D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第六章

作業の合間に

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 例の果物の収穫が終わるのを待ち、俺達はルーナさんを加えて総勢8名となってエルフの都へ帰る事となった。待つ、と言っても単純に過ごす訳ではなく(アルテさんの強い要望を受け)農場に泊まりつつ、代わりに作業を手伝いながらではあったが。
 その収穫作業だがアルテさんが風の魔法で果物を吹き飛ばし、一カ所に集める風景はなかなか爽快なものだった。俺達は主にその後の選定や箱詰め、出荷先毎の仕分け等を担当した。
 気分としては学生時代のバイトに近い。ただ現場が郊外の爽やかな農場であり、頻繁にお茶やお菓子の休憩が入った為、しばしばピクニックをしているような感覚に陥った。
 そんな青空の下での共同作業を経て、ルーナさんとその他一行の距離は大いに縮まった。彼女はもともとハーフエルフという立ち位置、そして淡泊な性格というのも相まって他者と打ち解けにくい人物ではあったが、話してみると独特の観察眼とユーモアを持ちサッカーについてもなかなかの見識と熱い情熱を持つ女性である事が分かった。
 例えば俺が計画しているゾーンプレスについて、ルーナさんはクエンさんの存在が肝になると指摘した。ナイトエルフのサッカーにおいてクエンさんが使われてきたポジションは主にCBであったが、ルーナさんはボランチこそがクエンさんの居場所だと主張したのだ。
 あのミノタウロス戦で俺はDF陣をそのまま中盤に上げたが、消耗戦的な守備はともかくデザインされた組織守備やパス回しは、突貫作業だったという言い訳を差し引いても満足できるものではなかった。
 ルーナさん曰く、残念ながら地上のエルフ達には守備の強度を保ちつつパスを組み立てるような個性を持った選手がまだ少ないと。だがクエンさんならばその役割を果たせるだろうと。
 言われてみれば確かにクエンさんは説明等も非常に適切だったし、常に理論的な話し方をしていた。いや話し方とプレーが直結する訳ではないが、少なくとも脳内で理論をちゃんと組み立てられているとは言える。であれば極めてシステマティックに動く中盤において、頭脳の役割を果たせるのではないだろうか? と。

「なるほど。ただの屈強なDFだと思われていたドゥサイー選手を中盤で使ってブレイクさせたミランの監督みたいな考え方だね」
 俺はACミラン等で活躍したフランス人選手を思い浮かべた。
「そのダサイーっで選手は知らないけど。あの娘なら高い位置で奪ってダサくない、綺麗なパスも出せると思う」
「確かに……ってダサイーじゃなくてドゥサイーな? ダサいどころかめっちゃお洒落な選手だったからね!」
 私服のスーツとかグラサンとかめっちゃ格好良かった筈だ。
「わざとだよ。ショーキチがレイちゃん以外にも突っ込むか試したんだ。意外にも完全に彼女のモノになっていないんだね。まだシャマーやナリンにもチャンスはあるのかあ」
「なんでそんな話しに!?」
 ルーナさんの特殊の視点は人間関係にも現れていた。前に彼女が言っていたように俺とレイさんの間には『特別な空気感やらしい雰囲気』みたいなものがある、と言うのが彼女の主張だった。
 恐らく関西弁同士の通じ易さとかボケツッコミのリズムの事をそう勘違いしているだけだと思うが、ルーナさんはしばしばその話題を休憩中の雑談の肴にしていた。
 ある時など、
「私はレイちゃんに賭けるな。あの娘はショーキチの急所を突いていると思う」
「俺はシャマーぴよ。知り合いという贔屓もあるけど、シャマーがいちばん手段を選ばないぴい」
「自分はダリオ姫っす。詳しくは存じ上げないけど、異世界転移者はお姫様とくっつくもんっす!」
「拙者はナリショー一筋!」
「だよな! アタシもナリンだ。シャマーもダリオも知り合いだけど、やっぱ一緒に旅をして情が移ったから応援したくもある」
「ふうん。情にかまけて損をするタイプだね」
「あんだと! じゃあ損をするのはどっちかはっきりさせようぜ!」
「乗ったぴい! 土地の権利書でも賭けるぴよ?」
とレイさん以外の皆と昭和の雀鬼みたいな会話までしていた。
 このままではチームの風紀が乱れてしまう。俺は組織の長として、内部での賭博を全面禁止しなければならない、と誓うのであった。

「これで準備オッケーかな?」
 俺は身支度を整えながら同行者たちを見回した。
「うん」
「オッケーっす! もう一度基地が見れるなんて楽しみっすねー!」
 農場に泊まって二日。俺は用事を済ませる為に、ノトジアの中心部へ一度戻る事にしたのだ。
「ルーナちゃん、ちゃんとメモは持った?」
「大丈夫だよ、ママ。何かお土産買うね」
 同行者はルーナさんとクエンさんだ。用事と言うのは大した事ではない。アルテさん邸に宿泊するのが決まったので、ノトジアでとった宿の残り日数をキャンセルし部屋に置いた荷物を引き取りに行くだけである。
 珍しいこのトリオになったのはルーナさん家にも個人的な買い物があったのと、荷物が多く力持ちを一名動員したかったからだ。
「じゃあちょっと行ってきます」
 俺達は見送るアルテさんに手を振り、ノトジアへの道を歩き出した。
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