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宴会前の女子会
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立ち上がり階段へ向かうために歩き出すと、私のかかとがカパカパします。そうだった……ヒールが折れたんだった……。
そう思いながら自分の足元を見ると、萌さんの尻尾がシュッと出てきました。
「百合ちゃんコレ履きなよ~。それじゃあ歩きにくいでしょう~?」
私の足元に出してくれたのは優しい色合いの、ラベンダー色のスリッパです。ちょっと変わったこの形のスリッパですが、以前ネットで見た物に似ています……。
まさか、と思いつつも恐る恐る履いてみると、足裏から感じる少しひんやりとした生地で、滑らかで足が包まれる感じがします。
「ももも……萌さん……このスリッパって……あの一時期話題になった……」
「あ~気付いてくれたのぉ? 嬉しい~! そうそう~たった数万円のスリッパよ~。記念にあげるわよ~」
「ひぃっ!」
口から変な音が出てしまいました。だって、日本の最高級スリッパですよ? 数万円ですよ? それを簡単にあげるってアナタ……。
「百合子、いいから早くしろ。萌の部屋に行くぞ」
ユキさんに威圧的にそう言われ、脱いだパンプスをカバンにしまい、何も考えないように歩き出しました。
歩き出すと同時に、スネ子ちゃんが私のすねにスリスリスリスリ……。玄関ホールに出てもスリスリスリスリ……。
そして玄関の向かい側にある、立派でオシャンティーな階段へ一歩足を踏み出してもスリスリスリスリ……。さすがに歩きにくい……。
「……スネ子ちゃん、さすがに階段は危ないよ? 踏んじゃうかもしれないし、転んだら二人とも怪我しちゃう……」
そう言うと、スネ子ちゃんは「二ー」と鳴き、私の隣を歩き始めました。分かってくれたんですね。ただ目線は私のすねですが。
階段を上り二階へ着くと、そこもまたモダンでした。お高いホテルのように、廊下には高級そうな絨毯が敷かれています。
階段を真ん中にして、左右にはお部屋の扉が並んでいます。本当にホテルみたいです!
「ねぇねぇ百合ちゃ~ん。ちょっとだけユキの部屋を見てみてよ~。ウケるからぁ~」
なぜかケラケラと笑う萌さんです。
「寝室とは快眠の場所だ」
そう言い切るユキさんですが、確かにそれは間違いないです。
二階に上がって右側の通路の、階段に一番近いお部屋がユキさんのお部屋らしいです。
「開けてみろ」
ユキさんは腕組をして自信満々に言い放ちます。とても気になるので、お言葉に甘えてそーっとドアを開けてみました。
まぁですね、妖怪と出会って話をしている時点で、もはや通常の世界からはかけ離れているんです。
それ以上に、ユキさんのお部屋はぶっ飛んでました……。
扉をそーっと開けて正解でした。なぜならユキさんのお部屋の中は、まさかの暴風雪が吹き荒れておりました。
そして扉の向こうは『部屋』ではなく、どこまでも広がる雪原です。一面雪です。その中にポツンとかまくらがありました。
「寒っ! ……ってかまくら!?」
驚きとあまりの寒さにドアを閉めました。
「人間で言うところのベッドだ」
ふふん、と自信満々な感じのユキさんです。私は言葉を失ってしまいました……。
「ほら~ユキ~。やっぱり引いてるわよ~。私たちだって引くんだもん~。当然よね~」
ね~と、萌さんは笑いかけて来ます。
「なんだと!?」
それに対して少しムッとするユキさんです。
「あの……あの……引くというか……驚きました……。部屋の中が雪だらけって……多分もう一生見ることがないと思います……」
「そうか!」
言葉を選んで思いを伝えたのですが、ユキさんはなぜか満足気です。少しだけ分かったことは、ユキさんは見た目とは違いちょっと天然さんなんだな、ってことです。
「百合子には負けるぞ」
あぁ……また心を読まれてしまいました……。
「さ、百合ちゃんこっちよ~」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、萌さんは私の手を取り、ユキさんの隣のお部屋へと案内してくれました。
相変わらずスネ子ちゃんはスリスリしてきます。
『萌の部屋』
扉にはそう書かれたプレートが付けられていました。
ユキさんのあのお部屋を見た後だから、萌さんのお部屋はどんなのなんだろうと考えます。ん~……狐の妖怪だし……鳥居とかあったらどうしよう……。
「ちょっと~百合ちゃ~ん、さすがに~部屋に鳥居はないわよ~」
萌さんはツボに入ったらしく、おなかを抱えて笑っています。笑いながらも「どうぞ~」と、扉を開けてくれました。
一歩お部屋に入ると、ふわりとお香らしき香りが漂います。壁や天井には装飾用の布がかかり、棚やキャビネット、仕切りの屏風等は、細かい彫り物で作られた中国風の家具で統一されているようです。
部屋のあちらこちらに置かれている間接照明は、お雛様のぼんぼりのような丸型のデザインです。
部屋全体の色合いは、黒、赤、茶色。見事なアジアンテイスト溢れるお部屋です。あ、ぼんぼりだけは和風かな?
そして、お部屋の奥にあるベッドは数人でも寝れそうな程に大きくて、女子の憧れである天蓋まで付いています!
薄いベージュの透けている布がエキゾチックで、ベッドの周りはアラビアンな照明がたくさん天井から下がっていました。ベッドゾーンはアラビアン風のようです。
「……しゃれおつ……」
お洒落難易度が高すぎて、こんな一言しか出ませんでした。
「きゃ~! ありがとう~!」
萌さんは両手をほっぺたに当てて、左右に体をよじって喜んでいます。本当に可愛いなぁ萌さん。
そう思いながら自分の足元を見ると、萌さんの尻尾がシュッと出てきました。
「百合ちゃんコレ履きなよ~。それじゃあ歩きにくいでしょう~?」
私の足元に出してくれたのは優しい色合いの、ラベンダー色のスリッパです。ちょっと変わったこの形のスリッパですが、以前ネットで見た物に似ています……。
まさか、と思いつつも恐る恐る履いてみると、足裏から感じる少しひんやりとした生地で、滑らかで足が包まれる感じがします。
「ももも……萌さん……このスリッパって……あの一時期話題になった……」
「あ~気付いてくれたのぉ? 嬉しい~! そうそう~たった数万円のスリッパよ~。記念にあげるわよ~」
「ひぃっ!」
口から変な音が出てしまいました。だって、日本の最高級スリッパですよ? 数万円ですよ? それを簡単にあげるってアナタ……。
「百合子、いいから早くしろ。萌の部屋に行くぞ」
ユキさんに威圧的にそう言われ、脱いだパンプスをカバンにしまい、何も考えないように歩き出しました。
歩き出すと同時に、スネ子ちゃんが私のすねにスリスリスリスリ……。玄関ホールに出てもスリスリスリスリ……。
そして玄関の向かい側にある、立派でオシャンティーな階段へ一歩足を踏み出してもスリスリスリスリ……。さすがに歩きにくい……。
「……スネ子ちゃん、さすがに階段は危ないよ? 踏んじゃうかもしれないし、転んだら二人とも怪我しちゃう……」
そう言うと、スネ子ちゃんは「二ー」と鳴き、私の隣を歩き始めました。分かってくれたんですね。ただ目線は私のすねですが。
階段を上り二階へ着くと、そこもまたモダンでした。お高いホテルのように、廊下には高級そうな絨毯が敷かれています。
階段を真ん中にして、左右にはお部屋の扉が並んでいます。本当にホテルみたいです!
「ねぇねぇ百合ちゃ~ん。ちょっとだけユキの部屋を見てみてよ~。ウケるからぁ~」
なぜかケラケラと笑う萌さんです。
「寝室とは快眠の場所だ」
そう言い切るユキさんですが、確かにそれは間違いないです。
二階に上がって右側の通路の、階段に一番近いお部屋がユキさんのお部屋らしいです。
「開けてみろ」
ユキさんは腕組をして自信満々に言い放ちます。とても気になるので、お言葉に甘えてそーっとドアを開けてみました。
まぁですね、妖怪と出会って話をしている時点で、もはや通常の世界からはかけ離れているんです。
それ以上に、ユキさんのお部屋はぶっ飛んでました……。
扉をそーっと開けて正解でした。なぜならユキさんのお部屋の中は、まさかの暴風雪が吹き荒れておりました。
そして扉の向こうは『部屋』ではなく、どこまでも広がる雪原です。一面雪です。その中にポツンとかまくらがありました。
「寒っ! ……ってかまくら!?」
驚きとあまりの寒さにドアを閉めました。
「人間で言うところのベッドだ」
ふふん、と自信満々な感じのユキさんです。私は言葉を失ってしまいました……。
「ほら~ユキ~。やっぱり引いてるわよ~。私たちだって引くんだもん~。当然よね~」
ね~と、萌さんは笑いかけて来ます。
「なんだと!?」
それに対して少しムッとするユキさんです。
「あの……あの……引くというか……驚きました……。部屋の中が雪だらけって……多分もう一生見ることがないと思います……」
「そうか!」
言葉を選んで思いを伝えたのですが、ユキさんはなぜか満足気です。少しだけ分かったことは、ユキさんは見た目とは違いちょっと天然さんなんだな、ってことです。
「百合子には負けるぞ」
あぁ……また心を読まれてしまいました……。
「さ、百合ちゃんこっちよ~」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、萌さんは私の手を取り、ユキさんの隣のお部屋へと案内してくれました。
相変わらずスネ子ちゃんはスリスリしてきます。
『萌の部屋』
扉にはそう書かれたプレートが付けられていました。
ユキさんのあのお部屋を見た後だから、萌さんのお部屋はどんなのなんだろうと考えます。ん~……狐の妖怪だし……鳥居とかあったらどうしよう……。
「ちょっと~百合ちゃ~ん、さすがに~部屋に鳥居はないわよ~」
萌さんはツボに入ったらしく、おなかを抱えて笑っています。笑いながらも「どうぞ~」と、扉を開けてくれました。
一歩お部屋に入ると、ふわりとお香らしき香りが漂います。壁や天井には装飾用の布がかかり、棚やキャビネット、仕切りの屏風等は、細かい彫り物で作られた中国風の家具で統一されているようです。
部屋のあちらこちらに置かれている間接照明は、お雛様のぼんぼりのような丸型のデザインです。
部屋全体の色合いは、黒、赤、茶色。見事なアジアンテイスト溢れるお部屋です。あ、ぼんぼりだけは和風かな?
そして、お部屋の奥にあるベッドは数人でも寝れそうな程に大きくて、女子の憧れである天蓋まで付いています!
薄いベージュの透けている布がエキゾチックで、ベッドの周りはアラビアンな照明がたくさん天井から下がっていました。ベッドゾーンはアラビアン風のようです。
「……しゃれおつ……」
お洒落難易度が高すぎて、こんな一言しか出ませんでした。
「きゃ~! ありがとう~!」
萌さんは両手をほっぺたに当てて、左右に体をよじって喜んでいます。本当に可愛いなぁ萌さん。
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