D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十三章

とくと後悔しとく?

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 謎の抱えたままに翌日を迎え、俺はトレーニングを指導していた。今日は午前に練習を行い、シャワーを浴びて着替えて軽くミーティングを行ってから移動、という流れだ。
 ここまでの二日と同じく攻撃側と守備側に別れ、脈絡なく試合を止めて攻撃側にボールを渡したり守備側の選手を退場させたりと守備側に揺さぶりをかける形式だったが、三日目となると彼女らもかなり馴れてきていた。
 相手ボールになれば互いに声をかけ、DFが欠ければ近くの選手から埋めていく。それどころか不意打ちで攻撃の選手――特にリーシャさんなんか短気だから、退場を喰らう可能性は大いにあり得る――を排除しても、彼女たちはダリオさんをトップに上げて反撃のルートを確保するまでした。
「良い傾向ですね!」
「うーん、どうですかね……」
 その様子を見たナリンさんが嬉しそうに語りかけても、俺はあまりはっきりと応えられないでいた。
「何か気になる事があるでありますか?」
 俺の顔色を見たナリンさんが咄嗟に日本語へ切り替えて問う。その心遣いに感謝しつつ、俺はそっと翻訳のアミュレットを外して言った。
「ここまでみんながやれるなら、本当に1点穫って守り勝つプランも用意すべきだったかも? と」
 もう一つの悩み、つまり彼氏持ちの女性とキスしてしまった事にはもちろん触れられないので、俺は目の前の問題について語る。
「今回の裏の目的は『大負けしない』じゃないですか? だからそれ用の仕組みを作って練習も重ねた。そんな後ろ暗い状態なのに、選手は必死に食らいついてくれている。十分以上に応えてくれている。それでちょっと……後悔と羞恥が」
 指揮官が直前で何を迷っている? という所だが、それが今の本心だった。
「自分たちの用意だけじゃないです。弱点を調べてもっとフェリダエ族に揺さぶりをかけるとか、時間帯と傾向を分析するとか。諦めずに頭を絞り続けた方が良かったな……と」
 俺は定位置ベランダの手すりに顎を乗せ空気を咬みながらそう言った。その我ながら子供っぽい仕草に、ここまで神妙な顔をして聞いていたナリンさんも流石に笑った。
「そんな事を考えていたでありますか……。それは嬉しい事実であります!」
「はい?」
 ナリンさんの眩しい笑顔から放たれた予想外の言葉に俺は首を傾げる。
「嬉しいですか?」
「ええ! つまりそれは、選手たちがショーキチ殿の想像を超えられた! という事でありますよね?」
 それは随分と前向き過ぎる考え方だな! と驚きつつも、彼女の大げさなガッツポーズを見て考えを改める。これは本心半分、俺を励ます気持ち半分なのだろう。
「そう……ですね! もしかしたら、俺だけじゃなくてサッカードウ界を驚かせる展開になるかも!?」
 俺は身体を起こし、ナリンさんと同じポーズをとって声を張った。彼女にここまでして貰って落ち込んだままでは、男がすたる。
「後悔も自己憐憫も後でできますからね! 今は出来る事に集中しますか!」
 そう言いつつも、こんなに頭脳明晰で優しいエルフに気にかけて貰えるなんて、俺は前世でどんな徳を積んだのだろう? とも思う。正直、宝くじに当たるくらいの幸運度だ。これに報いるにはこの人生でも功徳を施さねば。
「ちょっとショーキチにいさん! ナリンさん口説いてないで手伝ってやー!」
 そんな俺の気も知らずに、レイさんが下から声をかけてきた。ヨンさんやタッキさんを前にしている所から見るに、攻撃のアドバイスを求めているのだろう。
「口説いてへんわ! 現世でも徳を積もうと悩んでたんだよ!」
 口説くと功徳ではえらい違いだよ!
「徳でもなんでもええからとっとと来る!」
「とっとと来る、略して徳!」
「オー! 上手いネー!」
 俺の反論をぴしゃりと封じ未成年のナイトエルフが天性の長女感を出してそう命令すると、ヨンさんとタッキさんがそれにのっかりキャッキャと笑った。
「やれやれ、でありますね」
「行きましょう……」
 前言撤回。この人生では幸運も苦労もほどほどに貰っている。俺はナリンさんと顔を見合わせると、ベランダから降りて練習グランドの方へ向かった。


「せや、ショーキチにいさん? アリちゃんに何か伝言、ある?」
 練習後。監督室で荷物をまとめていると、一足先にシャワーを浴びて制服に着替えたレイさんが布で髪を拭きながら部屋へ入り訊ねてきた。
「えっ!? いや、アリスさんとは別に何も!」
 俺は俺は分かりやすく手に持っていた書類をバタバタと落としながら応える。
「ふーん」
 ナイトエルフの学生はそう言いながら、靴下を履いていない足の指で紙を何枚か掴んで、ひょいと拾い上げる。
「ウチが聞いたんはアリス先生『へ何か』でアリス先生『と何か』やないんやけど?」
「これこれ! 足で書類を触るなんてはしたない!」
 いや内心は
「器用だな!」
とか
「制服で素足ってフェチっぽいな!」
とか思っていたのだけれど!
「ん? だってアリちゃん、無意識でサービスしてそうやから、ウチは意図的にせんと負けるやん?」
 レイさんはそう言いながら今度は足を持ち上げ指先に挟んだ紙を、俺の鼻先まで持ってくる。そうなると当然、元から短いスカートがずり下がり太股が露わになり……。
「ちょっと! もう、はしたないを超えた何かだよ!」
 俺は必死に顔を背けてその書類を奪い取り彼女を叱った。
「はーい。まあこれくらいにしといたるわ」
 見事なバランス感覚――いや実際、彼女はどこも掴まず片足立ちで床の紙を掴み、そのまま人の顔の高さまで足先を上げた。やってみて下さいよ? 普通できないぞ!――を見せたナイトエルフはそう言うと、今度は普通にしゃがんで残りの書類を手で拾い出す。
「あ、ありがとうございます」
 彼女にだけそんな事をさせる訳にはいかない。俺は礼を言うとレイさんに習って身を屈め、同じく拾い集める。
「隙あり!」
 そんな俺の頭を、彼女は迎撃するような形で抱え込み唇を合わせてきた!
「(ちょっとレイさん!)」
 抗議の声はもちろん発する事ができなかった。俺の唇は塞がれ口内に彼女の滑らかな舌が進入しているからだ。
「ん……んん。ショーキチにいさん正直に言って……」
 レイさんは舌を絡めたキスを続けつつ、息継ぎの間にそう呟く。
「んな……何を……ですか?」
「アリちゃんとはどこまでしたん?」
「ええ!? 何か聞いたんですか!?」
 俺はガバっと身を放しそう訊ねる。

 そしてレイさんの顔を見て、彼女にハメられた事に気付いた。
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