龍青学園GCSA -ぷち-

楓和

文字の大きさ
15 / 49

第4章の3・あまりに可笑しくて…の ぷち話し

しおりを挟む
夜の龍青学園。
教室内に布団で寝ている咲子を発見した竜沢と鏡。

 「えーっと…」
 「どうします?」

対応に困る二人。さすがに放置は出来ない。

 「そ、そうだ!」

竜沢は懐からスマホを取り出した。

 「……あ、もしもし。竜沢と申しますが…あ、グレイスさん?」

咲子の家に電話を掛け、引き取りに来てもらう算段だ。

 「えっとですね、咲子さんが、えー……いや、そうじゃないんです。あー…あの、学園の教室にですね…ね、寝て…いやいや、その…布団で…あー、何と言いますか…」

さらわれたという部分を誤魔化しつつ必死に現状を説明しようとする竜沢。

 《なるほど、つまり夜の龍青学園の教室で咲子様が布団に入ってお一人で寝ているので迎えに来てほしい…という事ですね?》
 「………はい。」

どんだけ優秀やねん…と思う竜沢。と同時に…どんだけ理解力高いねん…と思う竜沢。そんで疑問持たんのかい…と思う竜沢。

 「まぁでも助かった。あとはグレイスさんの到着を待つだけだ。」
 「何か凄いですね、咲子さんの家は。竜沢くんが咲子さんを……いえ、これは出しゃばり過ぎですね。」
 「鏡、多分お前には分かってるだろうと思うけど…俺は咲ちゃんに、そんな感情を持って無いよ。」
 「…はい。でも咲子さんは…」
 「うん。まぁでも…あれだけハッキリ感情を出してるのに、一度も付き合ってくれとか、そういう事を言ってこないんだよ、咲ちゃんは。」
 「そう…でしょうね。」
 「だから、な。だから…言えねーんだよ。どうすりゃあいいのかな…。」


数分後、グレイス達が学園に到着。咲子を回収して行った。
その際出張ったのは、通常の車の二倍くらい長い黒の高級車と、その周囲を囲む重厚な車二台、更に先導する二台のバイク。合計十二名の使用人(バイクの二名は使用人というよりかなりガタイの良いガードマン)であった。

 「まぁ、もしその時が来たら………うまく逃げて下さい。」
 「い、いやいや、た、た、助けてっ。」

鏡に泣きつく竜沢。


車内で眠っている咲子を、優しい眼差しで見ているグレイス。
優秀で理解力の高い執事(バトラー)であるグレイスは、咲子の想いも竜沢の気持ちも、実は既に理解している。

〝ご安心下さい竜沢様、もし咲子様をおフリになったとしても、誰も竜沢様を責めたりしませんよ。…私以外は〟

ちょっと恐い、グレイスの心の声であった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...