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宴会前の女子会
④
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私の言葉に美女お二人が盛大に吹き出します。
「百合子! くっ……お前の発想は本当に面白いな!」
「ミ……ミイラを……超越って……どんな表現……!」
ユキさんには震えながら突っ込まれ、萌さんは息も出来ないほど笑っている姿を見ると、私は幸せを感じてしまいました。
だって、普通の人が普通の当たり前な人生を送っていたら、こんなこと、おしゃべりをして笑い合うなんてことは、当たり前なことなんですから。
アラサーな私がこんな楽しい思いをしたのは、ハッキリ言って高校生以来です。
「だから~百合ちゃんは~リハビリよ~」
自分でも気付かないうちにうっかりと嬉し涙をこぼすと、ポン! っと、目の前に福の神さんが現れました。
萌さんの言葉も嬉しくて、さらに涙が流れると、福の神さんは一所懸命に私の涙を拭おうとしてくれています。
「福の神さん……ありがとうございます……」
なんて感慨にふけっていると……。
「おい、福の神。今は女子会だ。邪魔するな」
……ユキさん、福の神さんに容赦ありません。福の神さんはユキさんが怖いのか、ユキさんを見ることもなくガタガタと震えながら、スーっと消えてしまいました。
「ちょっとユキ~、あの震え~絶対トラウマになってるわよ~」
萌さんは苦笑いでそう言います。私も同じ事を思っていたので、同じく苦笑いになってしまいました。。
そうこうしていると、萌さんの部屋の扉が開き、なんとわらしちゃんが入って来ました。
「わらしも! わらしも遊ぶ!」
そう言いながらパタパタと小走りでこっちに来て、私の横にちょこんと座りました。そして私の顔を見上げてニッコリ。
本当~に可愛い! 座敷わらしって天使なんですか?
「そういえば、わらしちゃんはお名前ないのかな?」
かわいさにキュンキュンしながら私が聞けば、わらしちゃんは答えてくれます。
「わらしはわらしだよ?」
と、不思議そうな顔で答えてくれました。
「そう言われると~そうなのよね~。会った時から~『わたし』なのか『わらし』なのかビミョーな発音だったし~。だからあたしたちも~深く考えずに『わらし』って呼んじゃって~それが定着したのよね~」
「私たちはあまり細かいことにこだわらないからな」
あごに人差し指を当てて小首を傾げる萌さんと、ウンウン頷くユキさんはそうおっしゃいました。
「うーん……せっかくお友だちになれたから、わらしちゃんって呼ぶのはなんか抵抗あるなぁ……」
なんて呟くと、わらしちゃんはお目目をキラッキラさせて、とんでもないことを言い出しました。
「じゃあ、わらしにお名前ちょうだい!」
「え? えぇぇぇぇ!?」
「わらしにお名前付ーけーて!」
わらしちゃんは前のめりになりながら、両手をグーにしてブンブン振ってます。
「百合子。どうやらわらしは本気のようだ」
ユキさんは苦笑いでわらしちゃんを見つめています。でもその目は母親のようなお姉さんのような、とても優しい感じがします。
「……わらしちゃんは戸籍ないんですよね……? じゃあ名字はなしで、下の名前か愛称でも……いいのかな?」
萌さんとユキさんにわらしちゃんの戸籍を聞くと、戸籍はないとおっしゃいました。
「うん! 早くお名前ちょうだい!」
うーん……うーん……どうしよう……責任重大すぎるけど、こんな経験もう一生出来ないだろうし……。
あぁ……そんな純粋無垢な、濁り一つないキラッキラのお目目で見つめられると困ってしまいます……。
座敷童子……ざしきわらし……ザーシーキーワーラーシー……。わらし……ワァーラァーシィー……。
「はっ!! ……しぃちゃん……しぃちゃんって……どうかな……?」
「……しぃちゃん? しぃってお名前? ……うん! しぃとっても嬉しい!」
わらしちゃん、もといしぃちゃんは、立ち上がってぴょんぴょんとジャンプをしています。さらに萌さんのお部屋の中を駆け回って喜んでいるようです。
「良かったわね~わらし……じゃなくてしぃ~」
「こんなにはしゃいでいるわらし……しぃは見た事がないな」
わぁ……! お二人とも私の付けた名前を呼んでいます! なんでしょう? 心の中がこそばゆいです。
「えへへ……しぃちゃん、よろしくね」
「百合ちゃんありがとー!」
しぃちゃんは本当に嬉しそうに、笑顔でギューっと私に抱きついて来ました。
「そういえばしぃちゃん? さっき初めて会った時、壁の上に立ってたよね? いくら妖怪でも危ないと思うんだけど……」
そうです。しぃちゃんは最初、あの最先端技術の動く壁に立っていました。
「あ~あれ、ぬりかべよ~。この土地をぬりかべ集団が囲ってて~、さらにあたしが幻術かけてて~、普通の一般人は~入るのも躊躇するような~おどろおどろしい森にしか見えないようにしてるのよ~」
「ぬりかべ集団!?」
ツッコミ所満載でしたが、私はぬりかべの集団という部分に食いついてしまいました。
「ある程度戦えるしな。警備担当だ」
警備担当って……ぬりかべがセ〇ムの代わりですか! もはや一周回って最先端技術じゃないですか!
その後も私たちは人間離れした女子トークで盛り上がっていると、赤さんと青さんのお呼び出しがかかりました。どうやらご飯が出来たようで、みんなで下の階へと向かいました。
「百合子! くっ……お前の発想は本当に面白いな!」
「ミ……ミイラを……超越って……どんな表現……!」
ユキさんには震えながら突っ込まれ、萌さんは息も出来ないほど笑っている姿を見ると、私は幸せを感じてしまいました。
だって、普通の人が普通の当たり前な人生を送っていたら、こんなこと、おしゃべりをして笑い合うなんてことは、当たり前なことなんですから。
アラサーな私がこんな楽しい思いをしたのは、ハッキリ言って高校生以来です。
「だから~百合ちゃんは~リハビリよ~」
自分でも気付かないうちにうっかりと嬉し涙をこぼすと、ポン! っと、目の前に福の神さんが現れました。
萌さんの言葉も嬉しくて、さらに涙が流れると、福の神さんは一所懸命に私の涙を拭おうとしてくれています。
「福の神さん……ありがとうございます……」
なんて感慨にふけっていると……。
「おい、福の神。今は女子会だ。邪魔するな」
……ユキさん、福の神さんに容赦ありません。福の神さんはユキさんが怖いのか、ユキさんを見ることもなくガタガタと震えながら、スーっと消えてしまいました。
「ちょっとユキ~、あの震え~絶対トラウマになってるわよ~」
萌さんは苦笑いでそう言います。私も同じ事を思っていたので、同じく苦笑いになってしまいました。。
そうこうしていると、萌さんの部屋の扉が開き、なんとわらしちゃんが入って来ました。
「わらしも! わらしも遊ぶ!」
そう言いながらパタパタと小走りでこっちに来て、私の横にちょこんと座りました。そして私の顔を見上げてニッコリ。
本当~に可愛い! 座敷わらしって天使なんですか?
「そういえば、わらしちゃんはお名前ないのかな?」
かわいさにキュンキュンしながら私が聞けば、わらしちゃんは答えてくれます。
「わらしはわらしだよ?」
と、不思議そうな顔で答えてくれました。
「そう言われると~そうなのよね~。会った時から~『わたし』なのか『わらし』なのかビミョーな発音だったし~。だからあたしたちも~深く考えずに『わらし』って呼んじゃって~それが定着したのよね~」
「私たちはあまり細かいことにこだわらないからな」
あごに人差し指を当てて小首を傾げる萌さんと、ウンウン頷くユキさんはそうおっしゃいました。
「うーん……せっかくお友だちになれたから、わらしちゃんって呼ぶのはなんか抵抗あるなぁ……」
なんて呟くと、わらしちゃんはお目目をキラッキラさせて、とんでもないことを言い出しました。
「じゃあ、わらしにお名前ちょうだい!」
「え? えぇぇぇぇ!?」
「わらしにお名前付ーけーて!」
わらしちゃんは前のめりになりながら、両手をグーにしてブンブン振ってます。
「百合子。どうやらわらしは本気のようだ」
ユキさんは苦笑いでわらしちゃんを見つめています。でもその目は母親のようなお姉さんのような、とても優しい感じがします。
「……わらしちゃんは戸籍ないんですよね……? じゃあ名字はなしで、下の名前か愛称でも……いいのかな?」
萌さんとユキさんにわらしちゃんの戸籍を聞くと、戸籍はないとおっしゃいました。
「うん! 早くお名前ちょうだい!」
うーん……うーん……どうしよう……責任重大すぎるけど、こんな経験もう一生出来ないだろうし……。
あぁ……そんな純粋無垢な、濁り一つないキラッキラのお目目で見つめられると困ってしまいます……。
座敷童子……ざしきわらし……ザーシーキーワーラーシー……。わらし……ワァーラァーシィー……。
「はっ!! ……しぃちゃん……しぃちゃんって……どうかな……?」
「……しぃちゃん? しぃってお名前? ……うん! しぃとっても嬉しい!」
わらしちゃん、もといしぃちゃんは、立ち上がってぴょんぴょんとジャンプをしています。さらに萌さんのお部屋の中を駆け回って喜んでいるようです。
「良かったわね~わらし……じゃなくてしぃ~」
「こんなにはしゃいでいるわらし……しぃは見た事がないな」
わぁ……! お二人とも私の付けた名前を呼んでいます! なんでしょう? 心の中がこそばゆいです。
「えへへ……しぃちゃん、よろしくね」
「百合ちゃんありがとー!」
しぃちゃんは本当に嬉しそうに、笑顔でギューっと私に抱きついて来ました。
「そういえばしぃちゃん? さっき初めて会った時、壁の上に立ってたよね? いくら妖怪でも危ないと思うんだけど……」
そうです。しぃちゃんは最初、あの最先端技術の動く壁に立っていました。
「あ~あれ、ぬりかべよ~。この土地をぬりかべ集団が囲ってて~、さらにあたしが幻術かけてて~、普通の一般人は~入るのも躊躇するような~おどろおどろしい森にしか見えないようにしてるのよ~」
「ぬりかべ集団!?」
ツッコミ所満載でしたが、私はぬりかべの集団という部分に食いついてしまいました。
「ある程度戦えるしな。警備担当だ」
警備担当って……ぬりかべがセ〇ムの代わりですか! もはや一周回って最先端技術じゃないですか!
その後も私たちは人間離れした女子トークで盛り上がっていると、赤さんと青さんのお呼び出しがかかりました。どうやらご飯が出来たようで、みんなで下の階へと向かいました。
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