貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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美しい人

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 私とスズメちゃんが、クジャのお母様とお祖母様の療養用の寝室へと到着すると、クジャのお祖母様であるスワンさんはニコニコと微笑みながら寝台に座っていた。

「お呼びですか!?」
「どうかなさいました!?」

 今まで呼ばれたことがなかっただけに、スズメちゃんと共に焦りながらお聞きした。

「二人共、忙しいのに呼んでしまってごめんなさいね。大事な話があるの」

 これまでは言葉を上手く話せずつかえていたが、今日のスワンさんはゆっくりとではあるがしっかりと話している。
 大事な話という言葉に私とスズメちゃんは顔を見合わせ、そして直立不動の姿勢となる。

「あぁ、緊張しないでちょうだい」

 そうは言われても、私とスズメちゃんは緊張から変な汗をかき始めた。

「見ていて」

 そう言ったスワンさんはゆっくりと立ち上がり、支えもなしに一歩ずつこちらに向かって歩いている。亀の歩みのようにゆっくりとだが、あの状態の悪かったスワンさんが一人で歩いているのだ。
 私は驚きを通り越して放心状態となっていることに気付き、自分はなんて顔をしているのだろうと思いながらも隣のスズメちゃんを見ると、スズメちゃんもまた私と同じ顔をしていた。

「はい、到着」

 呆然と見守ることしか出来なかったが、スワンさんはゆっくりと私たちの前まで来て、そしてニコリと笑いながら私とスズメちゃんの手を握った。

「カレンさん、スズメ、本当にありがとう。二人のおかげで、いえ、皆のおかげでここまで元気になれましたよ。二人共まだ子どもなのに、大人顔負けの働きをしてくれたわね。本当にありがとう」

 女神、天使、天女、いろんな言葉があるが、スワンさんは年齢を感じさせず、そしてそれらの美しい女性を感じさせる優しく穏やかな微笑みを携えている。表面的ではなく、内面から滲み出る例えようのない美しさに私は見とれていた。

「さて」

 そう呟いたスワンさんは、私とスズメちゃんの背後を見ている。つられて私たちも振り返ると、クジャのお母様であるオオルリさんが驚いた顔で横たわっていた。

「オオルリさん、私のほうが早く元気になってしまったわね。オオルリさんが元気にならなくちゃ、皆で約束したご実家に遊びに行く計画が延びちゃうわ」

 うふふ、とスワンさんは笑っているが、私とスズメちゃんは気付いてしまった。スワンさんはかなり無理をしているのだろうと。

 ご自身のことよりも他人のために行動をするというスワンさんは、オオルリさんのために無理をしているようなのだ。実際に、少し無理をすればここまで歩けるようになったのは素晴らしいことだ。けれど足腰が震え初めている。
 表情に全く出していないことが考えられないくらいに、オオルリさんに良い意味で発破をかけるために無理をしているのだろう。

「一度座りましょう? メジロさん、椅子をお願いします」

 メジロさんはスワンさんの小さな震えに気付いておらず、笑顔で「はい、どうぞ」と椅子を持って来てくれた。私とスズメちゃんとでゆっくりと椅子に座らせる。

「私も……負けていられませんね……」

 オオルリさんもまたスワンさんの様子に気付かず、むしろやる気に満ち溢れている。私たちの手助けなく一人で起き上がり、寝台に腰かけて手足を動かしている。筋力アップの運動を始めたようだ。
 その様子を「その意気よ」とスワンさんは応援している。なんと強く美しい人だろうか。

────

 スワンさんとオオルリさんに「無理は禁物」と言い、寝台に寝かせた私とスズメちゃんは洗濯の続きに戻って来た。

「……はぁ~……私もあんな素敵な大人の女性になりたいわ……」

 洗濯の途中で気もそぞろにそう呟くと、スズメちゃんは反論する。

「そんな! カレンさんは私の憧れなんですから、カレンさんだってすごいんです!」

「スズメちゃん……憧れる対象を間違っているわよ」

 そう言うと、スズメちゃんは「えぇ!?」と苦笑いをしている。

「そうだスズメちゃん。前にね、厨房の人たちがマイと赤いディーズを使って料理をすると言っていたのだけれど、どの時点で作るのかしら?」

 急に話題を変えたがスズメちゃんは丁寧に答えてくれた。

「オオルリ様が立って歩けるようになったらと聞いています。その時になったら、お城の屋根に旗を掲げるんです。それを見た民たちは各家庭でその料理を作って食べるんですよ。その旗は祝い事や喜び事があると掲げるんですが、国中のみんながお祝いするんです」

 なるほど。ならば赤飯を作るその時はもう間近に迫っている。

「スズメちゃん、その料理を私が作るから楽しみにしていてね。お城で働くみんなの分も作るわ」

「カレンさんはマイのない国から来たのに、本当に何でも出来て素敵です……」

 スズメちゃんはうっとりと私を見つめているが、単に美樹が赤飯が好きだったからだと言えず苦笑いになってしまう。そして洗濯物を干している時に閃いた。

「こうしてはいられないわ! お父様ー! じいやー!」

 私はスズメちゃんを置き去りにし、ある物を作ってもらうためにお父様とじいやの元へと走った。おかげで訓練が中断となったため、兵たちからとてつもなく感謝されたのは言うまでもない。
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