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救急センターのイケメン
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救急センターでの何度目かの夜、細身でスラッとした男性看護師が現れた。
「よっ!」
「体の向きかえる?」
私は、小さくうなずいた。口もきけない、ジェスチャーもしていないのに、私のしてもらいたいことが、わかってもらえたのが嬉しかった。
消灯後の薄暗い病室でもわかるくらいその人は、整った顔立ちで優しげに微笑んだ。
27才くらいだろうか、動きのあるナチュラルなショートヘアで、前髪は少し長めだ。
手際良く体の向きを変えると、
「また呼んで。」
と、去っていった。
ナースコールをすると、またさっきの看護師が現れた。
「よっ。痰とる?」
私はうなずいた。また何も言わずに分かってもらえた。細い管のようなもので、口の中から
唾液を吸引してもらった。
その夜は、その看護師に手際よくおむつも変えてもらった。
ドキドキしたりする余裕は私にはなかった。
その人は美しい立ち姿で、手際よくサッとおむつを変えて、こちらを見て一瞬微笑む。
その揺れる前髪を、ぼんやりと見ていた。
その人は、患者としてではなく、女性として扱ってくれているような錯覚すら覚えた。
体の向きを変える時も、体のどこも痛くならないように優しく動かしてくれた。
ある夜、私は不安にかられた。
このまま生きていられるのか、回復するのか不安になったのだ。
その夜の看護師さんも男性だった。
「もし、嫌で無かったら私の手を握ってくれませんか?不安なんです。」
私は紙にそう書いた、
「僕で良かったら。今はおつらいでしょうが、きっと回復していきますよ。」
真面目そうな看護師さんだった。
次の日も私を励ましてくれた。
その人の名前もわからない。
病院は病気を治す所なのだろうけど、心を支えてくれたその人を、心イケメンと呼んでいる。
どれくらい救急センターにいたのか私は、ICUに移る事になる。
「よっ!」
「体の向きかえる?」
私は、小さくうなずいた。口もきけない、ジェスチャーもしていないのに、私のしてもらいたいことが、わかってもらえたのが嬉しかった。
消灯後の薄暗い病室でもわかるくらいその人は、整った顔立ちで優しげに微笑んだ。
27才くらいだろうか、動きのあるナチュラルなショートヘアで、前髪は少し長めだ。
手際良く体の向きを変えると、
「また呼んで。」
と、去っていった。
ナースコールをすると、またさっきの看護師が現れた。
「よっ。痰とる?」
私はうなずいた。また何も言わずに分かってもらえた。細い管のようなもので、口の中から
唾液を吸引してもらった。
その夜は、その看護師に手際よくおむつも変えてもらった。
ドキドキしたりする余裕は私にはなかった。
その人は美しい立ち姿で、手際よくサッとおむつを変えて、こちらを見て一瞬微笑む。
その揺れる前髪を、ぼんやりと見ていた。
その人は、患者としてではなく、女性として扱ってくれているような錯覚すら覚えた。
体の向きを変える時も、体のどこも痛くならないように優しく動かしてくれた。
ある夜、私は不安にかられた。
このまま生きていられるのか、回復するのか不安になったのだ。
その夜の看護師さんも男性だった。
「もし、嫌で無かったら私の手を握ってくれませんか?不安なんです。」
私は紙にそう書いた、
「僕で良かったら。今はおつらいでしょうが、きっと回復していきますよ。」
真面目そうな看護師さんだった。
次の日も私を励ましてくれた。
その人の名前もわからない。
病院は病気を治す所なのだろうけど、心を支えてくれたその人を、心イケメンと呼んでいる。
どれくらい救急センターにいたのか私は、ICUに移る事になる。
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