私だけ視えない 病院の怪談

中川四角

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6日目

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 その日は、後島さんが退院する日でした。後島さんは、ひとり暮らしで誰もお迎えに来ることもありませんでしたが、主治医の先生から痛みが出た際の対処方法をしっかりと聞くことができて、満足そうでした。

後島さんは石が出てしまえば健康体なので、もうお会いすることもなさそうです。会計を済ませてしまうと、タクシーを呼んであっさりと退院です。

病院は朝9時くらいから、お掃除の人が回ってきたり、タオルのレンタルの人が来たり、オムツの人は、オムツ取り替えが来たりと忙しくなります。看護師さんもバイタルを測りに来ます。

そんな中で、後島さんはちょっと名残り惜しそうに、それと、冷蔵庫に残してきたシャインマスカットを気にかけながら、去っていかれました。

柳沢さんも後島さんも居なくなって、雪原さんと2人になりました。雪原さんは足の感覚か無くなってきていると言い出し、私は湯たんぽをもらって温めてみてはどうかと提案しました。

 私はと言えば、まだ診断が付かずに焦りが出てきていました。無表情で神経質そうな、殆ど話さない中年のおじさんの主治医は、目を合わせるのを避けているかのようでした。看護助手さんに聞いたのですが、主治医は誰とも目を合わそうとしないそうです。

「医者ってさあ、変わり者が多いから気にしない方がいいよ。誰にでもあんな態度だから。」


その日は、なぜか2回目のバイタルを測りに違うチームの看護師さんが来ました。

「ごめんね。違うチーム何だけど、人出不足で来ちゃった。5人くらい休んでて。」

初めに、雪原さんの方に看護師さんが行った。

「5人は多くない?」

「そうね。こういう事あんまりないんだけど。」

一 そう言えば、昨日すごく顔色が悪い看護師さんが居た。どうしたんだろう?

その日の夜8時頃、私は何時ものようにデイルームに雑誌を読みに行きました。でも、なんだか落ちつかなくて直ぐに病室に帰りました。

「愛佳、昨日も聞こうと思ってたんだけど、廊下の先で、バキバキバキッと壁を剥がしてるようなすごい音がしてるけど、工事してるの?」

「えっ?何言ってんの。こんな時間に工事なんてするわけないよね。今もしてる?」

「今はしてない。愛佳が戻ったら音しなくなった。後島さんと昨日もすごい音がするって言ってて、愛佳はいつもこの時間デイルーム行くから聞いてみようって言ってたんだ。」

「昨日も??何もないよ。念の為、違う廊下も見てくるね、」

私は病棟の廊下を一周しました。工事をしているような後もありません。

「雪原さん、どこも工事してないし、誰も廊下に居ないから安心して。」

雪原さんは、何か言いたそうな顔をしていましたが、その話題は終わりにしてまた楽しい話に戻りました。

病室は2人だけで、少し気楽な気もしました。

「明日は違う人が来そうだね。」

雪原さんは、少し気だるそうにながい髪の毛をとかしながら、呟きました。


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