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第3章の3「そんなに凄いのか?!」
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鏡と音根がバトルした次の日。グレート・ジュニア・ハイスクール、音楽室。
「オー!」
音根が右頬に傷テープを貼っているので、驚くブリオ。
「ミスター音根ともあろう者が、か、顔にパンチを入れられるとは!オーマイガッ!エクセレンッ!私とてもシャックリしました!」
「ビックリ。」
「オー!そうですソレでーす!ハッハァ!」
ブリオは、相変わらずフォーターにツッコまれて笑っていた。
「でも、昨夜のリズムで感覚をつかんだからね♪次は…倒せるよ♪」
「…俺もだ。コウ・タニズミ…次は必ず倒す。」
「オー、ミーはモンスターのタカマサ・ハリネズミを倒しまーすネ!」
「ヤマアラシ。」
「オー!そうでしたネ!ハッハァ!あーおかしい!おかしいネ!フーッ!」
おかしいのはお前だ。
「それぞれのターゲットは決まったね♪ちょっと…強引に行くかな♪」
不敵に笑む音根。お前ら授業受けろよ。
龍青学園二年雪組教室。
「と言う訳で、こうなります。」
「ほぉ~。」
話しはほぼ聞いておらず、パンツルックの華澄野の尻ばかりに気を取られている男子生徒達。
「う~む。」
竜沢もその一人であった。
「そこっ!何うなってるのっ。」
華澄野に指を差される竜沢。だが…
「う~む。」
竜沢はまだうなっていた。
「ど、どうしたの竜沢くん?どこか痛いの?」
さすがに心配になって近付いて来る華澄野。
「う~む。」
「竜沢くん?」
「先生、気になる事があるんですが…。」
「な、何?」
「恋人はいるんですか?」
次の瞬間、竜沢は教科書で軽く頭をはたかれ教室の後ろに立たされた。
「せんせー、足だるいです。」
「おとなしく立ってなさい!」
今時珍しく立たされている竜沢。立っていてもうるさい男であった。
「お?」
立たされたが為に教室の窓から運動場が見え、竜沢は校門の所にある三つの人影に気付いた。
「あれは…」
竜沢の視力は両目とも視力計で測りきれないくらい良い。
「あいっ?!」
「竜沢くん、静かになさーい!」
また怒られる竜沢。だがそんな事は気にも止めず、甲の方を見た。
「…ん?」
「甲、奴らが来てるぞ。」
甲が竜沢の視線に気付き振り返ったので、竜沢はほとんど声にならない位の小声でそう言った。甲はその口の動きで理解し、背筋が寒くなった。
「カツラがズレタ…だと?」
…理解していなかった。その後すぐ授業終了時刻。二人は急いで運動場の方へ走った。
「あれ?七月さん、竜沢くん達は?」
雪組に、ファンクラブの女生徒達を連れた鏡が来た。
「それが妙な雰囲気だったから声掛けようとしたんだけど、二人で慌てて出てったんだよねー。…私達も追ってみる?」
「そう、ですね…。」
鏡は何か嫌な予感がした。
龍青学園校門付近。
「本当なんだな?」
「ああ、間違いなく音根だった!あいつら一体どういうつもりなんだ?」
竜沢達が校門に到着した時にはもう誰もいなかった。周囲を見回す竜沢と甲。その時、校舎の方から女子生徒の悲鳴が!
「くっ、北校舎の方か?!」
「…ふん。」
入れ違いになった事に気付いた竜沢達は、急いで北校舎に向かった。
北校舎、一年の教室前廊下に音根達は居た。
「さっさと教えないからこうなりマース!」
一年の男子生徒が二人、顔を押さえ、腹を押さえ、廊下に倒れていた。
「ブリオの言う通りだよ。さぁ、川波達が何処にいるのか言いなよ♪」
「う、し、知らない!」
そう答えた男子生徒は音根に顔面を殴られ、廊下に倒れた。
「オー!お嬢さん達、あなた達知ってマースか?」
怯える女子生徒に顔を近づけるブリオ。キモい。
「あなたはどうデースか?」
続けて近くの男子生徒に聞く。やはりキモい。
「し、知ってても教えるかよ!」
恐がりながらそう言う男子生徒に、音根が近付いた。
「いい根性だね♪でも…賢くないよ、君。」
音根が男子生徒に手を振り上げた瞬間、その間に咲子が割って入った!
「…!」
「きゃうっ!」
咲子は音根の平手を受けて倒れた。
「………何なんだ、君?他人をかばうなんて…どういう思考?」
息を漏らし、一瞬眉をひそめた後冷たく見下ろす音根。
「こ、これは何の騒ぎかね?!」
青葉園長と吉馬が騒ぎを聞き駆け付けた。そこへ竜沢と甲も来た。
「ぬぅ。」
「…さ、咲ちゃん?」
二人はその光景を目のあたりにした。そこへ隆正が駆け付けた。
「コウ・タニズミ。」
「オー!現れましたネ!ハリネズミ!」
「それ俺の事かぃ?!」
咄嗟の事にも素早くツッコむ隆正。さすがである。
「竜沢かぁ。僕が用のあるのは川波鏡なんだけどな♪川波鏡はどこかな?君達に…聞こうか♪」
音根達は竜沢達の方を向き、ゆっくりと歩き出す。
「…そ、それ、だけの、た、ため、に………く、くくっ」
「竜沢?」
竜沢がうつむき、突然肩を震わせて…笑い出した。その事に驚く甲。続いて鏡と流香、七月が駆け付ける。
「何?!何がどうなってるの!」
「さ、咲ちゃん?!」
倒れている咲子に気付き、駆け寄ろうとする流香と七月。
「だ、ダメです竜沢くん!…谷角くん、竜沢くんの動きを止めて下さい!」
何と鏡はいきなり竜沢を抑えろと言った。その場の誰もが訳が分からなかったが、甲だけは違った。とりあえず竜沢に思い切りボディブローをくらわす甲。
「ぐっ!……くっくく、邪魔するな甲。」
「な、何?!」
しかし竜沢は倒れるどころか目をギラつかせた。これには甲も大きく驚く。
「くっ…仕方ない。行きます。」
鏡から笑顔が消えた。そして物凄い速さで生徒らの間をすり抜け、竜沢の横を抜け、音根達に一人で突っ込む!
「ご、ごふっ…!」
「ホ、ホワッ…?」
「馬、鹿な…ゆ、昨夜とリズムが…ち、違いすぎ、る…」
すれ違いざま鏡は、一人一人のボディに一発ずつストレートを入れていた。そして音根達はその場に崩れ落ちた。
「な、何や?何が起こったんや?」
「…谷角くん、隆正くん、三人を保健室に運びますから手を貸して下さい。流香さん達は、咲子さん達一年生を見てあげて下さい。」
そう言った鏡の顔はいつもの笑顔とは少し違っていたが、先ほど見せた顔よりは普段に近くなっていた。そして鏡は青葉園長と吉馬の方を向き、一礼した。
「すいません。彼らを運んだ後、園長室の方へ行かせて頂きますので。」
「う、うむ。分かった。」
ザワつく生徒達。理由はどうあれ鏡は学園内で暴力を振るったという事になる。
音根達はグレートの方で処分を受けるだろうが、龍青の中で手を出したのは鏡だけである。いつもならスポーツと言い切るのだが、さすがに今回の状況はどうする事も出来なかった。そう、前にも書いたが龍青学園は何事もスポーツで争うというのが決まりで、ケンカに対しては他の学校よりも重い処分が与えられるのである。
長期間の停学…最短でも一週間の停学。止むを得なかったとはいえ、鏡は確実に処罰の対象となる。
「鏡くんが…」
「鏡さまぁ…」
女子生徒達のすすり泣きが聞こえる。鏡と隆正と甲は音根達を担ぎ、保健室へ向かった。
「鏡くん…」
心配げな表情の流香、七月、学美。そして竜沢は…
「…鏡、お前。」
元の状態に戻って、立ち尽くしていた。
その日、GCSAと七月、学美は、鏡が一人暮らししているマンションに集まっていた。
「咲ちゃんはどうだったんだ?」
「口の中を少し切っただけで、顔に傷が残るようなものじゃなかったわ。」
竜沢の問いに流香がそう答え、竜沢達はホッとした。
「不幸中の幸いでしたね。それにしても…大袈裟ですよ。わざわざ集まって。」
「大袈裟じゃないさ。神侍、鏡…聞かせてもらうよ?どういう事なのか。」
学美の言葉に七月もうなずいた。
「甲くんでも止められなかった…あれは尋常じゃなかったよね。神ちゃんと鏡ちゃんって古い付き合いで、多分その…出会った頃に私達の知らない何かがあった…そうなんでしょ?」
七月の問い掛けに一瞬の間を置き、鏡が竜沢を見た。竜沢はうなずいた。それは、みんなに言っても構わないかどうかの確認であったのだろうか。そして鏡はゆっくりと話し出した。
「僕と竜沢くんは、元々四国の方に住んでいました。そして初めて竜沢くんと会ったのは、小学校五年の時でした…
「川波くん、今日もゲーセン行こう。」
「いいですよ。」
クラスの友達に誘われ、にこりとする鏡。鏡はこの頃から人気者であった。人気者と言っても今の様な感じではなく、ケンカが強いというだけで、周りは『こいつと一緒にいれば色々と都合がいい』くらいのものであった。
そして鏡自身もみんなとは一線を引いていた。女の子達にとっても、今のような手の届かない存在というよりは近寄りがたい存在という感じであった。
「そうだ、川波くん知ってるか?二組の前田と井上が岬小の奴にやられたって。」
「へえ、そうですか。あの二人がね。」
本当はどうでもいいと思いながら、気にしてる様に振る舞う鏡。いつもそうだった。
くだらない話し、どうでもいい事…だけどそれを顔に出さず、いつも上辺だけの『フリ』をしていた。
「二人とも学校を休んでるんだよ。川波くん、あいつらの家に一緒に行かないか?」
「…ええ、いいですよ。」
鏡は仕方なく承知した。それは何故なのか?…鏡は今まで友達というものを作った事がなかった。いや、これが友達だと思っていたのだ。そいつの話しが楽しくなくても笑う…そういうものだと…。じゃあ、そう思うようになったのはいったい何故なのか?
…それは鏡の家庭環境にあった。鏡は父親と離れ、親戚の家に預けられて暮らしていた。母親は鏡が七歳の頃に亡くなっており、兄の翔は父親と共に関西の方で暮らしていた。鏡だけが親戚の家にいた理由…それは、鏡が父親を嫌っていたからに他ならない。
父親の『川波十郎(じゅうろう)』は母親である『川波涼(りょう)』が病床に伏せっていた数ヶ月、仕事に明け暮れ、ほとんど一緒にいる事はなかった。そして鏡と翔しか居ない時、涼は息を引き取った。母親の最期…そして、父親の冷たさだけが鏡の心に焼き付いた。だから鏡は、父親が転勤になった時に付いて行かず、一人残ったのだ。十郎も、鏡を親戚に預け、翔だけを連れて行ったのである。
実は十郎には働かねばならない理由があった。鏡には言っていないが、涼には不倫相手がおり、その不倫相手がとんでもない男で、ギャンブルにはまり金融に手を出し、涼をその借金の保証人にしていたのだ。そして涼の前から居なくなり、借金だけが残ったのだ。涼はそのショックと、十郎や子ども達に対する負い目から精神的におかしくなり、自殺未遂を起こした。その後遺症もあり床に伏せっていたのである。
十郎は何も言わず、借金返済の為昼夜働き続けた。その事を鏡に話さず、ただ子ども達の為に働き続けた十郎だったのだ。翔はこの事を知っていた。十郎も翔も、まだ幼く母親を慕っていた鏡にだけは本当の事を伝えなかった。
そんな状況でも、実は十郎は仕事の合間に涼の元へ来ていたのだが、それは決まって鏡の居ない時だった。その為鏡は何も知らず、十郎を恨んでいたのだ。十郎と翔が鏡に本当の事を言わなかった行為はその思いとは裏腹に、鏡を笑顔一つ見せない子どもにしてしまった。
友達の居ない生活をしていた鏡の唯一の楽しみは、兄が好きだったボクシングや空手などといったもので、自分で毎日練習メニューを組み鍛える事だけであった。
そして数年が経ち、いつまでも友達が出来ない鏡を心配していた親戚のおじ、おばの為、表面だけの付き合い、表面だけの笑顔で、表面だけの友達を作るようになったのだ。つまり鏡は、世話になっている親戚に心配かけまいと無理矢理友達を作っていたに過ぎなかった。そう、それが本当に友達なのかどうかなんて、鏡にはどうでもいい事だったのだ。その笑顔は表面だけの作り笑顔であった。
「こ、怖いんだよ、怖いんだって!」
鏡達は岬小の奴にやられたという前田の家に来ていた。前田は布団にくるまり、何かに怯えていた。
「おい、前田!川波くんが来てくれたぞ!誰にやられたか言ってみろよ!」
鏡と一緒に来た杉本がそう言うと、前田は…
「りゅ…竜沢…ば、化け物…」
声を振り絞る前田。鏡は竜沢というその男に、何故か会ってみたくなった。
「化け物…ですか。分かりました、行きましょう。」
鏡達は前田を家から無理矢理引っ張り出し、岬小の校門前で待ち伏せした。
「まだか前田、川波くんが待ちくたびれてるぞ。」
「…あ、あああっ!」
前田がまた怯え出した。
「…来たんですね。」
鏡は竜沢がどんな奴か、その目で確かめた。
「熊田、お前何だよその腹は?またデカくなってないか。」
「どうせ俺はデブだよ~だ!」
「はははっ。ところで絵美ちゃん、後でチューしない?」
「もうっ、竜沢くんって誰にでもそんなこと言ってるでしょ。」
「そんな事ねぇよっ。かわいい子には絶対言うけど。」
「もうっ!」
竜沢らしき男は、友達数人に囲まれ楽しそうにしゃべっていた。鏡は拍子抜けした。
「あ、あれが化け物…ですか?あの軽そうな人が?」
「は、はい!まままま間違いなくあいつです~!何度殴っても倒しても、また起きて来るんですよぉ~!」
前田は後ずさりした。
「あれ?」
竜沢が校門付近にいる三人に気付く。
「確かお前らは…え~と、誰だっけか?」
すっかり前田の事は忘れてる竜沢。
「あなたですか、僕の友達を怯えさせているのは。」
鏡が一歩前に出る。
「怯える?何で?記憶にないけど。」
「そうですか、じゃあこれで…なんて言うと思いますか。」
こそっと一人ボケをする鏡。
「ひぃぃ!か、川波くん、や、やっつけて下さい~!」
「なあ、そいつ何をそんなにビビッてるんだ?」
馴れ馴れしく鏡の肩に手を置き、話し掛ける竜沢。
「…あなたにやられたからですよ。だから僕は、あなたを倒します。」
「川波くん!頼んだよ!」
「ええ。」
離れて行く杉本に笑顔を見せる鏡を見た竜沢は、その笑顔に疑問を持った。
「川波…だっけ?そいつらほんとにお前の友達か?」
「…。」
「なーんか冴えない顔してるよなお前。笑い顔も作ってるみたいだな。」
「?!」
この言葉に鏡は驚いた。周りにいる誰もが気付かなかったのに、何故今初めて会った者に気付かれたのか…その作り笑いを。
「…行きますよ。」
鏡は肩に乗っている竜沢の手を払いのけ、一旦離れてから得意のフットワークを使い、今度は竜沢の懐に入った。笑顔は一切無く、その真剣な表情はいきなりの戦闘モード。
「わわ?!ちょっと待て!うげっ!」
鏡は有無を言わさず、竜沢の顔面に右フックを入れた。吹っ飛んで倒れる竜沢。
「きゃあ!竜沢くん!」
「竜沢ぁ!」
竜沢の友達らが竜沢を本気で心配して駆け寄る。それを見て、鏡は心が痛んだ。
「やったぁ!さすが川波くんだ!」
「一発だ!川波くんが、一発で化け物を倒してくれたぞ!」
「ありがとう川波くん!」
前田らは歓声を上げた。鏡はそれに応え、また作り笑いをした。
「よくも…大体何で竜沢くんが化け物なのよぉ!」
鏡につかみかかろうとする絵美。それを杉本が止めて、絵美を突き飛ばした。
「きゃぁ!」
転げる女の子に前田が言い放つ。
「川波くんに何をする気だ!このブス!」
「な、なにも突き飛ばすことは…」
鏡は倒れた女の子に手を差し伸べようと近付いた。が、その前に絵美が泣き出し、熊田が絵美を抱え起こした。
「くそぅ!お前等!」
「お?何だ、やる気かデブ!こっちには川波くんがいるんだぞ!」
その時…
「くっ…くくっ…くっくっくっ、お、お前ら…お、女の子を…」
竜沢がゆっくりと、笑いながら起き上がった!
「え?!」
その場にいる全員が驚いた。
「か、川波くんのパンチをくらって…起き上がったぁ!やっぱり化け物だー!」
恐がって逃げ出す前田。
「そ、そんな…」
鏡は今まで、自分の拳を受けて立ち上がった同級生を見た事がなかった。それどころか絡んで来た中学生三人をまとめて倒した事もある。
「くくっ…え、絵美ちゃん、逃げ、ろ。くく…く、熊田…絵美ちゃんを、連れ、て、行け…」
「わ、分かった!」
熊田は言われた通りに絵美を連れて逃げる。
「か、川波、とかい、いったな…お、お前、ら…くくくっ、か、覚悟しろっ。」
竜沢のその顔に、鏡は面食らっていた。竜沢は眉間にしわを寄せ、鬼の様に怒っていた。それは分かる。だが何故かその口の端は吊り上がり、思いっきり笑っていたのだ!しかも、殴り飛ばされた時に地面で擦った顔の傷が徐々に治っていく!
「ひぃぃ化け物!か、川波くーん…!」
ビビって半泣きになっている杉本。
「お、女の子を、き、傷つける奴は…ゆ、許さ、ない!」
竜沢が鏡に突っ込む。
「くっ…」
咄嗟に構えてバックステップで距離を取る鏡。だが…
「えっ?!」
「ふっはは!」
鏡のバックステップに余裕でついてきた竜沢の右ストレートが鏡の顔に入った!
「ぐう?!」
鏡は地に転がった。
「川波くんがぁ!う、うわあー!」
逃げ出す杉本。
「は、速い…はっ!」
立ち上った鏡は殺気を感じて振り返った。
「はぁっはっはっ!」
竜沢は高笑いしながら、鏡に突っ込んで来ていた。
「ちいっ!」
すぐさま距離を置く鏡。だが竜沢は休む暇を与えない。
「ふっくくくっ!」
次は飛び蹴りで突っ込む竜沢。
「くっ!」
鏡はそれを横にかわして竜沢の顔面にカウンターで右ストレートを入れた。
「ぐっ…くっくくく!」
竜沢はすぐさま回し蹴りを繰り出す。それをボディにくらう鏡。
「ぐうっ!これならどうです!」
鏡の左右のワンツー、そして渾身の左アッパー。竜沢に全ヒットする。
「ぐぶっ!…ふっ、はははぁ!」
竜沢のボディー、続いてハイキックが鏡にクリーンヒット。
そして、戦いは日が暮れるまで続いた。
「はぁ、はぁ、はぁ…も、もう、か、体が…」
力尽き、その場に倒れる鏡。
「ふ、くく……くっ!」
竜沢はその場に座り込み、そして普通の表情に戻った。しばらくして鏡が口を開いた。
「な、何故です…はぁ、はぁ…」
「…何故って、お前らが女の子に手を…」
「はぁ、はぁ…ち、違いますよ。」
上半身を起こす鏡。
「な、何故、僕が作り笑いをしている、と?」
「そこかよ?!…うーん、何でかな?」
いきなり戦闘モードから素に戻って本気で考え出す竜沢に、ちょっとキョトンとする鏡。
「…うん、俺にもよく分からんっ。」
ヘラっと笑って言う竜沢。
「…ぷっ、何ですかそれはっ。」
しぼり出した答えがそれだったので思わずふき出す鏡。
「おっ、今のは作り笑いじゃなかったな。お前いい顔するじゃないか。その方が絶対いいぞ。」
「え…?」
少し照れる鏡と、その鏡の顔を見てニカっと笑う竜沢。
「えーと…竜沢くん、でしたよね?あの…」
「俺達、友達だなっ。」
「え…?」
「ん?だって俺ら今、普通に二人で話してるだろ?これってもう友達って事じゃないのか?それにこう…何か、漫画みたいな感じだろ?二人で戦って、そっから友情が芽生えるってやつだ!」
竜沢の顔が何とも言えない笑顔になっている。
「俺はそう思うけどなー。…やっぱ駄目か?」
鏡の方を見てもう一度笑う竜沢。
「い、いや、そんな…駄目とかじゃなくて。…そういうもの、なんですか。」
鏡はうつむいていたが、その表情は自然と笑顔になっており、生まれてから今まで味わった事のない満足感でいっぱいになっていた。
「あ、でもな~。」
「な、何です?何かあるんですか?」
「いや何かって言うか…俺、もうすぐ引っ越すんだ。」
「え…?」
鏡は自分でもびっくりするくらい、その一言に相当なショックを受けた。
「ど、何処にです?」
「関西の学園都市だ。姉ちゃんが言ってた。」
「そ、そう、ですか。」
急にホッとした様な顔をする鏡。
「?」
「学園都市なら…僕も行きます。」
「え?…いやいや、姉ちゃんがよく留守にするから動物は飼っちゃ駄目って…。」
「か、飼ってほしい訳じゃありません。…実は僕の兄さんと…と、父さんもそこにいまして。…僕も引っ越すんですよ。」
「えっ、そうなのか?すげー偶然だなっ。じゃあ…同じ学校だといいな。」
「はい、そうですね。」
鏡は竜沢と一緒に居たいという気持ちが父を嫌っている気持ちより勝っている事に気付いた。
「じゃあ向こうに行ったら連絡するから、連絡先教えてくれよ。」
「いいですけど、僕の方が先に行くかも知れないので、竜沢くんの連絡先も教えて下さい。」
こうして二人は深い友情で結ばれる事となる。偶然(?)竜沢の姉が受けた高校と、鏡の兄が通っていた高校とが隣りであり、竜沢と鏡は同じ龍青学園小学部に入り、そしてその後龍青学園中等部に入るのだ。
…それからみなさんと知り合う事になります。」
鏡の話しを聞き、しばらく無言の流香達。一呼吸おいて七月が話し出した。
「鏡ちゃんが神ちゃんに…負けたって…?」
「し、信じらんねーぜ!。」
「でも事実ですよ。本当に恐かったんですから。」
七月と隆正にそう答えた後、竜沢をちらっと見る鏡。
「こ、恐いって…お前な。」
「一度手合わせ願う。」
竜沢の肩に手を置く甲。
「だー!アホか!」
「ダメですよ谷角くん。竜沢くんをマッド竜沢くんにするには、目の前で女の子に危害を加えないといけないんですから。無理ですよ。」
「マ、マッドって…お前な。」
鏡の言い回しがさっきから気になる竜沢。
「それにしても…それだけじゃあの時鏡があんな事をした理由にならないよ。」
学美の突っ込みに流香もうなずいた。
「音根達を倒すのが竜沢くんか鏡くんかの違いだけよね。」
「う~ん、そうですねぇ。でも竜沢くんに停学になって欲しくなかったし、あと僕はマッド竜沢くんを誰にも見せたくないんですよ。あれを見たら、ここに居る皆さんはともかく他の人達は竜沢くんを恐がって、二度と近寄らなくなるんじゃないでしょうか。」
『そ、そんなに凄いのか?!』と改めて驚く流香達。ついでに竜沢本人も驚いた。
「お、俺ってそんなに凄いのか?!」
「ええ、もう。キャラが真逆に変わりますから。あれは夢に出てくるレベルです。」
ニコやかに答える鏡に、少し青ざめる竜沢達であった。
「…鏡、お前の代わりは俺でいいか?」
「もちろんです。お願いしますよ、竜沢くん。」
鏡は結局一週間の停学になった。自宅謹慎である。つまり白仮面企画マラソン大会に出られないのだ。
「まぁ鏡くんが走るのは一番楽なコースだし、隆正くんが居るから竜沢くんが代わりでも全然いいんだけど…。」
流香の心配は…
「今回の事もあるし、音根達が素直にマラソン大会に出て来るかどうか。」
確かに、そんな素直な奴等が大会前に襲って来るはずがない。
「なら不戦勝でええやんけ!」
「アホだね隆正。そんなんで勝って嬉しいか?それに、それじゃGCSAに来た依頼を達成した事にならないだろ?」
そう、あの後、音根達にやられた一年達から奴等をスポーツで倒してくれという依頼があり、それを受けたのだ。
ちなみに音根達は、青葉園長から連絡をもらったグレートの教師が龍青学園に到着する前に目を覚まし、保健室から姿を消していた。
「やっぱGCSAとしちゃ依頼がないとなー。」
「せ、せやな!」
「ふん。」
「今回僕は見学者という事で。」
「うーん…よし。七月、学美、少し協力してもらうわね。」
「ん?オッケー!」
「ああ、いいよ。」
白仮面企画マラソン大会をちゃっかりGCSAの仕事にしてしまう竜沢達。これからマラソンの特訓をすると同時に、音根達を何としてでもマラソン大会に出て来させるという作戦を考え、実行しなくてはならない。
白仮面企画マラソン大会まで、あと三日…。
「オー!」
音根が右頬に傷テープを貼っているので、驚くブリオ。
「ミスター音根ともあろう者が、か、顔にパンチを入れられるとは!オーマイガッ!エクセレンッ!私とてもシャックリしました!」
「ビックリ。」
「オー!そうですソレでーす!ハッハァ!」
ブリオは、相変わらずフォーターにツッコまれて笑っていた。
「でも、昨夜のリズムで感覚をつかんだからね♪次は…倒せるよ♪」
「…俺もだ。コウ・タニズミ…次は必ず倒す。」
「オー、ミーはモンスターのタカマサ・ハリネズミを倒しまーすネ!」
「ヤマアラシ。」
「オー!そうでしたネ!ハッハァ!あーおかしい!おかしいネ!フーッ!」
おかしいのはお前だ。
「それぞれのターゲットは決まったね♪ちょっと…強引に行くかな♪」
不敵に笑む音根。お前ら授業受けろよ。
龍青学園二年雪組教室。
「と言う訳で、こうなります。」
「ほぉ~。」
話しはほぼ聞いておらず、パンツルックの華澄野の尻ばかりに気を取られている男子生徒達。
「う~む。」
竜沢もその一人であった。
「そこっ!何うなってるのっ。」
華澄野に指を差される竜沢。だが…
「う~む。」
竜沢はまだうなっていた。
「ど、どうしたの竜沢くん?どこか痛いの?」
さすがに心配になって近付いて来る華澄野。
「う~む。」
「竜沢くん?」
「先生、気になる事があるんですが…。」
「な、何?」
「恋人はいるんですか?」
次の瞬間、竜沢は教科書で軽く頭をはたかれ教室の後ろに立たされた。
「せんせー、足だるいです。」
「おとなしく立ってなさい!」
今時珍しく立たされている竜沢。立っていてもうるさい男であった。
「お?」
立たされたが為に教室の窓から運動場が見え、竜沢は校門の所にある三つの人影に気付いた。
「あれは…」
竜沢の視力は両目とも視力計で測りきれないくらい良い。
「あいっ?!」
「竜沢くん、静かになさーい!」
また怒られる竜沢。だがそんな事は気にも止めず、甲の方を見た。
「…ん?」
「甲、奴らが来てるぞ。」
甲が竜沢の視線に気付き振り返ったので、竜沢はほとんど声にならない位の小声でそう言った。甲はその口の動きで理解し、背筋が寒くなった。
「カツラがズレタ…だと?」
…理解していなかった。その後すぐ授業終了時刻。二人は急いで運動場の方へ走った。
「あれ?七月さん、竜沢くん達は?」
雪組に、ファンクラブの女生徒達を連れた鏡が来た。
「それが妙な雰囲気だったから声掛けようとしたんだけど、二人で慌てて出てったんだよねー。…私達も追ってみる?」
「そう、ですね…。」
鏡は何か嫌な予感がした。
龍青学園校門付近。
「本当なんだな?」
「ああ、間違いなく音根だった!あいつら一体どういうつもりなんだ?」
竜沢達が校門に到着した時にはもう誰もいなかった。周囲を見回す竜沢と甲。その時、校舎の方から女子生徒の悲鳴が!
「くっ、北校舎の方か?!」
「…ふん。」
入れ違いになった事に気付いた竜沢達は、急いで北校舎に向かった。
北校舎、一年の教室前廊下に音根達は居た。
「さっさと教えないからこうなりマース!」
一年の男子生徒が二人、顔を押さえ、腹を押さえ、廊下に倒れていた。
「ブリオの言う通りだよ。さぁ、川波達が何処にいるのか言いなよ♪」
「う、し、知らない!」
そう答えた男子生徒は音根に顔面を殴られ、廊下に倒れた。
「オー!お嬢さん達、あなた達知ってマースか?」
怯える女子生徒に顔を近づけるブリオ。キモい。
「あなたはどうデースか?」
続けて近くの男子生徒に聞く。やはりキモい。
「し、知ってても教えるかよ!」
恐がりながらそう言う男子生徒に、音根が近付いた。
「いい根性だね♪でも…賢くないよ、君。」
音根が男子生徒に手を振り上げた瞬間、その間に咲子が割って入った!
「…!」
「きゃうっ!」
咲子は音根の平手を受けて倒れた。
「………何なんだ、君?他人をかばうなんて…どういう思考?」
息を漏らし、一瞬眉をひそめた後冷たく見下ろす音根。
「こ、これは何の騒ぎかね?!」
青葉園長と吉馬が騒ぎを聞き駆け付けた。そこへ竜沢と甲も来た。
「ぬぅ。」
「…さ、咲ちゃん?」
二人はその光景を目のあたりにした。そこへ隆正が駆け付けた。
「コウ・タニズミ。」
「オー!現れましたネ!ハリネズミ!」
「それ俺の事かぃ?!」
咄嗟の事にも素早くツッコむ隆正。さすがである。
「竜沢かぁ。僕が用のあるのは川波鏡なんだけどな♪川波鏡はどこかな?君達に…聞こうか♪」
音根達は竜沢達の方を向き、ゆっくりと歩き出す。
「…そ、それ、だけの、た、ため、に………く、くくっ」
「竜沢?」
竜沢がうつむき、突然肩を震わせて…笑い出した。その事に驚く甲。続いて鏡と流香、七月が駆け付ける。
「何?!何がどうなってるの!」
「さ、咲ちゃん?!」
倒れている咲子に気付き、駆け寄ろうとする流香と七月。
「だ、ダメです竜沢くん!…谷角くん、竜沢くんの動きを止めて下さい!」
何と鏡はいきなり竜沢を抑えろと言った。その場の誰もが訳が分からなかったが、甲だけは違った。とりあえず竜沢に思い切りボディブローをくらわす甲。
「ぐっ!……くっくく、邪魔するな甲。」
「な、何?!」
しかし竜沢は倒れるどころか目をギラつかせた。これには甲も大きく驚く。
「くっ…仕方ない。行きます。」
鏡から笑顔が消えた。そして物凄い速さで生徒らの間をすり抜け、竜沢の横を抜け、音根達に一人で突っ込む!
「ご、ごふっ…!」
「ホ、ホワッ…?」
「馬、鹿な…ゆ、昨夜とリズムが…ち、違いすぎ、る…」
すれ違いざま鏡は、一人一人のボディに一発ずつストレートを入れていた。そして音根達はその場に崩れ落ちた。
「な、何や?何が起こったんや?」
「…谷角くん、隆正くん、三人を保健室に運びますから手を貸して下さい。流香さん達は、咲子さん達一年生を見てあげて下さい。」
そう言った鏡の顔はいつもの笑顔とは少し違っていたが、先ほど見せた顔よりは普段に近くなっていた。そして鏡は青葉園長と吉馬の方を向き、一礼した。
「すいません。彼らを運んだ後、園長室の方へ行かせて頂きますので。」
「う、うむ。分かった。」
ザワつく生徒達。理由はどうあれ鏡は学園内で暴力を振るったという事になる。
音根達はグレートの方で処分を受けるだろうが、龍青の中で手を出したのは鏡だけである。いつもならスポーツと言い切るのだが、さすがに今回の状況はどうする事も出来なかった。そう、前にも書いたが龍青学園は何事もスポーツで争うというのが決まりで、ケンカに対しては他の学校よりも重い処分が与えられるのである。
長期間の停学…最短でも一週間の停学。止むを得なかったとはいえ、鏡は確実に処罰の対象となる。
「鏡くんが…」
「鏡さまぁ…」
女子生徒達のすすり泣きが聞こえる。鏡と隆正と甲は音根達を担ぎ、保健室へ向かった。
「鏡くん…」
心配げな表情の流香、七月、学美。そして竜沢は…
「…鏡、お前。」
元の状態に戻って、立ち尽くしていた。
その日、GCSAと七月、学美は、鏡が一人暮らししているマンションに集まっていた。
「咲ちゃんはどうだったんだ?」
「口の中を少し切っただけで、顔に傷が残るようなものじゃなかったわ。」
竜沢の問いに流香がそう答え、竜沢達はホッとした。
「不幸中の幸いでしたね。それにしても…大袈裟ですよ。わざわざ集まって。」
「大袈裟じゃないさ。神侍、鏡…聞かせてもらうよ?どういう事なのか。」
学美の言葉に七月もうなずいた。
「甲くんでも止められなかった…あれは尋常じゃなかったよね。神ちゃんと鏡ちゃんって古い付き合いで、多分その…出会った頃に私達の知らない何かがあった…そうなんでしょ?」
七月の問い掛けに一瞬の間を置き、鏡が竜沢を見た。竜沢はうなずいた。それは、みんなに言っても構わないかどうかの確認であったのだろうか。そして鏡はゆっくりと話し出した。
「僕と竜沢くんは、元々四国の方に住んでいました。そして初めて竜沢くんと会ったのは、小学校五年の時でした…
「川波くん、今日もゲーセン行こう。」
「いいですよ。」
クラスの友達に誘われ、にこりとする鏡。鏡はこの頃から人気者であった。人気者と言っても今の様な感じではなく、ケンカが強いというだけで、周りは『こいつと一緒にいれば色々と都合がいい』くらいのものであった。
そして鏡自身もみんなとは一線を引いていた。女の子達にとっても、今のような手の届かない存在というよりは近寄りがたい存在という感じであった。
「そうだ、川波くん知ってるか?二組の前田と井上が岬小の奴にやられたって。」
「へえ、そうですか。あの二人がね。」
本当はどうでもいいと思いながら、気にしてる様に振る舞う鏡。いつもそうだった。
くだらない話し、どうでもいい事…だけどそれを顔に出さず、いつも上辺だけの『フリ』をしていた。
「二人とも学校を休んでるんだよ。川波くん、あいつらの家に一緒に行かないか?」
「…ええ、いいですよ。」
鏡は仕方なく承知した。それは何故なのか?…鏡は今まで友達というものを作った事がなかった。いや、これが友達だと思っていたのだ。そいつの話しが楽しくなくても笑う…そういうものだと…。じゃあ、そう思うようになったのはいったい何故なのか?
…それは鏡の家庭環境にあった。鏡は父親と離れ、親戚の家に預けられて暮らしていた。母親は鏡が七歳の頃に亡くなっており、兄の翔は父親と共に関西の方で暮らしていた。鏡だけが親戚の家にいた理由…それは、鏡が父親を嫌っていたからに他ならない。
父親の『川波十郎(じゅうろう)』は母親である『川波涼(りょう)』が病床に伏せっていた数ヶ月、仕事に明け暮れ、ほとんど一緒にいる事はなかった。そして鏡と翔しか居ない時、涼は息を引き取った。母親の最期…そして、父親の冷たさだけが鏡の心に焼き付いた。だから鏡は、父親が転勤になった時に付いて行かず、一人残ったのだ。十郎も、鏡を親戚に預け、翔だけを連れて行ったのである。
実は十郎には働かねばならない理由があった。鏡には言っていないが、涼には不倫相手がおり、その不倫相手がとんでもない男で、ギャンブルにはまり金融に手を出し、涼をその借金の保証人にしていたのだ。そして涼の前から居なくなり、借金だけが残ったのだ。涼はそのショックと、十郎や子ども達に対する負い目から精神的におかしくなり、自殺未遂を起こした。その後遺症もあり床に伏せっていたのである。
十郎は何も言わず、借金返済の為昼夜働き続けた。その事を鏡に話さず、ただ子ども達の為に働き続けた十郎だったのだ。翔はこの事を知っていた。十郎も翔も、まだ幼く母親を慕っていた鏡にだけは本当の事を伝えなかった。
そんな状況でも、実は十郎は仕事の合間に涼の元へ来ていたのだが、それは決まって鏡の居ない時だった。その為鏡は何も知らず、十郎を恨んでいたのだ。十郎と翔が鏡に本当の事を言わなかった行為はその思いとは裏腹に、鏡を笑顔一つ見せない子どもにしてしまった。
友達の居ない生活をしていた鏡の唯一の楽しみは、兄が好きだったボクシングや空手などといったもので、自分で毎日練習メニューを組み鍛える事だけであった。
そして数年が経ち、いつまでも友達が出来ない鏡を心配していた親戚のおじ、おばの為、表面だけの付き合い、表面だけの笑顔で、表面だけの友達を作るようになったのだ。つまり鏡は、世話になっている親戚に心配かけまいと無理矢理友達を作っていたに過ぎなかった。そう、それが本当に友達なのかどうかなんて、鏡にはどうでもいい事だったのだ。その笑顔は表面だけの作り笑顔であった。
「こ、怖いんだよ、怖いんだって!」
鏡達は岬小の奴にやられたという前田の家に来ていた。前田は布団にくるまり、何かに怯えていた。
「おい、前田!川波くんが来てくれたぞ!誰にやられたか言ってみろよ!」
鏡と一緒に来た杉本がそう言うと、前田は…
「りゅ…竜沢…ば、化け物…」
声を振り絞る前田。鏡は竜沢というその男に、何故か会ってみたくなった。
「化け物…ですか。分かりました、行きましょう。」
鏡達は前田を家から無理矢理引っ張り出し、岬小の校門前で待ち伏せした。
「まだか前田、川波くんが待ちくたびれてるぞ。」
「…あ、あああっ!」
前田がまた怯え出した。
「…来たんですね。」
鏡は竜沢がどんな奴か、その目で確かめた。
「熊田、お前何だよその腹は?またデカくなってないか。」
「どうせ俺はデブだよ~だ!」
「はははっ。ところで絵美ちゃん、後でチューしない?」
「もうっ、竜沢くんって誰にでもそんなこと言ってるでしょ。」
「そんな事ねぇよっ。かわいい子には絶対言うけど。」
「もうっ!」
竜沢らしき男は、友達数人に囲まれ楽しそうにしゃべっていた。鏡は拍子抜けした。
「あ、あれが化け物…ですか?あの軽そうな人が?」
「は、はい!まままま間違いなくあいつです~!何度殴っても倒しても、また起きて来るんですよぉ~!」
前田は後ずさりした。
「あれ?」
竜沢が校門付近にいる三人に気付く。
「確かお前らは…え~と、誰だっけか?」
すっかり前田の事は忘れてる竜沢。
「あなたですか、僕の友達を怯えさせているのは。」
鏡が一歩前に出る。
「怯える?何で?記憶にないけど。」
「そうですか、じゃあこれで…なんて言うと思いますか。」
こそっと一人ボケをする鏡。
「ひぃぃ!か、川波くん、や、やっつけて下さい~!」
「なあ、そいつ何をそんなにビビッてるんだ?」
馴れ馴れしく鏡の肩に手を置き、話し掛ける竜沢。
「…あなたにやられたからですよ。だから僕は、あなたを倒します。」
「川波くん!頼んだよ!」
「ええ。」
離れて行く杉本に笑顔を見せる鏡を見た竜沢は、その笑顔に疑問を持った。
「川波…だっけ?そいつらほんとにお前の友達か?」
「…。」
「なーんか冴えない顔してるよなお前。笑い顔も作ってるみたいだな。」
「?!」
この言葉に鏡は驚いた。周りにいる誰もが気付かなかったのに、何故今初めて会った者に気付かれたのか…その作り笑いを。
「…行きますよ。」
鏡は肩に乗っている竜沢の手を払いのけ、一旦離れてから得意のフットワークを使い、今度は竜沢の懐に入った。笑顔は一切無く、その真剣な表情はいきなりの戦闘モード。
「わわ?!ちょっと待て!うげっ!」
鏡は有無を言わさず、竜沢の顔面に右フックを入れた。吹っ飛んで倒れる竜沢。
「きゃあ!竜沢くん!」
「竜沢ぁ!」
竜沢の友達らが竜沢を本気で心配して駆け寄る。それを見て、鏡は心が痛んだ。
「やったぁ!さすが川波くんだ!」
「一発だ!川波くんが、一発で化け物を倒してくれたぞ!」
「ありがとう川波くん!」
前田らは歓声を上げた。鏡はそれに応え、また作り笑いをした。
「よくも…大体何で竜沢くんが化け物なのよぉ!」
鏡につかみかかろうとする絵美。それを杉本が止めて、絵美を突き飛ばした。
「きゃぁ!」
転げる女の子に前田が言い放つ。
「川波くんに何をする気だ!このブス!」
「な、なにも突き飛ばすことは…」
鏡は倒れた女の子に手を差し伸べようと近付いた。が、その前に絵美が泣き出し、熊田が絵美を抱え起こした。
「くそぅ!お前等!」
「お?何だ、やる気かデブ!こっちには川波くんがいるんだぞ!」
その時…
「くっ…くくっ…くっくっくっ、お、お前ら…お、女の子を…」
竜沢がゆっくりと、笑いながら起き上がった!
「え?!」
その場にいる全員が驚いた。
「か、川波くんのパンチをくらって…起き上がったぁ!やっぱり化け物だー!」
恐がって逃げ出す前田。
「そ、そんな…」
鏡は今まで、自分の拳を受けて立ち上がった同級生を見た事がなかった。それどころか絡んで来た中学生三人をまとめて倒した事もある。
「くくっ…え、絵美ちゃん、逃げ、ろ。くく…く、熊田…絵美ちゃんを、連れ、て、行け…」
「わ、分かった!」
熊田は言われた通りに絵美を連れて逃げる。
「か、川波、とかい、いったな…お、お前、ら…くくくっ、か、覚悟しろっ。」
竜沢のその顔に、鏡は面食らっていた。竜沢は眉間にしわを寄せ、鬼の様に怒っていた。それは分かる。だが何故かその口の端は吊り上がり、思いっきり笑っていたのだ!しかも、殴り飛ばされた時に地面で擦った顔の傷が徐々に治っていく!
「ひぃぃ化け物!か、川波くーん…!」
ビビって半泣きになっている杉本。
「お、女の子を、き、傷つける奴は…ゆ、許さ、ない!」
竜沢が鏡に突っ込む。
「くっ…」
咄嗟に構えてバックステップで距離を取る鏡。だが…
「えっ?!」
「ふっはは!」
鏡のバックステップに余裕でついてきた竜沢の右ストレートが鏡の顔に入った!
「ぐう?!」
鏡は地に転がった。
「川波くんがぁ!う、うわあー!」
逃げ出す杉本。
「は、速い…はっ!」
立ち上った鏡は殺気を感じて振り返った。
「はぁっはっはっ!」
竜沢は高笑いしながら、鏡に突っ込んで来ていた。
「ちいっ!」
すぐさま距離を置く鏡。だが竜沢は休む暇を与えない。
「ふっくくくっ!」
次は飛び蹴りで突っ込む竜沢。
「くっ!」
鏡はそれを横にかわして竜沢の顔面にカウンターで右ストレートを入れた。
「ぐっ…くっくくく!」
竜沢はすぐさま回し蹴りを繰り出す。それをボディにくらう鏡。
「ぐうっ!これならどうです!」
鏡の左右のワンツー、そして渾身の左アッパー。竜沢に全ヒットする。
「ぐぶっ!…ふっ、はははぁ!」
竜沢のボディー、続いてハイキックが鏡にクリーンヒット。
そして、戦いは日が暮れるまで続いた。
「はぁ、はぁ、はぁ…も、もう、か、体が…」
力尽き、その場に倒れる鏡。
「ふ、くく……くっ!」
竜沢はその場に座り込み、そして普通の表情に戻った。しばらくして鏡が口を開いた。
「な、何故です…はぁ、はぁ…」
「…何故って、お前らが女の子に手を…」
「はぁ、はぁ…ち、違いますよ。」
上半身を起こす鏡。
「な、何故、僕が作り笑いをしている、と?」
「そこかよ?!…うーん、何でかな?」
いきなり戦闘モードから素に戻って本気で考え出す竜沢に、ちょっとキョトンとする鏡。
「…うん、俺にもよく分からんっ。」
ヘラっと笑って言う竜沢。
「…ぷっ、何ですかそれはっ。」
しぼり出した答えがそれだったので思わずふき出す鏡。
「おっ、今のは作り笑いじゃなかったな。お前いい顔するじゃないか。その方が絶対いいぞ。」
「え…?」
少し照れる鏡と、その鏡の顔を見てニカっと笑う竜沢。
「えーと…竜沢くん、でしたよね?あの…」
「俺達、友達だなっ。」
「え…?」
「ん?だって俺ら今、普通に二人で話してるだろ?これってもう友達って事じゃないのか?それにこう…何か、漫画みたいな感じだろ?二人で戦って、そっから友情が芽生えるってやつだ!」
竜沢の顔が何とも言えない笑顔になっている。
「俺はそう思うけどなー。…やっぱ駄目か?」
鏡の方を見てもう一度笑う竜沢。
「い、いや、そんな…駄目とかじゃなくて。…そういうもの、なんですか。」
鏡はうつむいていたが、その表情は自然と笑顔になっており、生まれてから今まで味わった事のない満足感でいっぱいになっていた。
「あ、でもな~。」
「な、何です?何かあるんですか?」
「いや何かって言うか…俺、もうすぐ引っ越すんだ。」
「え…?」
鏡は自分でもびっくりするくらい、その一言に相当なショックを受けた。
「ど、何処にです?」
「関西の学園都市だ。姉ちゃんが言ってた。」
「そ、そう、ですか。」
急にホッとした様な顔をする鏡。
「?」
「学園都市なら…僕も行きます。」
「え?…いやいや、姉ちゃんがよく留守にするから動物は飼っちゃ駄目って…。」
「か、飼ってほしい訳じゃありません。…実は僕の兄さんと…と、父さんもそこにいまして。…僕も引っ越すんですよ。」
「えっ、そうなのか?すげー偶然だなっ。じゃあ…同じ学校だといいな。」
「はい、そうですね。」
鏡は竜沢と一緒に居たいという気持ちが父を嫌っている気持ちより勝っている事に気付いた。
「じゃあ向こうに行ったら連絡するから、連絡先教えてくれよ。」
「いいですけど、僕の方が先に行くかも知れないので、竜沢くんの連絡先も教えて下さい。」
こうして二人は深い友情で結ばれる事となる。偶然(?)竜沢の姉が受けた高校と、鏡の兄が通っていた高校とが隣りであり、竜沢と鏡は同じ龍青学園小学部に入り、そしてその後龍青学園中等部に入るのだ。
…それからみなさんと知り合う事になります。」
鏡の話しを聞き、しばらく無言の流香達。一呼吸おいて七月が話し出した。
「鏡ちゃんが神ちゃんに…負けたって…?」
「し、信じらんねーぜ!。」
「でも事実ですよ。本当に恐かったんですから。」
七月と隆正にそう答えた後、竜沢をちらっと見る鏡。
「こ、恐いって…お前な。」
「一度手合わせ願う。」
竜沢の肩に手を置く甲。
「だー!アホか!」
「ダメですよ谷角くん。竜沢くんをマッド竜沢くんにするには、目の前で女の子に危害を加えないといけないんですから。無理ですよ。」
「マ、マッドって…お前な。」
鏡の言い回しがさっきから気になる竜沢。
「それにしても…それだけじゃあの時鏡があんな事をした理由にならないよ。」
学美の突っ込みに流香もうなずいた。
「音根達を倒すのが竜沢くんか鏡くんかの違いだけよね。」
「う~ん、そうですねぇ。でも竜沢くんに停学になって欲しくなかったし、あと僕はマッド竜沢くんを誰にも見せたくないんですよ。あれを見たら、ここに居る皆さんはともかく他の人達は竜沢くんを恐がって、二度と近寄らなくなるんじゃないでしょうか。」
『そ、そんなに凄いのか?!』と改めて驚く流香達。ついでに竜沢本人も驚いた。
「お、俺ってそんなに凄いのか?!」
「ええ、もう。キャラが真逆に変わりますから。あれは夢に出てくるレベルです。」
ニコやかに答える鏡に、少し青ざめる竜沢達であった。
「…鏡、お前の代わりは俺でいいか?」
「もちろんです。お願いしますよ、竜沢くん。」
鏡は結局一週間の停学になった。自宅謹慎である。つまり白仮面企画マラソン大会に出られないのだ。
「まぁ鏡くんが走るのは一番楽なコースだし、隆正くんが居るから竜沢くんが代わりでも全然いいんだけど…。」
流香の心配は…
「今回の事もあるし、音根達が素直にマラソン大会に出て来るかどうか。」
確かに、そんな素直な奴等が大会前に襲って来るはずがない。
「なら不戦勝でええやんけ!」
「アホだね隆正。そんなんで勝って嬉しいか?それに、それじゃGCSAに来た依頼を達成した事にならないだろ?」
そう、あの後、音根達にやられた一年達から奴等をスポーツで倒してくれという依頼があり、それを受けたのだ。
ちなみに音根達は、青葉園長から連絡をもらったグレートの教師が龍青学園に到着する前に目を覚まし、保健室から姿を消していた。
「やっぱGCSAとしちゃ依頼がないとなー。」
「せ、せやな!」
「ふん。」
「今回僕は見学者という事で。」
「うーん…よし。七月、学美、少し協力してもらうわね。」
「ん?オッケー!」
「ああ、いいよ。」
白仮面企画マラソン大会をちゃっかりGCSAの仕事にしてしまう竜沢達。これからマラソンの特訓をすると同時に、音根達を何としてでもマラソン大会に出て来させるという作戦を考え、実行しなくてはならない。
白仮面企画マラソン大会まで、あと三日…。
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