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新たな輸入品の発見
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その後はガラス工房の見学をさせていただいた。私は『美樹』が見たことがあったので懐かしいと思ったが、他の者たちは初めて見るガラスの製造に大変興味を示し、工場内の人たちの力を借りて、それぞれが思い思いの器やグラスを作らせていただいた。
そして敷地内の端にある、ニコライさんの研究所も少しだけ見学させてもらった。
ビーカーやフラスコ等、実験に使うような道具がたくさんあり、つい「欲しい!」と騒ぐと、後で一式贈ってくれると言うではないか。さすがはセレブ、太っ腹である。これを使ってスイレンと遊……各種実験をしようと決意した。
さらに部屋の中を見回していると、鍵のかかった戸棚を発見した。ニコライさんに聞くと、様々な薬品が入っていると言う。
「……」
「ダメですよ! いくらカレン嬢でも、危ないのでお渡し出来ません!」
ジーっとニコライさんを見つめると、すぐにそう言われてしまった。珍しく我を通し、薬品を見せることもダメだと言うではないか。
ニコライさんが言うには、薬品も危ないが私の行動も予測が出来ず危険だと言う。どういう意味かは理解が出来ないが、とてつもなく失礼極まりない話だ。
そんなニコライさんは「さぁ次に行きますよ!」と、私たちを追い立てるようにし、そのまま隣の部屋に移動させられた。
部屋の中にはニコライさんの部下なのだろうか? 白衣を着た人たちが何人かいて、忙しそうに実験をしているようだった。
「ここでは何をしているんだ?」
私とスイレン以外のヒーズル王国民は、実験や研究などに興味がないようで少し飽きてきているようだが、ペーターさんはそうでもないらしくニコライさんに質問をしている。
「はい、ここでは電気や電池について研究をしています」
丁寧にペーターさんに返答しているが、ペーターさんは電気などについては良く分からないようだ。というかニコライさんの視線が痛い。
「こちらで電気の光を分離できないかと研究しています。光があれば、暗闇での作業や生活に様々な利点があります。色々な方法を試していますが、薬品の種類が増えていくばかりです」
ニコライさんはまばたきもせず、今まで見たことがないほどの目力で私を凝視している。初めて会った時に、雷は電気だとうっかり言ったことをしっかりと覚えているらしい。
「……」
誰も言葉を発さず、無言で目をそらしてもニコライさんの圧を感じてしまう。間が持ちそうにないので渋々口を開いた。
「……光らせるためには別のものが必要で、一定にその電気を流せるようにしないと……」
かなり小声で言ったのだが、今の今まで研究をしていた白衣の人たちが群がって来た。
「二……ニコライさん! 後でゆっくりお話しましょう! 次に行きましょう次に!」
焦ってそう叫べば、ニコライさんは研究熱心な白衣の人たちに席に戻るように言い、私には「カレン嬢、絶対ですからね?」と告げた。
腐るわけでもない知識ならば、ヒントや知っていることを教えても良いのかもしれない、と思わせるほど、今日のニコライさんは凄みがあった。
さぁ部屋から出よう、という時に、ニコライさんは部屋の中の手洗い場へ向かい、手を洗い始めた。
「あ、今日は洗う必要がないのに! 癖でして……すみません」
そう言ってテヘへとニコライさんは笑うが、今度は私がまばたきもせず目を見開いて、ニコライさんの手元を凝視する。
近くにあった粉状のものを手に取り、水を含ませ手を擦ると泡立ち始めたのだ。これは石鹸ではないだろうか?
「ニコライさん? それは何かしら?」
「これはですね、私たちが『ソープン』と名付けたものでして……危険な薬品を使って完成させた、リーンウン国で言うアワノキやサイガーチのような、肌などを洗ったりするものです。あれらは、あまりたくさんは輸入できないものですからね。実験の前後に手を清めるために使っています」
間違いない、これは石鹸だ。
「買うわ。面倒だったらわざわざ粉にしなくても、固形のままでも良いから買うわ」
そう言うと、白衣の人たちは「なぜ元の姿を知っている!?」や「何者なんだ!?」とざわつき始めてしまった。
ニコライさんは「皆さん落ち着いて下さい、私の将来のお嫁さんです」と言った瞬間、真顔のお父様・タデ・オヒシバに取り囲まれている。助けるつもりは毛頭ない。
「じょじょじょ……冗談ですよぅ……」
泣きそうな声を出しているニコライさんだが、しどろもどろになりながらも必死に話題を変えようとしている。
「……そうだ! この近くにも私の自宅があるんです。皆さんそちらで休憩をしましょう!」
その提案を聞いたお父様は、見事に興味を示したようである。
「ほう……ニコライの家か。面白そうだ。行くぞ!」
かなりウキウキとし、お母様の手を取って外へ向かって行ってしまった。しかし迷子癖がある為、お母様に「モクレン、ニコライさんを置いて行かないの」と、たしなめられている。
そんな二人を見てニコライさんは「ふふふ」と楽しそうに笑っていたが、まだお怒りだったタデお父さんに「姫をお前の嫁になどやらん!」と凄まれ、また泣きそうになっていたのだった。
そして敷地内の端にある、ニコライさんの研究所も少しだけ見学させてもらった。
ビーカーやフラスコ等、実験に使うような道具がたくさんあり、つい「欲しい!」と騒ぐと、後で一式贈ってくれると言うではないか。さすがはセレブ、太っ腹である。これを使ってスイレンと遊……各種実験をしようと決意した。
さらに部屋の中を見回していると、鍵のかかった戸棚を発見した。ニコライさんに聞くと、様々な薬品が入っていると言う。
「……」
「ダメですよ! いくらカレン嬢でも、危ないのでお渡し出来ません!」
ジーっとニコライさんを見つめると、すぐにそう言われてしまった。珍しく我を通し、薬品を見せることもダメだと言うではないか。
ニコライさんが言うには、薬品も危ないが私の行動も予測が出来ず危険だと言う。どういう意味かは理解が出来ないが、とてつもなく失礼極まりない話だ。
そんなニコライさんは「さぁ次に行きますよ!」と、私たちを追い立てるようにし、そのまま隣の部屋に移動させられた。
部屋の中にはニコライさんの部下なのだろうか? 白衣を着た人たちが何人かいて、忙しそうに実験をしているようだった。
「ここでは何をしているんだ?」
私とスイレン以外のヒーズル王国民は、実験や研究などに興味がないようで少し飽きてきているようだが、ペーターさんはそうでもないらしくニコライさんに質問をしている。
「はい、ここでは電気や電池について研究をしています」
丁寧にペーターさんに返答しているが、ペーターさんは電気などについては良く分からないようだ。というかニコライさんの視線が痛い。
「こちらで電気の光を分離できないかと研究しています。光があれば、暗闇での作業や生活に様々な利点があります。色々な方法を試していますが、薬品の種類が増えていくばかりです」
ニコライさんはまばたきもせず、今まで見たことがないほどの目力で私を凝視している。初めて会った時に、雷は電気だとうっかり言ったことをしっかりと覚えているらしい。
「……」
誰も言葉を発さず、無言で目をそらしてもニコライさんの圧を感じてしまう。間が持ちそうにないので渋々口を開いた。
「……光らせるためには別のものが必要で、一定にその電気を流せるようにしないと……」
かなり小声で言ったのだが、今の今まで研究をしていた白衣の人たちが群がって来た。
「二……ニコライさん! 後でゆっくりお話しましょう! 次に行きましょう次に!」
焦ってそう叫べば、ニコライさんは研究熱心な白衣の人たちに席に戻るように言い、私には「カレン嬢、絶対ですからね?」と告げた。
腐るわけでもない知識ならば、ヒントや知っていることを教えても良いのかもしれない、と思わせるほど、今日のニコライさんは凄みがあった。
さぁ部屋から出よう、という時に、ニコライさんは部屋の中の手洗い場へ向かい、手を洗い始めた。
「あ、今日は洗う必要がないのに! 癖でして……すみません」
そう言ってテヘへとニコライさんは笑うが、今度は私がまばたきもせず目を見開いて、ニコライさんの手元を凝視する。
近くにあった粉状のものを手に取り、水を含ませ手を擦ると泡立ち始めたのだ。これは石鹸ではないだろうか?
「ニコライさん? それは何かしら?」
「これはですね、私たちが『ソープン』と名付けたものでして……危険な薬品を使って完成させた、リーンウン国で言うアワノキやサイガーチのような、肌などを洗ったりするものです。あれらは、あまりたくさんは輸入できないものですからね。実験の前後に手を清めるために使っています」
間違いない、これは石鹸だ。
「買うわ。面倒だったらわざわざ粉にしなくても、固形のままでも良いから買うわ」
そう言うと、白衣の人たちは「なぜ元の姿を知っている!?」や「何者なんだ!?」とざわつき始めてしまった。
ニコライさんは「皆さん落ち着いて下さい、私の将来のお嫁さんです」と言った瞬間、真顔のお父様・タデ・オヒシバに取り囲まれている。助けるつもりは毛頭ない。
「じょじょじょ……冗談ですよぅ……」
泣きそうな声を出しているニコライさんだが、しどろもどろになりながらも必死に話題を変えようとしている。
「……そうだ! この近くにも私の自宅があるんです。皆さんそちらで休憩をしましょう!」
その提案を聞いたお父様は、見事に興味を示したようである。
「ほう……ニコライの家か。面白そうだ。行くぞ!」
かなりウキウキとし、お母様の手を取って外へ向かって行ってしまった。しかし迷子癖がある為、お母様に「モクレン、ニコライさんを置いて行かないの」と、たしなめられている。
そんな二人を見てニコライさんは「ふふふ」と楽しそうに笑っていたが、まだお怒りだったタデお父さんに「姫をお前の嫁になどやらん!」と凄まれ、また泣きそうになっていたのだった。
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