婚約破棄劇の全国放送!スクープは鮮度が大事なので当然生放送です~ハッシュタグは#殿下乱心~

かぼす

文字の大きさ
4 / 6
潜入!民にスクープを!

密着潜入24時

しおりを挟む
「始まりは1年前、アリスを初めてこの応急に参内させたあの日だ!』

 ◇ ケイン視点 ◇

『ケニー様、私なんかがこんな場所に入ってもいいんですかぁ?』

 おずおずとした様子で王宮の庭に彼女を招待したその日、とても初々しく儚い彼女は俺の庇護欲をかきたてた。

『問題ない、次期国王の私が許可するのだからな』

 そう声をかけると彼女の不安げな顔が途端に朱に染まる。

『……! ビビビッときてしまいました! さすがケニー様です』

 そうだ次期国王たるこの私はこういう尊敬の声で飾られていないとな。

『はっはっは、そうだろうそうだろう、もう少しすればお前もここで暮らすことになるのだ、いまから慣れておくと良いぞ』

 そんな良い気分でいられたのはこの時までだった。

『貴様何の用だ、そして衛兵たちよ、なぜ貴様らは私たちを囲んでいるのか、王家への謀反か?」

 俺と彼女がこの国の、この王宮の兵に囲まれ槍の先を向けれらている、なんなのだこの状況は!

『殿下、立ち入り許可を受けていない立場の来客は事前に申請が必要です、彼女はどなたでしょう? 申請されている身分と容姿の一覧に合わない様相ですので検査が必要です、身分証を掲示の上一度衛兵詰所までご同行願います』

 何を言っているのだこの女、私の婚約者という立場を利用し図書室に入り浸る性悪女め。

『私たち一同もこのようなことはしたくはありません、ですが王国法は何よりも尊重されるもの、通報を受けてきてみれば確かに申請のない御仁をお連れの殿下のお姿がありました、ですのでせめて今からでも申請手続きをおこなって頂ければ、その申請に問題がない場合には特例で即時申請を通すことが可能です』

 む……そうなのか、致し方あるまいな。

『仕方がないな……良いかアリス一度詰所に向かうぞ』
『むぅ、わかりましたぁ』

 クソッ! 彼女に良くない印象を与えてしまったか。

 ◇ 婚約破棄されている令嬢視点 ◇

『だがあの時、素直に申請に向かったにもかかわらず結局つま弾きにされてしまった! 文句を言おうにもこれ以上異議を申し立てるのであれば牢に入れねばなりませんだ? それもこれもすべて貴様が仕組んだことなのだろう! 謝罪した上で自分の手で罪を償うがよい!』

 静寂に包まれるサミット会場。

『お言葉ですが、今の回想話の中に私が謝罪し、罪に問われるような内容は一切見当たりませんでしたが、殿下はどのような理屈からこの私にそのような事をおっしゃるのでしょうか?』

 うんうん、っと頷く周囲だがそれに気が付く殿下ではない。

『煩い! 貴様がアリスに嫉妬したから私の邪魔をしたと決まっているだろうが! 王妃の立場を惜しみこのようなことを……火あぶりにしてくれる!』
『先ほどは自分でとおっしゃっていましたのにもう変わっているのですね、そんなことは本当にどうでもよいのですが、このことは国王陛下はもちろんご存知という事でよろしいですね?』
『そんなもの必要はない! 次期国王たるこの私が言うのだからな』

 再度静寂に包まれるサミット会場、すでに何人もの貴族がパーティホールを抜け出しています。

『国王の裁可をそんなもの……ですか、大丈夫ですか? その発言取り消すことは不可能ですわよ?」
『知ったことか、いざとなればこの場の全員を叩き殺せば済むことだ、そのうえで貴様を悪逆非道の極悪令嬢として裁判にかけ、なぶり殺しにしてくれる』

 ほう。

『セント記者……この場にいるわよね? 今の発言、ちゃんと広域衛星放送できたのかしら?』

 雑踏に紛れながらも確かに私にこたえるように聞こえる足音のスクラッチ音。 キュ、とタンで暗号をやり取りしてくれる、古くからの友人だ。

『-・-- ・ ・・・』(yes)

 うん。

『OK、このままお願いね』

 キュキュっという音で私に答えてくれる。

『・-・ --- --・ ・ ・-・』(ラジャ)

 蒔くべき種は蒔き終えた、あとは民意に任せましょう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。

梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。 16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。 卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。 破り捨てられた婚約証書。 破られたことで切れてしまった絆。 それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。 痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。 フェンリエッタの行方は… 王道ざまぁ予定です

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

【完結】やり直そうですって?もちろん……お断りします!

凛 伊緒
恋愛
ラージエルス王国の第二王子、ゼルディア・フォン・ラージエルス。 彼は貴族達が多く集まる舞踏会にて、言い放った。 「エリス・ヘーレイシア。貴様との婚約を破棄する!」 「……え…?」 突然の婚約破棄宣言。 公爵令嬢エリス・ヘーレイシアは驚いたが、少し笑みを浮かべかける──

【完結】幽霊令嬢は追放先で聖地を創り、隣国の皇太子に愛される〜私を捨てた祖国はもう手遅れです〜

遠野エン
恋愛
セレスティア伯爵家の長女フィーナは、生まれつき強大すぎる魔力を制御できず、常に体から生命力ごと魔力が漏れ出すという原因不明の症状に苦しんでいた。そのせいで慢性的な体調不良に陥り『幽霊令嬢』『出来損ない』と蔑まれ、父、母、そして聖女と謳われる妹イリス、さらには専属侍女からも虐げられる日々を送っていた。 晩餐会で婚約者であるエリオット王国・王太子アッシュから「欠陥品」と罵られ、公衆の面前で婚約を破棄される。アッシュは新たな婚約者に妹イリスを選び、フィーナを魔力の枯渇した不毛の大地『グランフェルド』へ追放することを宣言する。しかし、死地へ送られるフィーナは絶望しなかった。むしろ長年の苦しみから解放されたように晴れやかな気持ちで追放を受け入れる。 グランフェルドへ向かう道中、あれほど彼女を苦しめていた体調不良が嘘のように快復していくことに気づく。追放先で出会った青年ロイエルと共に土地を蘇らせようと奮闘する一方で、王国では異変が次々と起き始め………。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。 婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。 王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。

虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~

***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」 妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。 「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」 元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。 両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません! あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。 他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては! 「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか? あなたにはもう関係のない話ですが? 妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!! ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね? 私、いろいろ調べさせていただいたんですよ? あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか? ・・・××しますよ?

処理中です...