D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十二章

女神と闖入者

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 声の主はアリス先生だった。レイさんとポリンさんが通う学校で国語と中級魔法を教えている教諭にして、俺にエルフ文化を教える予定の家庭教師でもある。
 そしてまた多くの観客にとっては、今日の試合前のイベント『キックターゲット』に一般参加者として登場して、艶やかなパンチラ姿を披露してしまった妙齢の女デイエルフでもある。
 ただいずれにしても、この場で聞くにはもっとも想定外の声だった。
「こらダメだぞアリちゃん! ここは本来、もう少し泳がせるシーンなんだ!」
 一方、こちらは予想通り。ステフの声だ。俺と姉弟の会談を見守る為に側で待機する約束だったので、いて当然だ。
「ごめん、ステフねえさん! アリちゃんにはまだシステムを説明してへんかってん!」
 続いての声はレイさん。彼女は俺の頼みを聞いてでステフを呼びに行って、そのままついて来たらしい。本来は試合後のクールダウンに参加すべきだが、このナイトエルフは若いし次のアウェイには行かないし、ステフとも仲が良いし……と伝令に選んだのだ。まあ、その判断は間違いだったが。
「そんなシステムはねえよ! というか何故アリスさんまで?」
 俺はモーネリュウ姉弟のダブルチームを外し、予備の椅子を出してきてアリスさん達の前へ並べる。
「ステフねえさんを呼びに行く途中で見かけてん! で、ファンに囲まれてて大変そうやったから、関係者通路に連れ込んでな!」
「うう、面目ない」
 そう言ってニッコリ笑うレイさんと赤面するアリスさんが椅子に座る。この両者、生徒と教師という間柄の筈だが世話し世話される関係としては逆の様だ。まあ4兄弟姉妹の長女であるレイさんの天性の姉感と、やや抜けた所があるアリスさんの性格が現れたのであろう。
「ファン?」
 そう訊ねたのは身体は姉、心は弟のモーネさんだ。
「いやいや、そんな……」
「なんとかの女神さま! って言われてたかな? たぶん『勝利の女神様』ちゃうかな?」
 更に赤くなるデイエルフに屈託なく返答するナイトエルフ。いやレイさん、たぶんそれは別の意味の女神だと思うぞ? そもそも勝利してないし。
「ふん、別に勝ってないじゃない? ショーキチ監督の機転でなんとか引き分けただけで。……まあアンタのアシストはまあまあ凄かったけどさ」 
 しかし、俺が内心のツッコミだけで終わらせた件にモーネさんがしっかりと言及した。
「せやろ? ウチとショーキチにいさんの相性は最高やねん! な!」
 その言葉の途中からレイさんは席を立ち、座ったままの俺の背後へ近寄り背中から抱きついた!
「あらあら~」
「はぁ!? 私、そんなこと言ってないわよ!」
 アリスさんが両手を口に当てて変な声を漏らし、モーネさんが立ち上がって当然の指摘をする。
「レイさん、離れて下さい!」
 彼女の若い体臭と胸の質感が一気に押し寄せてきて、俺は思わず上擦った声で注意した。
「そうですよ! 他チームの事に口出しするのは御法度ですが、選手と監督は一定の距離を持つべきです!」
 それにリュウさんも援護射撃をする。今まで一気に増えた女エルフ達の姦しさに圧倒されていた様だが、ここにきてこれは有り難い。
「でもウチとショーキチにいさんは普通の関係とちゃうからな~」
 ちょっとレイさん!?
「どんな関係って言うんですか!?」
 その言葉を聞いたリュウさんが顔を赤くして問うた。
「えー? 爛れた関係って言うかー」
「わーお!」
 その問いにレイさんは意味深に答え、アリスさんが歓声を送った。いやわーお、じゃないんですよアリスさん!
「マジなの……?」
「いやマジな訳ないじゃないですか!」
 白い目でこちらを見るモーネさんに俺は必死で否定する。
「なんなん? 自分もショーキチにいさん狙ってんの?」
 一方、レイさんは自分の所有物を守るかのように俺を抱き締め直し、警戒の色を強めた。いや『も』って何なの!?
「わたしは別に。ただ私がエルフのサッカードウ選手で一番、可愛いって認められたら……」
 モーネさんはそう言って目を背けた。それを聞いて俺とレイさんは揃って胸をなで下ろす。
「でも、ショーキチ監督を落とすことでそれが証明できるなら、やぶさかではないと言うか……」
 いや胸をなで下ろすのは早計だった。モーネさんは視線を戻してこちらを見た。
「俺を落としたってべつに証明にも何にもならないですよ!」
「そうなんやー。でもそれには、ながーーい列の最後尾に並んで貰わんとなあ」
 俺の言葉を無視してナイトエルフがしたり顔でいう。てか何故レイさんが受付みたいな面を!?
「そうなの!? でもこれは反則かもしれないけど……」
「はい! 恋と戦争ではあらゆる戦術が許されると思います!」
 それを受けてやや躊躇いがちにモーネさんが語り出すと、すぐさまアリスさんが助け船を出した。あの、今更ですけど貴女は教育者として少なくともレイさんを止める立場では!?
「ありがとう、女神さん。えっと、私の心は元は男だよ?」
「実は廊下でこっそり聞いてたので知ってます! してそのこころは!?」
 アリスさんは引き続き良いタイミングで口を挟む。何故そんなにノリノリなんだ!? あとやっぱり聞き耳してたのか……。
「男だから……男が気持ち良くなるポイントを知ってるからね!」
「「おおーっ!」」
 その台詞には俺以外の全員がうなり声を上げた。なんなのおまえら!
「おおーっ! じゃないです! てかステフもいたのか? いたんだよな! えらく静かにしやがって!」
「はっはっは! ちょっと数が多かったからな! 会話のテンポ的に黙っていた!」
 くそ、出来るエルフめ! ……じゃなくて!
「黙ってないで何か言ってくれ! もうどうにもまとまらん!」
 俺がそう言うとステフは仕方ないなー、と立ち上がった。
「それではわたくし、ステファニー様がみなさまを代表して一言」
「どのみなさまだよ! 早く言え!」
「はいはい。えっとだな……。そもそもこの会談、何の為だったんだ? ショーキチにどうして欲しいんだっけ?」
「「あっ」」
 ステフの指摘に全員が声を合わせる。そうだ、この場は何か目的があってセッティングされたのだった。ここまでのところ、姉弟の複雑な背景と心境を聞いただけに過ぎない。彼女らとしては、それを打ち明けた上で何か俺にして欲しい事がある筈だ。
「そうね」
「そうですね」
 モーネさんとリュウさんはそう言って顔を合わせた。そして何かアイコンタクトをして、弟の方がこちらを向いた。
 いよいよ、真の目的が明かされるな? 俺は背筋を伸ばして、彼の視線を真正面から受け止めた。
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