D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第四章

鳥の戦略

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 格好良く言えばファイナルサード。フィールドを三分割した場合の、ゴール前の最後の部分。その部分の仕上げ、もっと簡単に言えばゴールを決める、守るの肝心の部分がハーピィは上手くなかった。
 一般的にゴール前での高さは強力な武器だ。相手より高く跳び上がり、ヘディングシュートを決めるFWはサッカーの見せ場の一つと行ってもよい。ゴールキーパー視点で言ってもヘディングシュートは軌道が読みにくく、縦の変化もあるので反応し難い。
 だがその高さとは言ってしまえば相手DFより高いだけで良いのだ。シュートの時に「角度が無い」という表現を良くするが、高過ぎてもやはり角度――シュートがゴールに入る軌道面積の広さ――が無いのだ。
 いやヘディングシュートする場面で「高過ぎて角度がない」て表現する事があるとは思いもしなかったけどさ。しかし漫画や画面の中のハーピィみたいに高く跳んでも、無駄にシュートを決め難くなるのは事実だ。
 一方、守備の局面。ここでも高さは武器になる。相手が高いセンタリングを上げてきた時に、より高く跳んで跳ね返せれば安心だ。相手がそれで攻めてくるなら。
 ……もうお分かりだろう。相手としてはそこで勝負しなければ良い。ハーピィは身体も守備も軽い。体をぶつけながらでもドリブル突破しボールをキープし低い、というか普通の高さのシュートをぶち込めばそれで十分だ。
 サッカーは採点競技でもパス数や支配率で勝敗を決めるゲームでもない。相手より一つでも多くゴールを決めたチームが勝利するスポーツだ。ハーピィは特殊な身体能力を備え地球では観た事もないような空中でのパス回しを誇りながら、攻守双方でゴール前の拙さも備えていた。
 恐らくそこを徹底的につけるかが勝負の鍵となるだろう。

「ふう。ある程度は把握しました。しかし監督目線だと頭の痛いチームですが、観客目線で言えば楽しいチームですね」
 映像を確認しメモを取りナリンさんと何点かディスカッションした後、休憩を告げると同時に俺は言った。
「そうですね。総合的なエンターティメントとしては、1部を含めても最高のチームかもしれません」
「このリフティングでのパス回しとコンビネーション! サッカーじゃなくてフリースタイルリフティングとかバレー向きかもしれないなあ」
「何ですか、それ?」
 不思議そうに尋ねるナリンさんに軽く説明しながら俺はなんともなしにメンバー表を見つめた。そして、ある事に気づく。
「あの、ナリンさん?」
「はい?」
「ハーピィって『名+姓』て命名方式みたいですけど、この『ウィル』て姓は一番多いものなんですか?」
 そもそもここまでの種族が殆ど苗字を持っていなかったので無いものかと思っていたが、ハーピィのメンバーリストを見たところ少なくとも彼女らにはあるようだった。
 しかし今、見ている表では『ジェーン・ウィル』『キャサリン・ウィル』『ドミニク・ウィル』……とメンバーがなんとかウィルだらけだ。
「いいえ、ウィル姓はそれほど一般的ではありませんがそれが何か? あ、この選手たちですね? 彼女たちは、みんな姉妹なんです」
「はあ!?」
 姉妹ってスタメン11人中、9人くらいウィルさんなんだが!?
「ハーピィは種族的に卵で産まれ、それを群全体の子として育てます。ですから直接の血は繋がっていなくても同じ群の姓を受け継ぐそうです」
「ああ、それで……」
 そう言われて少し納得できた。ウィル姓の多さだけでなく、コンビネーションの良さも。
 プロのサッカークラブでも若い頃から一緒にプレイしているユース出身選手で固めたチームが驚くほどの阿吽の呼吸を見せることがあったりするが、群で育つハーピィのもそれに近いのかもしれない。
 でないと、あんな浮いたパスを空中で延々と繋げる筈もないしな。
「自分も文化的の深い部分は存じ上げないのですが。その辺りの深い部分はまた、街に着いてからステフさん達に聞きましょう」
 そう言うとナリンさんは馬車の前方に目をやった。折しも馬車の窓からは眩しい日差しと潮風が差し込んでくる所だった。
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