龍青学園GCSA -ぷち-

第2章の6・私たちに任せて…の ぷち話し

担いでいるタンスに冬物衣料を詰め込まれ、ピンチに陥った甲。

　「先に弁当を食っておけば…」

珍しく弱音を吐いた甲に、救いの手が差し伸べられた。

　「谷角！」

甲の口元に何かが飛んで来た。

　「ぬぅ？！」

それが食い物である事を見抜いた甲は、口でキャッチ！

　〝こ、これは…〟

それは、口の中でとける、塩味の効いたキャラメルであった。

　「これなら弁当まで…もつ！」

スピードを上げる甲。


　「うぬぬ…こうなったら！」

今迄陰から卑怯な手で妨害してきたマッスルは、遂に直接攻撃に出た。

　「くそう、この…谷角ー！」
　「むぅ？」

甲は、走行進路上に出てきたマッスルを見た瞬間、こいつが全ての元凶だと悟った。

　〝潰す…〟

そう瞬時に思考した熊…いや、甲だったが、そんな事をしていては一着でのゴールは難しくなる。
その時！マッスルの背後からぬぅっと出て来たゴツい手が、マッスルの肩をつかんだ！

　「だ、誰だ？！」
　「私だ！」

それは…白い仮面の化け物であった。ゴーグルの奥の目が光を放つ。

　「いやあぁぁぁぁー！」

その恐さに叫ぶマッスル。

　「白仮面？！」
　「行け、谷角。」

さっきと同じキャラメルを脇の下から出した白仮面は、黙って横に差し出した。
白仮面の横を通り過ぎる際、何も言わずキャラメルを受け取り、そのまま走り去る甲。
かなりカッコ良いシーンである。

　「…さて、組手の時間だな。」

マッスル、恐怖の時間確定。


そしてゴール目指して走る甲は…

　〝キャラメル………どこから、出し………〟

若干、何かがこみ上がって来ていた。