王国の食べ物に三人は夢中になってくれた。特にジェイソンさんの食欲は凄まじく、目の前のものをどれも「美味い!」と食べ尽くす。民たちも好きなものを好きなだけ食べ、食べるものが足りなくなると収穫に行ってしまうほどだ。
 ペーターさんは私とスイレンを孫のように思っていると言ってくれたり、ブルーノさんはスイレンの計算能力の高さがどれほど凄いかを語り、ジェイソンさんはじいやがどれほど鬼教官だったかを語る。それを聞いた民たちも喜び笑いあう。
 いつも私たちを手厚く歓迎してくれるリトールの町の全員にではないが、ようやく少しでも恩を返せたことに私も嬉しくなってしまう。

 話の内容は目まぐるしく変わるが、自分の家族や民たちを褒められたお父様はとても気を良くし「歳は違うが良い友人が三人も出来た」と豪快に笑うと三人はまた涙を流してしまった。けれどこの涙は悲しい涙ではなく、喜びの嬉し涙なのだった。
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