D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十章

スタメン談義その1

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 俺が走ったのは報道対応で選手に負担をかけないように……との気持ちだったが、はっきり言ってその配慮は無用だった。
「ドワーフさん、エルフ代表の会見の予定はないのですか!?」
「ダリオ姫! 目線だけでも下さい!」
「それはどちらのブランドで?」
 マスコミは一斉に先頭を歩くダリオさんやナリンさんに群がっていた。それくらい、「スーツを着たエルフの美女軍団」のビジュアルパワーは強烈だった。
「下がって! この方々に何かあったら我々の責任になりますので!」
 ジノリさんの叔母さん、ドワーフのコーディネーターさんが声を張り上げマスコミを下がらせる。それでも彼らはなんとか食い下がり、魔法の鏡や眼鏡をかざして良い画を撮ろうとする。
 そう言えば日本のマスコミも隣国の美女軍団とか好きだったしな。まああっちは応援する方でこっちは応援される方だけど。ましてこの世界の種族はこの衣装に耐性がない。
「あ、監督! この衣装は貴男のデザインですか!?」
 んな訳あるか。たぶんイギリスかイタリアの偉いデザイナーさんや。
「まあまあ。我々はファッションショーをする為に来たのではありません。といって戦う為に来たのでもありません」
 俺は後ろ手で選手たちへ
「(さっさと宿舎へ入って)」
と合図を送りつつ、報道陣の突き出す集音機らしきモノへ言った。
「我々は勝つ為にきました。明後日はそれをお見せしたいと思います」
 俺はそう、大言を壮語して選手たちに続いて建物の中へ入った。

 その日は移動日なので夕食以降、選手に予定はなく、宿題でも(若干一名)休養でも(大多数)「サンア・ラモ」観光でも(ナイトエルフ2名とスワッグとステフ)自由となっていた。
 しかしコーチ陣には仕事が残っている。明日は実際に試合をする「ミスラル・ボウル」を使って練習(公開・非公開両方)ができるのでその内容を決めないといけないし、オーダー――スタメン・ベンチ入りなど――も決めないといけない。
 よって夕食後、俺とコーチ陣はそのまま宿舎の食堂に残ってコーチ会議をする事となった。

「じゃあ先にスタメンから決めて行きますか。今回は時間も無いので我々コーチ陣だけで」
 俺はそう言って黒板を取り出した。ゆくゆくはDF、MF、FWそれぞれに副キャプテンを置いて彼女らの意見も聞いて決めるようにしていきたい――その方が公正だし、一緒にプレイしている選手から見てのやり易さ、なども汲いからだ――が、今の所はそこまで準備できていない。
「で、システムは1-4-4-2の中盤はダイヤモンド型ひし形で」
 この『1-4-4-2』というのは配置する選手の人数を後ろから表記したものだ。この場合GK1人、DF4人、MF4人、FW2人という意味である。GKの1はしばしば省略されるが、今後アローズではGKもシステムの一部に組み込むので、これからは忘れない限りGKも言及するように決めていた。
 あと中盤の『ダイヤモンド型』と言うのは上から見た時の形で、トランプのダイヤのそれぞれの頂点に選手がいるように見える配置の事だ。

「じゃあ僕から。予定通り、GKは昨シーズンまでのレギュラーで百戦錬磨のボナザ君で良いと思う」
 コーチ会議では定例になったように、ニャイアーコーチが最初に口を開く。
「ボナザ君は良いコンディションを維持している上にデス90でのユイノ君のプレーに大いに刺激を受けたようだ。DFでのボール回しへも積極的にトライしている。期待しても良いだろう」
 確かに。あの男前な母さんは以前はゴール前に静かに佇む古典的なGKであったが、最近はエリアの外へ思い切りよく飛び出すようになったし、GK練習だけではなくトリカゴやミニゲームにも積極的に参加する姿を見せている。それを思い浮かべたコーチ陣一同は賛同の頷きを返した。

「DFはルーナ、ムルト、シャマー、ティアで間違いナシじゃな。その前で守備的なMFとしてクエンがプロテクトする型がベストじゃ」
 続いてジノリコーチが口を開く。彼女が名前を挙げたのはあのミノタウロス戦でフラット3を組んだ3人プラス、ムルトさん。そして中盤のフィルター役のクエンさんだ。
 ハーフエルフである左SBルーナさんは身体に流れる人間の血――しかもそれはあのクラマさんのものだ――がもたらす、エルフにはない力強さとパワーのある左足を持つ。
 逆の右SBティアさんは大人しい子が多いエルフ代表には珍しい闘争心を持ち、相手エースを激しいマンマークで封じたり、果敢な攻撃参加でチームにエナジーを与えたりもできる。
 キャプテンのシャマーさんはもはや説明不要の策士でDFリーダーだ。互いに戦術を知っているチーム内紅白戦ですらも、トラップを駆使してオフサイドの山を築き1vs1でもさらっとボールを奪う。
 以上の3名は俺にとって運命共同体と言っても良い。彼女たちをメインにDFラインを組めると思っていたからこそ、代表監督を引き受けたようなものだ。まあ……カイヤさんもいると思ったけど。
 そしてムルトさん。彼女は恵まれたサイズと身体能力、そして冷静な観察眼を持っていて、DFラインに高さとインテリジェンスを与えてくれた。純粋な身長の高さに加えて角度や距離を計算しての空間把握能力も高く、エアバトルにおいては最も頼りになる。
 更にクエンさんもいる。彼女は分類で言えば中盤だが、守備ユニットの一人と扱っても差し支えないだろう。CBとしても十分に通用する守備力を持ちながら、細やかな気遣いやパス出しを行うこともできる。クエンさんを守備陣の前に置けば、その守備力で攻撃の威力を落としたりDFラインに到達する前に止めてしまったりできるだろう。そう言った役割を果たす選手が中盤のフィルター濾過装置と呼ばれる所以なのだ。
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