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第4章の12「どっちにしようかな?」
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最終戦を目前に、遂にGCSA五人が揃った。
ここまでは全てGCSAの勝利となっているが、実は黒点塾の目的は戦いに勝つ事では無い。スポーツを重んじる龍青学園の特色を利用して試合を仕掛け、その中で鏡の周囲にいる仲間達を痛め付ける事や、鏡を皆から孤立させる事を目的としていた。つまりは全て鏡を苦しめる事に特化していたのである。
しかし作戦が全て失敗に終わった為、ゴンザはこの最終戦で鏡以外の全員を倒す事以外に任務を遂行出来ない状況となっていた。
ゴンザにとっても土壇場である最終戦…果たしてゴンザはGCSAを倒す事が出来るのか?!頑張れゴンザ!………あれ?
「最終戦第五試合!運動場でのドッヂボール対決です!」
このドッヂボールは六対六の勝負で、六人全員が外野になるか全員が戦闘不能になるかで勝負が決まる。ちなみに一度外野になった者はもう内野に戻る事は出来ない。
「いい?全員で鶴野さんを守るのよ。それと、始まってからしばらくしたら甲くんはワザと外野にまわって。その後は…ボールを受けない様に。」
円陣を組み、流香のアドバイスを聞いてうなずく竜沢達。
「よしっ、分かった。」
「分かりました。流香さんも守りますよ。」
「う、うん。」
照れる流香。
「え?何や?ボールを受けるなってどういう意味や?」
「…ふっ。」
「鼻で笑うなや鼻で!」
半ベソで甲につかみ掛かる隆正。
「そんな…斎藤さん達をなめちゃダメっ。四人で六人を相手にするなんて。」
「つくしちゃんはおとなしく俺達に守られなさーい。」
竜沢はつくしの肩をポンッと叩いた。さりげなく触るのがうまくなっている。
「俺達を信じろって。な?鏡。」
「そうですよ。流香さんと鶴野さんは、ゆっくりお茶でも飲んでて下さい。」
「鏡~、さすがにコート内でお茶はせんやろぉ?第一持って来てないで、普通。」
「鶴野さん、どっちがいい?」
「あ、えーと…じゃあ緑茶で。」
所持していたペットボトルのお茶をつくしに渡す流香。ちなみにもう一本はほうじ茶。
「あるんかい?!」
キレイなツッコミを見せる隆正。
「とうきび茶はないのか。」
「お前は我慢せぇや!しかもマニアック!」
レアなお茶を要求する甲に見事な二段ツッコミをする隆正であった。さすがである。
「さぁて…グッと行くぞ!覚悟しろよ、ゴンザ軍団!略してゴン軍!更に略してゴ軍!」
「くぅ…いつまでも馬鹿にしおって…」
またも怒るゴンザ。そしてジャンケンで、ボールはゴンザが持つ事になった。
「ゴンぐ…いや、ゴ、両軍、整列!最終戦の審判は、この青葉が引き受ける!では、試合開始!」
二回セリフを噛んだ青葉が笛を吹く。と、同時に黒房がつくしを狙ってボールを投げる!
「ふん。」
甲が素早くつくしの前に立ち、ボールを難なくキャッチ。そして…
「ぬぅん!」
投げ返す甲。しかも球威は、黒房など比べ物にならないものだった。
「ほげぇー!」
犠牲者は馬場崎だった。本来ボールを当てられた者は外野にまわる訳だが、馬場崎は線審に担がれコート外に運び出された。つまり…外野というより、馬場崎は『沈黙』したという事である。
「次は…」
軽く鹿島田を見る甲に、鹿島田はめちゃくちゃ怯えていた。
「うろたえるな!あんなもの、かわせば済む事だ!」
ゴンザが吠える!でも避ける事しか考えていないところがちょっと逃げ腰!
「いいぞー!みんなぁ!」
「その調子っ!」
学美と七月の声援にも力が入る。
「うおりゃ!」
黒房はその怪力で流香を狙った。かなりの剛速球だが、流香の前に入って軽く受け止めたのは鏡。
「よいしょ。さて、それじゃ…」
鏡の目線は森林に向けられた。
「むっ、来るぞ森林!」
「はっ!」
動きを読んで構える森林。だが…
「げぶぅー!」
犠牲になったのは、やはり鹿島田であった。鹿島田…沈黙。
「くっ、フェイントか…」
裏をかかれるゴンザ。そう、ボクサーが使う、目のフェイントであった。鏡は甲との試合時にも使っていた。
「さぁ、馬場崎選手に続き鹿島田選手も運び出されました!始まる前から沈黙していた猪野岡選手を入れると、早くも三人が戦闘不能になったという事です!ここまで見て、どうですか咲子さん。」
「GCSAの皆さん、かっこいいですねぇ~。咲子もGCSAの皆さんに守られてみたいです~。」
「いや咲子さん、それ私もめっちゃ同感っ。もしかしたら学園内の女子全ての願望かもしれませんねー。」
鈴美の言葉に、龍青の女生徒達は皆うなずいていた。
「どうしたゴンザ。お前のゴンザ軍団はこの程度か?いや、ゴ軍はこの程度か?」
わざわざ言い直す竜沢に、ゴンザは怒りで体を小刻みに震わせていた。
「ゆ、許さんぞ竜沢…くらえい!」
ゴンザ自ら竜沢目掛けて全力投球。これを竜沢、不敵な笑みを浮かべたまま避けようとしない。
「…何?」
ゴンザの目は点になった。何と竜沢の前に甲が出て来て、ゴンザの投げたボールに当たったのだ。ボールは地に転がる。
「ふぅ~、スタート。ゴンザ、飛んじゃうかな。」
ボソッと言う流香。
「た、谷角くん、外野にまわりなさい!」
審判の青葉に言われ、甲はゆっくりと外野に行った。
「さ、さすがゴ斎藤さん!やりましたね!」
「え?あ、いや……当たり前だ!お頭(かしら)だからな!」
『斎藤さん』の前に『ゴ』って入った事はとりあえずスルーし、調子に乗るゴンザ。
「あたりめだ!塩辛だからな!」
ゴンザの声や仕草を真似しながらニュアンスの似た無意味な言葉を並べ、隆正にボールをトスする竜沢。
「イカ繋がりかぃ?!」
そのボールを思い切り蹴り上げる隆正。ボールは上空へ高く上がる。
「…」
そのボールを目で追っていたゴンザ達は、これがどういう事か次の瞬間理解した。
「行かせてもらう。」
外野の甲が飛び上がっていた。そして山なりに落ちてくるボールに…スパイク!
「あ、ぐぎゃあぁぁぁー!」
甲の強烈なスパイクから放たれたボールは黒房の顔面に直撃。頑丈な男も一発で地に転がった。
「退場!」
青葉の号令とともに、『沈黙』した黒房は運び出された。
「さぁ、次のターゲットは…どっちにしようかな?」
「お、おのれ…」
舌なめずりする竜沢に、警戒して構えるゴンザ達。
「隆正、あげろ!」
再び隆正にトスする竜沢。
「イカを?!」
またも思い切りボールを蹴り上げる隆正。ゴンザ達は、二度も同じ手に引っ掛かる馬鹿ではないと言わんばかりに、甲のいる外野側から離れる。
「イカリング。」
ゴンザ達の想像通り、甲がボールに飛びついてスパイク!しかしボールはゴンザ達ではなく、鏡の方へ向かって飛ぶ!
「馬鹿め!何処を狙って…はっ?!」
ゴンザは気付いた。鏡がファイティングポーズを取っている事に。
「イカは…天ぷらもおいしいですよ?」
鏡は、甲がスパイクしたボールを受け止めずにそのまま右ストレートで返す。拳に捻りを加えていた為、ボールは更にスピードと威力を増した。そのボールは…森林の顔面に直撃した。
「ぐぎぇばぁー!」
森林は断末魔の奇妙な声をあげて倒れた。
「沈黙!いや、退場!」
言い間違う青葉の指示に従い、線審達にコート外へ運び出される森林。
「す、凄い…」
つくしは驚いていた。黒房や森林は相当強い。それをイカの話しをしながらあっという間に余裕で倒してしまうGCSAはその上をいく強さ。
つくしは思った…自分達が勝てる相手ではなかったのだ、と。
「残るはお前だな、ゴンザ。」
かまぼこ型の目を細める竜沢。
「く…そ、そう簡単にはやられんぞ!」
「ですよね。ブロ…ゴンザさんなら二倍ってところでしょうか。」
ゴンザは鏡の言葉の意味を、この時は理解出来なかった。
「ほらよっ。」
竜沢がゴンザから離れた所にボールを投げる。
「ふん。」
甲がそのボールを軽く弾く。ボールはゴンザの横を通り抜け、隆正へ。
「はいよっ!」
隆正は強めに蹴り返した。ボールはまたゴンザの横を通り抜ける。ゴンザは、ボールが徐々に近づいている事に気付いた。
〝そうやって徐々に逃げ場を狭めつつ、スピードを上げていく算段か。甘いわ!〟
ゴンザは素早さには自信があった。ゴンザにしてみれば、敵の手裏剣をかわす事に比べたらこの程度のスピードは何の問題もない!ただ…避けているだけなのにそんなに粋がられても困る!
「ふんっ。」
隆正の蹴ったボールの正面に移動した甲が、チョップで弾き返す。若干スピードと精度が上がった。スッとかわすゴンザ。
「はい。」
ここで鏡のコークスクリューブロー。弾かれたボールに回転がかかり、急激に速さと威力が上がった。確実に照準も合っている!
「むう!」
ギリかわすゴンザ。避けなければ確実に当たっていた。そしてここで…
「ふん!」
甲は蹴りで、回転のかかっているボールを真芯で捉えて弾き返す!
「ぬおぉっ?!」
かなりギリで、辛うじてかわすゴンザ!さすがお頭!
「こ、こんなものよ!」
若干『どや?!』という顔をしたゴンザだったが、次の瞬間お花畑が見えた。
「はいっ。」
ドギャっ!
そんな音が聞こえてくるようなボールの歪み方だった。甲の蹴りから放たれた凄まじい速さと威力のボールを、鏡はまたも捻りを加えた右拳で打ち返したのだった。
メゴッ…
軌道なんか見える間もなく、ボールはゴンザの顔面(額あてをうまく避けて目ぇ出してるあたり)に当たり、ゴンザは…飛んだ。けっこう飛んだ。
薄れる意識の中、ゴンザは思っていた。
〝二倍以上だよね、これ?〟
さらばゴンザ!いい夢見ろよ!無理か!
「黒点塾対GCSAの試合は…全てGCSAの勝利で幕を閉じましたー!」
その放送と同時に、龍青はまたも盛り上がる。
「ほ、ほんとに凄い…」
「だろ?俺達の事また見直した?」
つくしの前に集まるGCSA。龍青の生徒、教師、皆の顔に笑顔が溢れた。
ここまでは全てGCSAの勝利となっているが、実は黒点塾の目的は戦いに勝つ事では無い。スポーツを重んじる龍青学園の特色を利用して試合を仕掛け、その中で鏡の周囲にいる仲間達を痛め付ける事や、鏡を皆から孤立させる事を目的としていた。つまりは全て鏡を苦しめる事に特化していたのである。
しかし作戦が全て失敗に終わった為、ゴンザはこの最終戦で鏡以外の全員を倒す事以外に任務を遂行出来ない状況となっていた。
ゴンザにとっても土壇場である最終戦…果たしてゴンザはGCSAを倒す事が出来るのか?!頑張れゴンザ!………あれ?
「最終戦第五試合!運動場でのドッヂボール対決です!」
このドッヂボールは六対六の勝負で、六人全員が外野になるか全員が戦闘不能になるかで勝負が決まる。ちなみに一度外野になった者はもう内野に戻る事は出来ない。
「いい?全員で鶴野さんを守るのよ。それと、始まってからしばらくしたら甲くんはワザと外野にまわって。その後は…ボールを受けない様に。」
円陣を組み、流香のアドバイスを聞いてうなずく竜沢達。
「よしっ、分かった。」
「分かりました。流香さんも守りますよ。」
「う、うん。」
照れる流香。
「え?何や?ボールを受けるなってどういう意味や?」
「…ふっ。」
「鼻で笑うなや鼻で!」
半ベソで甲につかみ掛かる隆正。
「そんな…斎藤さん達をなめちゃダメっ。四人で六人を相手にするなんて。」
「つくしちゃんはおとなしく俺達に守られなさーい。」
竜沢はつくしの肩をポンッと叩いた。さりげなく触るのがうまくなっている。
「俺達を信じろって。な?鏡。」
「そうですよ。流香さんと鶴野さんは、ゆっくりお茶でも飲んでて下さい。」
「鏡~、さすがにコート内でお茶はせんやろぉ?第一持って来てないで、普通。」
「鶴野さん、どっちがいい?」
「あ、えーと…じゃあ緑茶で。」
所持していたペットボトルのお茶をつくしに渡す流香。ちなみにもう一本はほうじ茶。
「あるんかい?!」
キレイなツッコミを見せる隆正。
「とうきび茶はないのか。」
「お前は我慢せぇや!しかもマニアック!」
レアなお茶を要求する甲に見事な二段ツッコミをする隆正であった。さすがである。
「さぁて…グッと行くぞ!覚悟しろよ、ゴンザ軍団!略してゴン軍!更に略してゴ軍!」
「くぅ…いつまでも馬鹿にしおって…」
またも怒るゴンザ。そしてジャンケンで、ボールはゴンザが持つ事になった。
「ゴンぐ…いや、ゴ、両軍、整列!最終戦の審判は、この青葉が引き受ける!では、試合開始!」
二回セリフを噛んだ青葉が笛を吹く。と、同時に黒房がつくしを狙ってボールを投げる!
「ふん。」
甲が素早くつくしの前に立ち、ボールを難なくキャッチ。そして…
「ぬぅん!」
投げ返す甲。しかも球威は、黒房など比べ物にならないものだった。
「ほげぇー!」
犠牲者は馬場崎だった。本来ボールを当てられた者は外野にまわる訳だが、馬場崎は線審に担がれコート外に運び出された。つまり…外野というより、馬場崎は『沈黙』したという事である。
「次は…」
軽く鹿島田を見る甲に、鹿島田はめちゃくちゃ怯えていた。
「うろたえるな!あんなもの、かわせば済む事だ!」
ゴンザが吠える!でも避ける事しか考えていないところがちょっと逃げ腰!
「いいぞー!みんなぁ!」
「その調子っ!」
学美と七月の声援にも力が入る。
「うおりゃ!」
黒房はその怪力で流香を狙った。かなりの剛速球だが、流香の前に入って軽く受け止めたのは鏡。
「よいしょ。さて、それじゃ…」
鏡の目線は森林に向けられた。
「むっ、来るぞ森林!」
「はっ!」
動きを読んで構える森林。だが…
「げぶぅー!」
犠牲になったのは、やはり鹿島田であった。鹿島田…沈黙。
「くっ、フェイントか…」
裏をかかれるゴンザ。そう、ボクサーが使う、目のフェイントであった。鏡は甲との試合時にも使っていた。
「さぁ、馬場崎選手に続き鹿島田選手も運び出されました!始まる前から沈黙していた猪野岡選手を入れると、早くも三人が戦闘不能になったという事です!ここまで見て、どうですか咲子さん。」
「GCSAの皆さん、かっこいいですねぇ~。咲子もGCSAの皆さんに守られてみたいです~。」
「いや咲子さん、それ私もめっちゃ同感っ。もしかしたら学園内の女子全ての願望かもしれませんねー。」
鈴美の言葉に、龍青の女生徒達は皆うなずいていた。
「どうしたゴンザ。お前のゴンザ軍団はこの程度か?いや、ゴ軍はこの程度か?」
わざわざ言い直す竜沢に、ゴンザは怒りで体を小刻みに震わせていた。
「ゆ、許さんぞ竜沢…くらえい!」
ゴンザ自ら竜沢目掛けて全力投球。これを竜沢、不敵な笑みを浮かべたまま避けようとしない。
「…何?」
ゴンザの目は点になった。何と竜沢の前に甲が出て来て、ゴンザの投げたボールに当たったのだ。ボールは地に転がる。
「ふぅ~、スタート。ゴンザ、飛んじゃうかな。」
ボソッと言う流香。
「た、谷角くん、外野にまわりなさい!」
審判の青葉に言われ、甲はゆっくりと外野に行った。
「さ、さすがゴ斎藤さん!やりましたね!」
「え?あ、いや……当たり前だ!お頭(かしら)だからな!」
『斎藤さん』の前に『ゴ』って入った事はとりあえずスルーし、調子に乗るゴンザ。
「あたりめだ!塩辛だからな!」
ゴンザの声や仕草を真似しながらニュアンスの似た無意味な言葉を並べ、隆正にボールをトスする竜沢。
「イカ繋がりかぃ?!」
そのボールを思い切り蹴り上げる隆正。ボールは上空へ高く上がる。
「…」
そのボールを目で追っていたゴンザ達は、これがどういう事か次の瞬間理解した。
「行かせてもらう。」
外野の甲が飛び上がっていた。そして山なりに落ちてくるボールに…スパイク!
「あ、ぐぎゃあぁぁぁー!」
甲の強烈なスパイクから放たれたボールは黒房の顔面に直撃。頑丈な男も一発で地に転がった。
「退場!」
青葉の号令とともに、『沈黙』した黒房は運び出された。
「さぁ、次のターゲットは…どっちにしようかな?」
「お、おのれ…」
舌なめずりする竜沢に、警戒して構えるゴンザ達。
「隆正、あげろ!」
再び隆正にトスする竜沢。
「イカを?!」
またも思い切りボールを蹴り上げる隆正。ゴンザ達は、二度も同じ手に引っ掛かる馬鹿ではないと言わんばかりに、甲のいる外野側から離れる。
「イカリング。」
ゴンザ達の想像通り、甲がボールに飛びついてスパイク!しかしボールはゴンザ達ではなく、鏡の方へ向かって飛ぶ!
「馬鹿め!何処を狙って…はっ?!」
ゴンザは気付いた。鏡がファイティングポーズを取っている事に。
「イカは…天ぷらもおいしいですよ?」
鏡は、甲がスパイクしたボールを受け止めずにそのまま右ストレートで返す。拳に捻りを加えていた為、ボールは更にスピードと威力を増した。そのボールは…森林の顔面に直撃した。
「ぐぎぇばぁー!」
森林は断末魔の奇妙な声をあげて倒れた。
「沈黙!いや、退場!」
言い間違う青葉の指示に従い、線審達にコート外へ運び出される森林。
「す、凄い…」
つくしは驚いていた。黒房や森林は相当強い。それをイカの話しをしながらあっという間に余裕で倒してしまうGCSAはその上をいく強さ。
つくしは思った…自分達が勝てる相手ではなかったのだ、と。
「残るはお前だな、ゴンザ。」
かまぼこ型の目を細める竜沢。
「く…そ、そう簡単にはやられんぞ!」
「ですよね。ブロ…ゴンザさんなら二倍ってところでしょうか。」
ゴンザは鏡の言葉の意味を、この時は理解出来なかった。
「ほらよっ。」
竜沢がゴンザから離れた所にボールを投げる。
「ふん。」
甲がそのボールを軽く弾く。ボールはゴンザの横を通り抜け、隆正へ。
「はいよっ!」
隆正は強めに蹴り返した。ボールはまたゴンザの横を通り抜ける。ゴンザは、ボールが徐々に近づいている事に気付いた。
〝そうやって徐々に逃げ場を狭めつつ、スピードを上げていく算段か。甘いわ!〟
ゴンザは素早さには自信があった。ゴンザにしてみれば、敵の手裏剣をかわす事に比べたらこの程度のスピードは何の問題もない!ただ…避けているだけなのにそんなに粋がられても困る!
「ふんっ。」
隆正の蹴ったボールの正面に移動した甲が、チョップで弾き返す。若干スピードと精度が上がった。スッとかわすゴンザ。
「はい。」
ここで鏡のコークスクリューブロー。弾かれたボールに回転がかかり、急激に速さと威力が上がった。確実に照準も合っている!
「むう!」
ギリかわすゴンザ。避けなければ確実に当たっていた。そしてここで…
「ふん!」
甲は蹴りで、回転のかかっているボールを真芯で捉えて弾き返す!
「ぬおぉっ?!」
かなりギリで、辛うじてかわすゴンザ!さすがお頭!
「こ、こんなものよ!」
若干『どや?!』という顔をしたゴンザだったが、次の瞬間お花畑が見えた。
「はいっ。」
ドギャっ!
そんな音が聞こえてくるようなボールの歪み方だった。甲の蹴りから放たれた凄まじい速さと威力のボールを、鏡はまたも捻りを加えた右拳で打ち返したのだった。
メゴッ…
軌道なんか見える間もなく、ボールはゴンザの顔面(額あてをうまく避けて目ぇ出してるあたり)に当たり、ゴンザは…飛んだ。けっこう飛んだ。
薄れる意識の中、ゴンザは思っていた。
〝二倍以上だよね、これ?〟
さらばゴンザ!いい夢見ろよ!無理か!
「黒点塾対GCSAの試合は…全てGCSAの勝利で幕を閉じましたー!」
その放送と同時に、龍青はまたも盛り上がる。
「ほ、ほんとに凄い…」
「だろ?俺達の事また見直した?」
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