俺氏(人間)とメメたん(宇宙人)のハッピー? ライフ☆

Levi

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メメたん、しごく

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「はぁっ……はぁっ……メメたん……! もうダメ……」

「ご主人サマ、まだデスよ」

 薄暗い中、メメたんのツインテールがムチのようにしなり、俺氏の尻や背中に当たる度に『パァーン!』と痛々しい音が鳴る。

「くぁっ……!」

「ふふ……本当にご主人サマはイイ声で鳴きマスね……」

 メメたんの顔を見ると、煽るように小悪魔風に笑っている。というか小悪魔というより女王様だ。
 絶対的な女王様にもっと喜んでもらいたいが、俺氏の体力の限界だ。

「もう……もう許してくださ「許しまセン!」」

 俺氏のセリフにかぶせて言い放ったメメたんは、渾身のビンタをプレゼントしてくれた。

「……もう……イ……逝《イ》く……!」

 そう言って倒れた俺氏を心配するでもなく、女王様は舌打ちをした。

「なんデスか! マダ十分も経ってないデスよ!」

「体力の……はぁはぁ……限界です……」

「お仕置きデス」

 そう言ったメメたんは、地面に倒れ込んだ俺氏の背中に座るというご褒美をくれた。

 実はメメたんは最近テレビドラマや本に夢中になり、『健全な心は健全な身体から』と何かから得たセリフを言って俺氏に運動をさせようとしている。
 俺氏がポチャヒキニートを気にしているのも、脳から直接調べてバレているので尚更だ。

「ご主人サマが走り込みをヤル気になったので、メメは心を鬼にシテ応援シテいるのデス」

 もちろん俺氏は全力で拒否をした。ただでさえ日中に外には出たくないのに、ポチャヒキニートが走っていたら目立つ。
 そんな言い訳をしているうちに、メメたんの愛のムチ攻めが始まり、根負けした俺氏は『人のいない時間なら……』と言ってしまい、ここ数日早朝に走っている。

「もう……少し……休ませて……」

 息も絶え絶えに言ったのに、メメたんは「ホラ、夜が明けマスよ!」と、ツインテールで軽々と俺氏の両腕を持ち上げ無理やり立たせた。
 ……違うものも立たせてもらいたい。

『パァーン!』
「ぶひぃ!! なんで今叩いたの!?」

「なんとなく、ヨコシマな顔をシテいまシタ」

 ……メメたん、侮れない。半ベソでそんなことを思っていると、足元の草むらがガサガサと音をたてる。

「ニャー」

 可愛らしい鳴き声とは対象的な、俺氏と付き合いは長いのに態度が冷たいメザシ……もといチョビが現れた。

「まぁチョビ! どうしまシタ?」

 メメたんはチョビに会うと、恋する女の子のような声を出す。もちろん今日もだ。
 俺氏のことなんかお構いなしにチョビに駆け寄る直前、持ち上げていた両腕のツインテールを解いたものだから、俺氏は地面に無様に崩れ落ちた。なのに振り向いてもくれない……。

「ニャー」

「はぁはぁ……なんだよ?」

 当たり前のようにメメたんに抱かれたチョビは、地面に這いつくばる俺氏を高みから見下ろしている。
 何を考えているか分からない冷たい目は、まばたきもせずに俺氏を見ている。ヘビに睨まれたカエルというより、文字通り猫に睨まれた俺氏だ。

「チョビは喜んでイルのデスよ。『ようやく人間らしい生活をする気になったか』と言っていマス」

 は? 喜んでいる? だけどチョビは軽く尻尾を動かしながら、目を細めてメメたんの胸に顔を擦り付けている。
 ……そりゃメメたんのオパーイに顔を埋められたら、男なら誰でも喜ぶわ!

「ニャン!」

「まぁ! メメとしたことが! チョビに言われるマデ気付きませんでシタ!」

 そう言ってチョビにチュッチュチュッチュしている。くそぅ! 羨ましい!!

「ご主人サマ! 成長シテいますヨ!」

 弾ける笑顔であまりにも嬉しそうに言うものだから、驚いた俺氏はおとなしくメメたんの通訳を聞いた。
 
 どうやらチョビはこの時間帯にこの辺をパトロールするのが日課らしく、毎日俺氏のことを遠目で見ていたらしい。
 そして毎日俺氏が崩れ落ちる場所をチェックして、しっかりと覚えていたらしい。

「チョビに言わレテ気付きましタガ、昨日より進んでいマスよ! ……十センチも!」

「……え?」

「メメもメモリーを確認シタところ、コノ一週間で七十五センチも走れるヨウになっていマス!」

「ゼーゼー……歩幅一歩分でしょそれ!?」

 珍しく大声を上げるとチョビに威嚇され、静かに地面に這いつくばるカエルに戻った。メメたんとチョビは会話をしていて、俺氏は完全に蚊帳の外だ。

「犬……デスか?」

「ニャー」

 どうやらメメたんは猫から犬の話を聞いているらしいが、会話にも入れてもらえない俺氏は今のうちに呼吸を整え体力回復に全力を注いだ。

 メメたんとの会話が終わったのか、抱かれていたチョビは音もなく地面に降り立ち、「クァッ」と小さなあくびをして歩き出す。どうやらパトロールの再開をするようだ。

 重力に逆らって空に向かって立つ尻尾をゆらゆらと揺らしながら俺氏の顔の前を歩いて行くが、目も合わせないくせに俺氏の顔面にわざとだろってくらい尻尾を擦り付けて歩いて行った。
 汗でベチャベチャの顔面にはチョビの抜け毛がたっぷりとまとわりついて不愉快だが、なんだか褒められて撫でられた気がして、少しだけ嬉しい気持ちになったのは墓場まで持っていこう。
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