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潜入!民にスクープを!
密着潜入24時
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「始まりは1年前、アリスを初めてこの応急に参内させたあの日だ!』
◇ ケイン視点 ◇
『ケニー様、私なんかがこんな場所に入ってもいいんですかぁ?』
おずおずとした様子で王宮の庭に彼女を招待したその日、とても初々しく儚い彼女は俺の庇護欲をかきたてた。
『問題ない、次期国王の私が許可するのだからな』
そう声をかけると彼女の不安げな顔が途端に朱に染まる。
『……! ビビビッときてしまいました! さすがケニー様です』
そうだ次期国王たるこの私はこういう尊敬の声で飾られていないとな。
『はっはっは、そうだろうそうだろう、もう少しすればお前もここで暮らすことになるのだ、いまから慣れておくと良いぞ』
そんな良い気分でいられたのはこの時までだった。
『貴様何の用だ、そして衛兵たちよ、なぜ貴様らは私たちを囲んでいるのか、王家への謀反か?」
俺と彼女がこの国の、この王宮の兵に囲まれ槍の先を向けれらている、なんなのだこの状況は!
『殿下、立ち入り許可を受けていない立場の来客は事前に申請が必要です、彼女はどなたでしょう? 申請されている身分と容姿の一覧に合わない様相ですので検査が必要です、身分証を掲示の上一度衛兵詰所までご同行願います』
何を言っているのだこの女、私の婚約者という立場を利用し図書室に入り浸る性悪女め。
『私たち一同もこのようなことはしたくはありません、ですが王国法は何よりも尊重されるもの、通報を受けてきてみれば確かに申請のない御仁をお連れの殿下のお姿がありました、ですのでせめて今からでも申請手続きをおこなって頂ければ、その申請に問題がない場合には特例で即時申請を通すことが可能です』
む……そうなのか、致し方あるまいな。
『仕方がないな……良いかアリス一度詰所に向かうぞ』
『むぅ、わかりましたぁ』
クソッ! 彼女に良くない印象を与えてしまったか。
◇ 婚約破棄されている令嬢視点 ◇
『だがあの時、素直に申請に向かったにもかかわらず結局つま弾きにされてしまった! 文句を言おうにもこれ以上異議を申し立てるのであれば牢に入れねばなりませんだ? それもこれもすべて貴様が仕組んだことなのだろう! 謝罪した上で自分の手で罪を償うがよい!』
静寂に包まれるサミット会場。
『お言葉ですが、今の回想話の中に私が謝罪し、罪に問われるような内容は一切見当たりませんでしたが、殿下はどのような理屈からこの私にそのような事をおっしゃるのでしょうか?』
うんうん、っと頷く周囲だがそれに気が付く殿下ではない。
『煩い! 貴様がアリスに嫉妬したから私の邪魔をしたと決まっているだろうが! 王妃の立場を惜しみこのようなことを……火あぶりにしてくれる!』
『先ほどは自分でとおっしゃっていましたのにもう変わっているのですね、そんなことは本当にどうでもよいのですが、このことは国王陛下はもちろんご存知という事でよろしいですね?』
『そんなもの必要はない! 次期国王たるこの私が言うのだからな』
再度静寂に包まれるサミット会場、すでに何人もの貴族がパーティホールを抜け出しています。
『国王の裁可をそんなもの……ですか、大丈夫ですか? その発言取り消すことは不可能ですわよ?」
『知ったことか、いざとなればこの場の全員を叩き殺せば済むことだ、そのうえで貴様を悪逆非道の極悪令嬢として裁判にかけ、なぶり殺しにしてくれる』
ほう。
『セント記者……この場にいるわよね? 今の発言、ちゃんと広域衛星放送できたのかしら?』
雑踏に紛れながらも確かに私にこたえるように聞こえる足音のスクラッチ音。 キュ、とタンで暗号をやり取りしてくれる、古くからの友人だ。
『-・-- ・ ・・・』(yes)
うん。
『OK、このままお願いね』
キュキュっという音で私に答えてくれる。
『・-・ --- --・ ・ ・-・』(ラジャ)
蒔くべき種は蒔き終えた、あとは民意に任せましょう。
◇ ケイン視点 ◇
『ケニー様、私なんかがこんな場所に入ってもいいんですかぁ?』
おずおずとした様子で王宮の庭に彼女を招待したその日、とても初々しく儚い彼女は俺の庇護欲をかきたてた。
『問題ない、次期国王の私が許可するのだからな』
そう声をかけると彼女の不安げな顔が途端に朱に染まる。
『……! ビビビッときてしまいました! さすがケニー様です』
そうだ次期国王たるこの私はこういう尊敬の声で飾られていないとな。
『はっはっは、そうだろうそうだろう、もう少しすればお前もここで暮らすことになるのだ、いまから慣れておくと良いぞ』
そんな良い気分でいられたのはこの時までだった。
『貴様何の用だ、そして衛兵たちよ、なぜ貴様らは私たちを囲んでいるのか、王家への謀反か?」
俺と彼女がこの国の、この王宮の兵に囲まれ槍の先を向けれらている、なんなのだこの状況は!
『殿下、立ち入り許可を受けていない立場の来客は事前に申請が必要です、彼女はどなたでしょう? 申請されている身分と容姿の一覧に合わない様相ですので検査が必要です、身分証を掲示の上一度衛兵詰所までご同行願います』
何を言っているのだこの女、私の婚約者という立場を利用し図書室に入り浸る性悪女め。
『私たち一同もこのようなことはしたくはありません、ですが王国法は何よりも尊重されるもの、通報を受けてきてみれば確かに申請のない御仁をお連れの殿下のお姿がありました、ですのでせめて今からでも申請手続きをおこなって頂ければ、その申請に問題がない場合には特例で即時申請を通すことが可能です』
む……そうなのか、致し方あるまいな。
『仕方がないな……良いかアリス一度詰所に向かうぞ』
『むぅ、わかりましたぁ』
クソッ! 彼女に良くない印象を与えてしまったか。
◇ 婚約破棄されている令嬢視点 ◇
『だがあの時、素直に申請に向かったにもかかわらず結局つま弾きにされてしまった! 文句を言おうにもこれ以上異議を申し立てるのであれば牢に入れねばなりませんだ? それもこれもすべて貴様が仕組んだことなのだろう! 謝罪した上で自分の手で罪を償うがよい!』
静寂に包まれるサミット会場。
『お言葉ですが、今の回想話の中に私が謝罪し、罪に問われるような内容は一切見当たりませんでしたが、殿下はどのような理屈からこの私にそのような事をおっしゃるのでしょうか?』
うんうん、っと頷く周囲だがそれに気が付く殿下ではない。
『煩い! 貴様がアリスに嫉妬したから私の邪魔をしたと決まっているだろうが! 王妃の立場を惜しみこのようなことを……火あぶりにしてくれる!』
『先ほどは自分でとおっしゃっていましたのにもう変わっているのですね、そんなことは本当にどうでもよいのですが、このことは国王陛下はもちろんご存知という事でよろしいですね?』
『そんなもの必要はない! 次期国王たるこの私が言うのだからな』
再度静寂に包まれるサミット会場、すでに何人もの貴族がパーティホールを抜け出しています。
『国王の裁可をそんなもの……ですか、大丈夫ですか? その発言取り消すことは不可能ですわよ?」
『知ったことか、いざとなればこの場の全員を叩き殺せば済むことだ、そのうえで貴様を悪逆非道の極悪令嬢として裁判にかけ、なぶり殺しにしてくれる』
ほう。
『セント記者……この場にいるわよね? 今の発言、ちゃんと広域衛星放送できたのかしら?』
雑踏に紛れながらも確かに私にこたえるように聞こえる足音のスクラッチ音。 キュ、とタンで暗号をやり取りしてくれる、古くからの友人だ。
『-・-- ・ ・・・』(yes)
うん。
『OK、このままお願いね』
キュキュっという音で私に答えてくれる。
『・-・ --- --・ ・ ・-・』(ラジャ)
蒔くべき種は蒔き終えた、あとは民意に任せましょう。
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