1 / 4
1章:再会が喜ばしいこととは限らない
1話 幼馴染の性格が変わっていないとは限らない
しおりを挟む
かつて、その功績により世界中の人々から賞賛され讃えられ世界に貢献した人物がいた。
発明家である彼が放ったその一言は遺言であり名言であり格言であった。
その言葉に価値があるのかは定かではない。しかし、それを言った人物が偉大ならばそうなのであろう。
ならばこの物語の重要人物、俺の物語の主人公であるこの俺、つまり自分自身が世界に向けて自分の意思を伝えたらどうなるか?
考えなくても結果は目に見える。大炎上だ。所詮人間なんてそんなもの。身勝手で人間にレッテルを貼りその範囲内でなくては許されない。
だから大人しく黙って、周りに合わせ、自らを否定する。
ならば、俺に発言権はないのだろうか?
否である。俺にとっては何万人から恨みを買いようが、嫌われようがどうでもいいことなのだ。
つまり、誰かの脳内を常に取り巻く夢や幻想を叩き折り現実を直視させるのも俺の勝手、自由、そこにリミッターはない。
それを踏まえて、ここに名言を残そう。
『ラブコメとは、1パーセントの妄想と
99パーセントの偶然である』
と・・・。
◇
春の風は、若者たちの喜怒哀楽な声を織り交ぜ、まるで流水のように空気を流れていく。教室のたった一つ空いた窓に流れ込み、一人の青年の前髪を揺らした。
教室内にはチョークで黒板を叩く音のみが聞こえ、時折教団の前に立つ者、つまりは先生の声が廊下にまでも響いた。
生徒は勤勉にノートを取っている。忙しく筆箱からペンを取り出したと思えば消しゴムを取り出しそれを消す。まるでロボットのようだ。最も彼もその一人なのだが…
一部の生徒は授業中だというのにクスリと笑い、先生の隙を合間見ればここでの楽しみを模索するかのように小声で会話をしている。
今、この瞬間を楽しんでいることを彼らとは関係のない部外者に見せつけているようだ。まさに矛盾、その枠のなかだけでやってほしい。
そう、彼らの前では授業すらも青春の一環として捉えられてしまうのだ。誰かと共有せずにはいられず喋り通しそれで叱られたとしても青春の一ページにも過ぎないのだ。
そんな風景を青年は退屈そうに見つめると親父の仇のような目線をそこに向け、気づかれないうちに眼孔を平行移動させ目を背ける。
そして小馬鹿にするように、
「フッ・・・」
鼻で笑った。
「おい、沙柳!起きろ。もう学校閉めるぞ!」
先ほどまであんなにも騒がしかった教室はまるで水を打ったように静まり返っていた。それを突き破ったのは一つの怒号とも言える声。ぼやがかかる瞳でその姿を確認する。案の定そこにいたのはクラスの担任、加藤理沙先生である。
肩まである髪は短めなのか長めなのか、茶色い瞳は夕暮れの紅色をわずかに反射し色付いている。
「一体お前はいつまで寝ているんだ?部活はないのか?」
体感的には30分も寝ていない気がする。俺は体を起き上がらせ目をこする。そして・・・、
「子供は寝ることが仕事なんですよ。しかもこれはシエスタといってこうすることで学力向上を促せ・・・」
口が止まる。何かを感じた。見上げてみる。
ひどく、睨まれた。眼孔鋭い先生の顔はこれ以上喋ると殺すと言っている。
「つまり君は何が言いたい?」
そう言っているがこれはあれだ、口答えしたら殺される奴だ。しかし俺だって腐っていたとしても意地はある。
「いや、その、だったら授業中常日頃からしゃべっている彼らはどうなんですか・・・?」
そう言いながら彼らがいつも座る席を指差す。まあ、どうせ帰ってくる答えはつまらないものだと思うが。
「私だって注意はしているんだ。しかしまったく馬に念仏、何度でもしでかしてみせる」
だろうな。しかし、高校生なんてそんなものだろう。そうじゃなくても一度決意した意思を何日も忘れず継続し続けるのは難しいことだ。もっとも、彼らはそれすらも拒んでいるんだろうけど。
「まあそれも大人になったらできんことだ。君も青春を楽しめ!」
青春を楽しむ?
「何はともあれ、もう学校を閉める。それまでに出ていくように!」
そう言い残すと先生は颯爽とその場を去っていった。夕陽は顔半分を赤く染め上げている。
「青春を楽しむ、か・・・」
重い腰をあげる。寝起きだからだろうか、いつもより腰が重い。胴を拗らせ体をほぐす。首を回すとコリッと音がなった。
藍色の鞄を肩に掛け鞄からイヤホンと携帯を取り出す。最近はブルートゥースイヤホンというものがあるらしいが興味はない。好きな曲を選び流す。耳の中ではリズミカルな曲が流れている。
この少々猫背の歩き方は多分治るものではないだろう。先ほど先生が勢いよく閉めたドアを開け教室を後にする。廊下には誰もいない。みんな帰ったのだろうか。
時々千鳥足になりながら誰もいない廊下を歩いていく。足がふらつくのも多分寝起きだからだ。だとしてもやはり今の俺には新鮮な空気が必要だ。息苦しい。
近くにあった窓を開け風を感じる。気分がだんだんとよくなっていく。髪が靡き体の気だるさがなくなっていく。
こんな時、俺は遠くを見るのが好きだ。この現実から逃避できるというものもあるが一番の理由は、まあなんていうか暇だからだ。
しかしこうしてじっくりみてみるといろんな人間を観察できたりして面白い。おっと、今あそこで中学生が転んだな。
もっとも・・・、
今、男子高校生と女子高校生が角でゴッツンコした。
「チッ」
みたくないものも見えてしまうから、ペナルティーはあるんだがな。もうマジでそういう青春くさいことは他所でやってくれ。
別に青春の王道的行為が元から嫌いだったわけではない。むしろ昔の俺はそんなものを期待していた。しかし現実は残酷。青春を追うどころか精神的に追い詰められた。
実際はいつだって偶然なんてなくて、それでいて皆行動を起こそうともしない。そうなるとラブコメなんかは0%の立証率だ。そこにはもうラブコメのラの字もないのだ。ラどころか羅だ。もうカオスだ。
だから俺は、今後一切ラブコメ的イベントが起きぬことを願い今日も廊下を一人で歩いていく。隣にはヒロインも昔からの親友もワルだけど気が合う友達もツンデレ美少女もいない。
そう思っていた。
ふと、何か甘いような、そんな匂いが鼻を掠る。
一瞬だ。香水か?いや違う。懐かしい、この匂いは・・・。
昔の甘酸っぱい思い出が蘇る。
あれはまだ小さい時、"僕たち"はよく一緒に遊んでいた。時に海で、時に僕の家で。いつも彼女は足元まである長いワンピースをなびかせながらあの甘い匂いに身を包み僕の元へ走ってきた。
僕は最初はただの友達、そんな認識だった。けど次第に好きになっていっていた。年をおうごとにその感情が何なのか理解し始めていたのだ。
『ねえ、鈴音ちゃん。これからも・・・』
『うん!ずっと一緒!』
そう無邪気な笑顔で言った彼女は、その2日後僕の前から姿を消した。
無意識に足は動いていた。止まろうとしない。止まることすらできない。全神経は俺の意思を無視し廊下を駆け抜ける。今、俺は俺のポリシーに反逆しようとしている。
疲れを置いていき只々走る。階段を降り校門を抜ける。汗は額に浮かぶ。それすらもどうでも良い。ただ彼女に会いたい。
桜が舞う。風が吹き世界が揺れる。
そこには、昔と同じように笑いながら桜を見つめる、彼女がいた。
「鈴・・・音?」
こちらに気づいたのか長い髪を後ろに回し振り向く。
長い足で一歩ずつこちらに歩いてくる。
こんなラブコメ的な展開ないと思っていたけど・・・。
彼女は僕の目の前に立つ。
懐かしい。変わっていない。期待を胸に膨らませた。いつぶりだろうか、こんな感情は。
今すぐにでも確かめたい。昔のように手を取り合い草原を駆け抜けたい。
そして俺は、無意識のうちに口にしていて…
「やっぱり、鈴音ちゃ・・・」
「あんた、誰?」
その情なき言葉に遮断された。
風が吹き桜が散る。螺旋を描きながら。
文字通り頭の中に稲妻が走る。足がふらつき後ろによろける。
そう、いつだってラブコメは
俺を裏切るんだ。
発明家である彼が放ったその一言は遺言であり名言であり格言であった。
その言葉に価値があるのかは定かではない。しかし、それを言った人物が偉大ならばそうなのであろう。
ならばこの物語の重要人物、俺の物語の主人公であるこの俺、つまり自分自身が世界に向けて自分の意思を伝えたらどうなるか?
考えなくても結果は目に見える。大炎上だ。所詮人間なんてそんなもの。身勝手で人間にレッテルを貼りその範囲内でなくては許されない。
だから大人しく黙って、周りに合わせ、自らを否定する。
ならば、俺に発言権はないのだろうか?
否である。俺にとっては何万人から恨みを買いようが、嫌われようがどうでもいいことなのだ。
つまり、誰かの脳内を常に取り巻く夢や幻想を叩き折り現実を直視させるのも俺の勝手、自由、そこにリミッターはない。
それを踏まえて、ここに名言を残そう。
『ラブコメとは、1パーセントの妄想と
99パーセントの偶然である』
と・・・。
◇
春の風は、若者たちの喜怒哀楽な声を織り交ぜ、まるで流水のように空気を流れていく。教室のたった一つ空いた窓に流れ込み、一人の青年の前髪を揺らした。
教室内にはチョークで黒板を叩く音のみが聞こえ、時折教団の前に立つ者、つまりは先生の声が廊下にまでも響いた。
生徒は勤勉にノートを取っている。忙しく筆箱からペンを取り出したと思えば消しゴムを取り出しそれを消す。まるでロボットのようだ。最も彼もその一人なのだが…
一部の生徒は授業中だというのにクスリと笑い、先生の隙を合間見ればここでの楽しみを模索するかのように小声で会話をしている。
今、この瞬間を楽しんでいることを彼らとは関係のない部外者に見せつけているようだ。まさに矛盾、その枠のなかだけでやってほしい。
そう、彼らの前では授業すらも青春の一環として捉えられてしまうのだ。誰かと共有せずにはいられず喋り通しそれで叱られたとしても青春の一ページにも過ぎないのだ。
そんな風景を青年は退屈そうに見つめると親父の仇のような目線をそこに向け、気づかれないうちに眼孔を平行移動させ目を背ける。
そして小馬鹿にするように、
「フッ・・・」
鼻で笑った。
「おい、沙柳!起きろ。もう学校閉めるぞ!」
先ほどまであんなにも騒がしかった教室はまるで水を打ったように静まり返っていた。それを突き破ったのは一つの怒号とも言える声。ぼやがかかる瞳でその姿を確認する。案の定そこにいたのはクラスの担任、加藤理沙先生である。
肩まである髪は短めなのか長めなのか、茶色い瞳は夕暮れの紅色をわずかに反射し色付いている。
「一体お前はいつまで寝ているんだ?部活はないのか?」
体感的には30分も寝ていない気がする。俺は体を起き上がらせ目をこする。そして・・・、
「子供は寝ることが仕事なんですよ。しかもこれはシエスタといってこうすることで学力向上を促せ・・・」
口が止まる。何かを感じた。見上げてみる。
ひどく、睨まれた。眼孔鋭い先生の顔はこれ以上喋ると殺すと言っている。
「つまり君は何が言いたい?」
そう言っているがこれはあれだ、口答えしたら殺される奴だ。しかし俺だって腐っていたとしても意地はある。
「いや、その、だったら授業中常日頃からしゃべっている彼らはどうなんですか・・・?」
そう言いながら彼らがいつも座る席を指差す。まあ、どうせ帰ってくる答えはつまらないものだと思うが。
「私だって注意はしているんだ。しかしまったく馬に念仏、何度でもしでかしてみせる」
だろうな。しかし、高校生なんてそんなものだろう。そうじゃなくても一度決意した意思を何日も忘れず継続し続けるのは難しいことだ。もっとも、彼らはそれすらも拒んでいるんだろうけど。
「まあそれも大人になったらできんことだ。君も青春を楽しめ!」
青春を楽しむ?
「何はともあれ、もう学校を閉める。それまでに出ていくように!」
そう言い残すと先生は颯爽とその場を去っていった。夕陽は顔半分を赤く染め上げている。
「青春を楽しむ、か・・・」
重い腰をあげる。寝起きだからだろうか、いつもより腰が重い。胴を拗らせ体をほぐす。首を回すとコリッと音がなった。
藍色の鞄を肩に掛け鞄からイヤホンと携帯を取り出す。最近はブルートゥースイヤホンというものがあるらしいが興味はない。好きな曲を選び流す。耳の中ではリズミカルな曲が流れている。
この少々猫背の歩き方は多分治るものではないだろう。先ほど先生が勢いよく閉めたドアを開け教室を後にする。廊下には誰もいない。みんな帰ったのだろうか。
時々千鳥足になりながら誰もいない廊下を歩いていく。足がふらつくのも多分寝起きだからだ。だとしてもやはり今の俺には新鮮な空気が必要だ。息苦しい。
近くにあった窓を開け風を感じる。気分がだんだんとよくなっていく。髪が靡き体の気だるさがなくなっていく。
こんな時、俺は遠くを見るのが好きだ。この現実から逃避できるというものもあるが一番の理由は、まあなんていうか暇だからだ。
しかしこうしてじっくりみてみるといろんな人間を観察できたりして面白い。おっと、今あそこで中学生が転んだな。
もっとも・・・、
今、男子高校生と女子高校生が角でゴッツンコした。
「チッ」
みたくないものも見えてしまうから、ペナルティーはあるんだがな。もうマジでそういう青春くさいことは他所でやってくれ。
別に青春の王道的行為が元から嫌いだったわけではない。むしろ昔の俺はそんなものを期待していた。しかし現実は残酷。青春を追うどころか精神的に追い詰められた。
実際はいつだって偶然なんてなくて、それでいて皆行動を起こそうともしない。そうなるとラブコメなんかは0%の立証率だ。そこにはもうラブコメのラの字もないのだ。ラどころか羅だ。もうカオスだ。
だから俺は、今後一切ラブコメ的イベントが起きぬことを願い今日も廊下を一人で歩いていく。隣にはヒロインも昔からの親友もワルだけど気が合う友達もツンデレ美少女もいない。
そう思っていた。
ふと、何か甘いような、そんな匂いが鼻を掠る。
一瞬だ。香水か?いや違う。懐かしい、この匂いは・・・。
昔の甘酸っぱい思い出が蘇る。
あれはまだ小さい時、"僕たち"はよく一緒に遊んでいた。時に海で、時に僕の家で。いつも彼女は足元まである長いワンピースをなびかせながらあの甘い匂いに身を包み僕の元へ走ってきた。
僕は最初はただの友達、そんな認識だった。けど次第に好きになっていっていた。年をおうごとにその感情が何なのか理解し始めていたのだ。
『ねえ、鈴音ちゃん。これからも・・・』
『うん!ずっと一緒!』
そう無邪気な笑顔で言った彼女は、その2日後僕の前から姿を消した。
無意識に足は動いていた。止まろうとしない。止まることすらできない。全神経は俺の意思を無視し廊下を駆け抜ける。今、俺は俺のポリシーに反逆しようとしている。
疲れを置いていき只々走る。階段を降り校門を抜ける。汗は額に浮かぶ。それすらもどうでも良い。ただ彼女に会いたい。
桜が舞う。風が吹き世界が揺れる。
そこには、昔と同じように笑いながら桜を見つめる、彼女がいた。
「鈴・・・音?」
こちらに気づいたのか長い髪を後ろに回し振り向く。
長い足で一歩ずつこちらに歩いてくる。
こんなラブコメ的な展開ないと思っていたけど・・・。
彼女は僕の目の前に立つ。
懐かしい。変わっていない。期待を胸に膨らませた。いつぶりだろうか、こんな感情は。
今すぐにでも確かめたい。昔のように手を取り合い草原を駆け抜けたい。
そして俺は、無意識のうちに口にしていて…
「やっぱり、鈴音ちゃ・・・」
「あんた、誰?」
その情なき言葉に遮断された。
風が吹き桜が散る。螺旋を描きながら。
文字通り頭の中に稲妻が走る。足がふらつき後ろによろける。
そう、いつだってラブコメは
俺を裏切るんだ。
0
あなたにおすすめの小説
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる